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7—21 チームB+その1


「出動出来ない!? なんでですか」


 王都にある騎士団の駐屯地に駆け込んだ(せい)汐梨(しおり)は、事情を説明して助けを求めた。


「隊の殆どが別の事件に対応中であるのと、そこの村は吸血鬼のテリトリーだ。我々は迂闊に行動が出来ない」


「そんなぁ……今すぐにでも救助を待ってる人が居るのにっ」


「他の事件って、何ですか?」


 落ち込む晴の隣で汐梨が質問する。


「巨人だよ」


「へ?」


「半月くらい前からこの近辺で暴れてるんだ、それの対応に兵士の大半はそっちに割かれてしまったんだ」


 晴は横目で汐梨を見る。とぼけたように首を傾げていた。


「その巨人て、何体も居るんですか?」


「今のところ目撃されているのは1種類だね。どうやら女性型らしい」


「(それはもう大丈夫だからって言いたいけど、どう説明すりゃいいんだよ!?)」


 頭を抱えて悩む晴の横で汐梨兵士に近寄って


「巨人だったら当分現れないと思うので、現在進行形で被害に遭われた方々を助けて貰えないですかね?」


「そうしたいのは山々なんだが、決定事項は全て姫様がお決めになられるからな」


「姫様?」


「姫様がお戻りになられたぞ! 整列しろ!」


 別の兵士が声をかけに来た。


「ちょうどいい、君たちも整列するといいよ」


 言われるまま着いていって、すでに道の端に大勢の人たちが整列していて、両手を合わせてお祈りしている者などもちらほら見えた。


 少しして馬車が現れ後ろのキャビンから女の子が顔を覗かせている。


 ピンク色の髪に見知った顔を見た晴は立ち上がり近寄って行く。兵士たちが慌てたように静止を呼びかけるが気にしなかった。


「ヒメじゃないか! 久しぶり!」


「誰だキサマ! 無礼であるぞ!!」


 馬車の左右で警護しているのだろう兵士が一斉に晴に切先(きっさき)を向けて来た。


「あーいやっ知り合いなんです!」


 晴は(すが)るような目で姫を見ると、姫は冷たい目で晴を見ていた。


 姫は付人に耳打ちすると兵士に伝えられ、その兵士が晴に向かって言った。


「お前のことなど知らん、誰と勘違いしておる? だそうだ」


「………はい?」


 晴はもう一度顔を見ようとしたが、カーテンで中が見えず馬車は動き出す。


「次やったら牢にぶち込むからな」


 兵士の1人がそう言い残し去って行く。


「あれぇ?」


 晴は汐梨にも確認してみる。


「見た目はそうだったわね」


 よくヒメと一緒に居た汐梨はそう言った。


 その後、先ほど話していた兵士に声をかけられる。


「この国の姫様に気安く話しかけるな。不敬罪でえらい目にあうぞ」


「ヒメが…この国のお姫様…? どうなってんだ??」


「あのお姫様って、いつからお姫様なんですか?」


 汐梨は兵士に質問すると、兵士は少し考えてから答えた。


「あの方がこの国に訪れた時からだよ。王族の証である指輪を所持していたからね」


「お、王族ぅ!!? そんなの外で手に入るんですか??」


 晴は裏返った声を出すと更に質問を続ける。


「それはわからない。ただ、誰でも扱えるものでは無いと言われているね」


「結局、あの姫様が助けると言わないと兵を動かしてもらえないって事ですか。騎士団長ではなく」


「そう言う事だ。だから自分にはどうする事も———って何故頭を撫でるのかね?!」


 気が付けば汐梨は兵士を膝枕して頭を撫でていた。


「よーく考えて、貴方にも出来ることがあるはずよ」


「いや…だから………………母ちゃん……っちっがーう!! どうしたんだ頭がおかしくなるぅぅぅぐぅぅぅおおぉおぉ」


「し、失礼しましたぁぁー!!」


 晴たちは仕方なく出直す事にした。




「時間が無いってのに、どーすりゃいいんだよ」


 頭を掻きむしる晴に向かって汐梨は人差し指を立てて言う。


「焦っても仕方ないわ、騎士団がダメならアレしかない」


「アレって…?」


「直談判しに行くのよ、姫様に」



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