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7—20 チームBその4


「なんだコイツらっ!?」


 グォォォオオォォォォン


 ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァァァァアア



 人形の獣に白目を剥いて口から液体をダラダラと垂らしながらよろよろと来るゾンビ。


 それらを前に(せい)汐梨(しおり)はそいつらと別方向に走り出す。


 家は崩れ所々燃えており、村の生き残っている住人の避難の誘導をしなくてはならないが、そんな経験が無いから的確な判断が出来ないし手が足りない。


 前方に見えるのはリアとエルの2人で、村人を庇うようにゾンビを吹き飛ばしている。


「リアーッ」


 晴は大声で呼びかけると、こちらに気付いたリアが振り返った。


「避難誘導っつっても場所がわかんねーし、ゾンビわらわらで手が回んないっ」


「———っじゃあ、村から出て北に真っ直ぐ行くと王都があるから応援呼んできて」


「北ってどっち?」


「入って来たのがこっちだから、あっちに真っ直ぐ」


「わかった! 行くぞ汐梨!」


 晴は白鳥に変身すると汐梨を乗せて王都を目指した。



「エルー! 何か見えたー??」


 リアは上空に居るエルへと声をかける。


「東の方から大量の魔物が来てますねー避難させるなら西か南かと」


 大群の時にリアのバリアーは防御に適しているが、移動となると不向きでゆっくりとなる。


 エルが倒しても倒しても起き上がって来るゾンビに増える魔物。


 助けるなんて、無謀だったのかもしれない。





「何か出ろー!!」


 柑奈(かんな)がカードを(かざ)すと大量の水が勢いよく噴射された。


 火が一気に消火され建物も吹き飛び道が開けた。


 村の西側から柑奈と(ひびき)は10数人の村人を避難させる事に成功。





 まもりと羽海(うみ)の目の前に現れたのは、女性の血を吸った吸血鬼。


 吸血鬼は、まもりたちを値踏みするように観る。


 ぞくっとする悪寒を感じたが、目を離したら危険だと思い少しずつ後退していく。


「ヒヒッ」


 不気味な笑みを浮かべた吸血鬼は宙に浮いて飛んで行った。


「……………」


 まもりと羽海は吸血鬼の姿が見えなくなるまで動く事が出来なかった。


「おかーさん……」


 吸血鬼に血を吸われぐったりと倒れている女性に女の子が近寄って行く。


「———ッ」


 ズキンと心が痛くなるのを感じる。


 その時、女の子に向かって行く人形の獣が視界に入り、まもりは駆け出した。


「まもり!?」


 魔物を体当たりで吹っ飛ばしたまもりは女の子の手を掴んだ。


「おかーさんは!?」


 女の子の泣きそうな顔を見て、強引にでも連れて行こうとするが女の子は首を振ってお母さんに手を伸ばす。


「ごめん!」


 まもりは女の子を抱き抱え側に駆け寄って来た羽海に託した。


「この子だけでも連れてってください」


「お前……ッ後ろ!」


 羽海の叫びに反応し盾で攻撃を防ぐ。


「行ってください!」


 魔物の追撃を防ぎながら、まもりは叫んだ。


 全員は無理でも、何とか助けたい。その一心で。



 高くジャンプしたり左右に高速移動してりと、中々捉えられなかったまもりだが、徐々に感覚を掴み剣の一振りで斬り伏せた。


「……他に助けられそうな人は」



「ほう、人助けか」



 嫌な予感がしてバッと振り返る。金髪の見覚えのある女性がそこに居た。


「中々に馬鹿な事をしている奴がいると聞いて来てみれば……確かにマヌケが居たな」


 漆黒のマントを着て、片手で何かを引き摺って——


「———ッッ!?」


「誰かを助ける前に自分を、そして仲間とやらを助けられなければ、それは無謀でしかないぞ?」


 ズルズルと、引き摺りながら一歩一歩近付いてくる。


「………羽海、せん…ぱい……」


 気を失っているのか、羽海は動かない。


 返事も無い。


「くっ」


「おっと、動くなよ…? クカカ……此奴(こやつ)をコロされたくなければ」


 まもりは剣に置いた手を下ろした。


「そろそろ食事の時間なのでな…今夜の飯を探してある。この意味、わかるか? 大人しく武器を捨てよ、抵抗は無意味ぞ?」


「———っざっけんな!!」


「お…?」


 羽海は叫ぶと、身体が白く輝きその場で船の形となった。


「ほう、船になるのか。眷属にしてやってもよいぞ?」


 そっと手を船に当てて撫でる。


「まもり離れてろ! 今す———ッッ」


 ドシュッ


「強度はどのくらいかの?」


「——ッやめっ」


 まもりは叫ぶが


 ドシュッ


 衝撃波が船を貫通する。


 2発目で羽海は沈黙し、やがて元の姿に戻った。


 血がドクドクと流れ出し溜まりが出来る。


「意外と脆いんじゃなぁ……さて、もう人質の価値があるかわからんが…もう一度問うとしよう」


 再び羽海の襟首を摘み上げる。


「此奴を見捨てるか、大人しく食事となるか選べ。逃げても構わんぞ? 飯はここにあるしな?」


「……………」


「イア様、逃げた連中はいかが致しましょう?」


「ある程度は残しておいてよい、面白そうな連中が居れば眷属とするのも悪くは無いな」


 イア、そう呼ばれた女性は、まもりの知っている人物とは遠くかけ離れた存在だと認識した。


「答えは出たか?」


 まもりは俯く。


 握り拳を作りぎゅっと目を閉じた。




———先輩……ごめんなさい。



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