7—15 チームA+その8
「相手が仲間ならどっちが勝っても賞金ゲットじゃないのかな」
「それは相手が話し合いに応じた場合ですね、メリイセンパイ」
ウェスタールに頼まれて参加した闘技場も決勝戦。
優勝賞品を獲得し彼に渡すのが目的である。だから賞金の方は自分たちが貰えるわけだ。
そして、陽子たちの決勝の相手が同じアイドルグループ″ルピナス″のメンバーであり先輩なのだ。
つまりこの後一緒に行動を共にするのだから、どちらが優勝しても賞金は共同資金である。
問題があるとすれば、アミたちが優勝賞品を欲していた場合。
詳しいことは知らないけど、アミたちも狙ってるとは思えなかった。
「ブリザード!!」
開始のゴングが鳴ると同時に、これまでと同じように吹雪が舞台上に吹雪を発生させる。
あまりの寒さに陽子とメリイも凍りそうになるが、メリイのスキルでモコモコの綿を作り出し身体を温めてくれる他、衝撃を和らげる効果もある。
こちらの呼び掛けに無反応な3人を見た吹雪は、嫌な予感がしていた。
「ミカ先輩の時みたいな雰囲気……ヨウちゃん平気?!」
「ん、平気。メリイセンパイも平気ですよね?」
「平気って何が? 特に異常はないよ??」
吹雪は吹雪だけでなく、氷の塊も続けて放つ。
「———だよねー……」
予想した通り氷は粉々に破壊され、謎のオーラを放つ優帆が姿を見せた。
「あたっ!?」
するとメリイの左肩を何かが貫通し、メリイは苦悶の表情で肩を抑えてしゃがみ込む。
「———レーザーッ!?」
陽子の目には一瞬光が見えていた。
「大丈夫ですか先輩!?」
吹雪は視線だけメリイを見ながら尋ねると、メリイは大丈夫と立ち上がる。綿で傷口を覆うと痛みが引くのだ。
「ッ来る!!」
吹雪の頬を掠め、レーザーは後方へと行った。
「厄介だな…氷に反射させて方向を変えてる」
「何ですとー!?」
氷の影でよく見えないが、目の前に居る優帆以外で考えると。
「上手いのはゲームだけじゃないって事っすね鏡花センパイ!!」
シューティングゲームやらFPSゲーム。とにかく銃を扱うゲームが得意で、よく一緒にプレイしていたから分かる。
何かを利用した攻撃、死角を突くのが得意だという事を。
じっとしていては狙い撃ちされるので、走りながら攻め方を考える。
「! アミセンパイの姿が見えないっ」
「ホントだ気付かなかった!」
陽子が気付くと吹雪も辺りを見渡してアミを探す。
目の前の立っているだけの優帆を見てしまっていたが為に他の2人を見失っているのだ。
ガコン
移動中、踏み込んだ右足が沈み嫌な予感がした瞬間、横から丸太が勢いよく転がって来た。
「丸太!? なんでっ」
反応した吹雪が咄嗟に氷の塊でガードしようとして
「氷を使うな吹雪!!」
陽子の叫びも時すでに遅し、ガードに成功はしたが
「———がッッ」
その氷にレーザーを反射させて吹雪の腹部に命中させる。陽子が吹雪の脇腹を蹴り飛ばしたので掠った程度だが。
「こんのッッ———!?」
倒れ込んだ吹雪が起き上がると、床が抜け落ちた。
落とし穴である。
これには側にいた陽子とメリイも巻き込まれて3人は落下する。暗くて底が見えない。
「たぁっっ!!」
メリイの作り出した綿が3人を包み込み衝撃に備える。
「こんな現象を立て続けにって、柑奈センパイかよ!?」
今は別行動中の社柑奈。彼女の能力はカードからランダムにいろんな効果を発揮させる事。落とし穴やら竜巻きやらを引き起こす。
そこそこの深さで地面に着くと綿のお陰か少し跳ねた。
「この感触、もしかしてっ」
吹雪が疑問に感じた瞬間、勢いよく釣り上げられるのがわかった。
網にかかった獲物だ。
地上に出て、3人まとめてそのまま吊るされる形となる。
「くっ」
陽子は思わず舌打ちすると、吹雪に言った。
「吹雪か氷の壁で周囲を囲んでくれっ」
吹雪は即座に自分たちを氷で囲った。
そして陽子は虎の姿になり網を引き裂いて脱出する。
すぐに人間に戻り氷から出た。
「虎で戦わないの?」
メリイの疑問に陽子は小声で答える。
「大勢の観客の前で虎に変身すると騒ぎになると思います。喋る羊が高値で取引されるのなら注意しないとです」
「あ、なるほど」
「レーザーにトラップ。優帆センパイのは何だ…?」
現状、打開策は思い付かないが一人ずつ戦闘不能にする方がいいのかどうか。陽子は考える。
吹雪は氷で槍を作り出し、優帆に投げ付けた。
「!?」
氷は空中で粉々に破壊される。
「……やっぱり、ミカ先輩の時と同じ感じがする」
「距離関係無く攻撃出来るなら、もっと来ると思うんだけど」
陽子も試しにと長銃を構えて優帆に放つ。
キィィン
「!」
レーザーが弾丸を弾く。
陽子が左側を見ると鏡花の姿が見えた。
「直接弾丸に当てて来たってことか」
もはや神技。
「吹雪」
「なに?」
「先に鏡花センパイを倒す」




