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7—13 チームA+その6


 この世界に来てからの羊皮(ようかわ)メリイは、人の姿ではなく羊の姿だった。


 その為、自分のスキルを使った事も使い方も知らないのである。


「ふんぬぅうぅうぅうぅぅぅぅ〜〜」


 ひたすら踏ん張り続けてどれくらい経過しただろうか。全く成果を感じられなかった。


「なんて説明したらいいのか……」


「ヨウちゃんは普段どうしてるの?」


「え、わかんない」


「何でよ!?」


 陽子(ようこ)は「うーん」と腕を組んで考え込む。そこへウェスタールが戻って来た。


「受付完了しましたよ、陽子さん吹雪(ふぶき)さんメリイさんの3名」


「スーッと力を抜く感じでどうです?」


「なんか前にイズナ先輩もそうだったと聞いたような……」


 吹雪は以前イズナから聞いた話を思い出してみる。


 脱力する方向で何度か試していると、メリイの身体が光出した。


「あーきたきたきたーー!!」


 手応えを感じたメリイが嬉しそうに叫ぶ。


「確か、服を着てなかっ———」


「おおお———ひゃあああああああああぁぁぁぁぁぁ!!?」


 久々の肉体に喜んだメリイだが、全裸である事に気付き悲鳴を上げてしゃがみ込む。


「ああっやっぱり……」


「これを着てください」


 ウェスタールがコートを脱ぎメリイに羽織らせる。素早い行動に吹雪は思わず拍手をした。


「吹雪知ってたん?」


「え゛っ……いやぁ、イズナ先輩かネコネ先輩辺りから聞いたと思うんだけど、イズナ先輩も最初から狐の姿で戻った時に全裸だったって」


「へー何でだろうね」


「うぅ……服をぐだざいぃ」


 メリイが半泣きしながら陽子に懇願(こんがん)して来た。


「全額使って、手持ちが無いんすよね……」


「大丈夫ですよ、仮の服をお貸ししますのでその後で服屋に買いに行きましょう」


「ありがとうございますぅ……」


「ほんと、助かります」


 メリイに続いて陽子と吹雪も頭を下げてお礼をする。


「気にしないでください、これは僕の為でもあるんですから」


 闘技場の優勝賞品への強い思いを感じる陽子であった。



 その後、服屋にランジェリーショップなどを周り(ウェスタールはお金だけ出して外で待機)、本人の見た目通りのモコモコした服装になった。動きやすいように短パン系ではあるが。



 その後にする事は、メリイの戦闘スキルを試す事。


 これまで逃げ回って来たから戦闘経験は皆無。


 まずは物理攻撃。


 パンチやキックはお世辞にも強く無い、というかスキルが発動していない。


「明日までに何かしら見つけますよ先輩!」


「よ、よろしくお願いします!」





 そして翌日。


「それでは、僕は客席で観てますので。頑張ってください」


 受付を済ませた陽子たちは、客席へ向かうウェスタールを見送った後、選手の控え室へと移動した。


 東側と西側に通路が分かれており、陽子たちが振り分けられたのは東側だった。


 アナウンスで呼ばれるまでは控え室で待機。試合直前まで対戦相手がわからない。


「決勝まで何試合かもわかんないんだよなー」


 陽子は壁際にある長椅子に座って室内を見渡す。


 いかにもな筋肉モリモリの男たちや小柄ながらも格闘技に自信がありそうな者も居る。


 やはり女性は陽子たちだけみたいだ、東側だけ見れば。


 コロしさえしなければ武器の使用は認められている。


 1組ずつ呼ばれ始め、試合が始まっているのがわかる。


 戻って来ない組、戻って来る組、それぞれあるが……おそらく勝ったら戻って来るのだろう。自分たちを褒め合っているから。


「うぅ……緊張してお腹が痛い……」


「大丈夫ですか? もっかいお手洗い行っときます?」


 陽子の隣でお腹を抑えながらメリイは震えていた。


「だいじょーぶ……」


 ライブステージでイキイキしているメリイを見て来ている陽子は、こんなにガチガチに緊張しているメリイを見るのは初めてだった。


「吹雪は落ち着いてるね」


「んー……ミカ先輩以上の相手じゃなければ大丈夫かなって」


「比べる基準そこか」

 

「今のところ、あれが一番キツかったから」



 試合は進み、やがて陽子たち″スノーサンシープ″が呼ばれた。


「何と言うネーミングセンス……」


「登録したウェスタールさんのね…」



 控え室から出て舞台へと向かう。


 歓声が大きく聴こえて来る。


 ワァァアァァァァァァァァアアァァァァアア


「東ー″スノーサンシープ″!! 西ー″ビルダーズ″」


 3対3のチーム戦。


 全員戦闘不能か降参で終了。


 一人ずつでは無く、6人で同時に戦う。


 相手は客席にアピールするかのように武器を振り回したりポージングを決めている。


 パワー自慢の筋肉ダルマが3人。バランスが悪そうだ。


 カァン


 試合開始のゴングが鳴る。


「見せてあげるよ、私のブリザード」


 吹雪の目が青く光り、右手を前にかざす。


 強烈な吹雪が舞台を襲い、やがて相手は3人とも間抜けヅラで凍り付いた。



 カァンカンカンカンカンカンカン


「決まったぁぁぁぁぁ!!! 何と言う呆気なさ!! 見事″スノーサンシープ″の勝利ぃぃいいいぃぃぃ!!!!」



 一回戦、突破。




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