表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/148

7—12 チームA+その5


 オークション当日。


 歓楽街にある会場へと向かった陽子(ようこ)吹雪(ふぶき)とウェスタールの3人は、入口で会員カードを見せて入場した。


「初めてで何にもわからないんですけど」


 陽子は隣を歩くウェスタールに耳打ちする。


「大丈夫ですよ。座席に着いたら説明します」


 周りを見渡すと貴族と思われる男性が多く、陽子はウェスタールが用意したドレスを着ていなければ庶民として何か言われそうだと思った。


「所持金が500万」


「足りない分は私がある程度負担します」


「……いくらくらい?」


「そうですね、350万ほどでしょうか」


 850万。それまでにメリイを救わなければ……


 

 受付で貰った指定番号の座席に着くとパネルが設置されていた。


「この機械を使って競り落とすんです」


 ウェスタールが説明を始めると同時に、最初の商品が紹介され始める。


 画面をタップすると商品の画像が出て、その横に番号と金額が表示されている。


「番号は自分たちも貰った番号、金額はその人物が提示した金額。その商品が欲しければ上乗せした金額を画面下のプラスいくら出すかをタップするんです」


 壇上の司会の人の後ろにある大きなモニターにデカデカと金額が表示されている。


 商品の説明をしながら、金額を読み上げていく。


 最初の商品は美術品で絵画だった。


 30万、40万と吊り上がっていく。


 美術の知識も価値もわからないが、雰囲気でどういうものかを理解しようと、陽子は真剣に観察する。


「何か欲しいのがあれば、参加してもいいんですよ?」


「喋る羊がいくらになるか分からないんで遠慮しておきます」


 数十品が終わり、いよいよラストの目玉商品に切り替わる。


 スタッフが舞台袖から布のかかった台車を押して、中央で止まる。


「本日最後となりますのは、現代ではかなりの希少種とされているヒトの言葉を話す″喋る羊″でございます!」


 司会の人が布を勢いよく捲ると、ケージに入った(メリイ)が大人しく座っていた。


「数百年前、神が地上に居たとされる時代では喋る魔物が生息していたと歴史書にありますが、現代では人目につく場所には現れていません」


 司会がマイクを(メリイ)の口に近付ける。


「この可愛らしい羊の魔物と会話をしてみましょう。こんにちは」


 会場がしん…と静まり全員が物珍しさに(メリイ)に視線を集める。


 喋らなければ、嘘だろうという事で手を挙げる者も減るだろう。


「喋らないでくれ……センパイ」


 陽子のお祈りも届かず(メリイ)は声を出した。


「……こ、こんにちは」


 少しの歓声が上がりすぐに静まる。声を聴こうと耳を傾けているのだ。


「今朝は何か食べましたか?」


「………キャベツを少々」


「ご覧の通り、ヒトの言葉に聴こえるではなく、ちゃんと受け答えが出来るのです! それでは始めましょう! まずは百万からです!!」


 150万、200万、どんどん上がっていく。


「まずは二百五十万」


 陽子はパネルで金額を提示する。すぐに250万以上の金額が提示される。


 300万、320万、330万


「……刻んできますね」


「この辺で決まるといいんですけど」


 陽子は350万を提示した。


 勢いが止まった。


 ライバルが減ったのだ。


 だがすぐに380万に上がる。


 そこからは一騎打ち、400万を超えた所で陽子は勝負に出る。


 500万。


 少しして、520万の提示が。


「まだ諦めてくれないか……」


「まだ上げて大丈夫ですよ」


 550万。


 580万。


 650万。


「700万!」


 司会の大きな声に会場から歓声のような驚きのような声が上がる。


 陽子は下唇を強く噛んだ。


 750万。


「800万! 800万です!」


 再び会場がざわつき始める。


「マジかよ……」


「どうですか!? 800万! 決まりですか!」


 850万。


 司会がモニターを見て叫ぶ。


「出ました850万!!」


「頼む、決まってくれ…っ」


「決まりました! 850万で落札です!!」


「ふぅー……結局全部使っちまったー」


「おめでとうございます」



 その後、別室でメリイと再会した陽子たちはケージから出して思いっきり抱きしめた。


「確かに、入金確認しました」


 すっからかんになったカードが返却され、陽子は苦笑しながら小さな鞄にしまう。



 陽子たちは話をする為に会場を後にし、人気のない場所へと移動した。


「お陰様で無事に仲間を取り戻せました。ありがとうございました」


 陽子に続いて吹雪も頭を下げる。


「約束ですからね。次はこちらが助けてもらう番です」


「闘技場、ですよね」


「はい、3人1組で出場して優勝賞品を獲得してください」


「3人1組!?」


「はい、そちらの羊さん、お仲間なんですよね? なら戦闘も可能かと」


 全員が吹雪の腕の中に居る(メリイ)を見る。


「そーいや、いつまで羊で居るんです? 人間に戻ってくださいよ」


 メリイはあたふたしながら答えた。


「どうやって戻るの?」


「「え??」」


「え?」

 

 全員が首を傾げた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ