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7—11 チームA+その4


「あたしのもう一つの能力を見せる時が来たね」


 陽子(ようこ)は列に並んでチャレンジャーと連勝してる男の動作を観察する。


 弾は5発。止まっている的に動いている的、最奥にある小さな的。


 それぞれ得点が異なり、ガンマンと呼ばれる連勝男は動く的を中心に得点を稼いでいる。


 最奥の小さな的まではおよそ百メートル。


 止まっている的は二十五メートルから五十メートルまでの間に設置されており、動く的がその先七十五メートルくらいから設置されている。



「次」


 黒服サングラスのスタッフに呼ばれて、陽子は自分の番だと気付いた。


 早足で分厚いガラス扉を開けて中に入る。


「チップは?」


「100」


「オーケー、先攻と後攻どっちがいい?」


「コイントスじゃないんスか?」


 見て来た人は全員コイントスだった。


「可愛い女の子にはサービスだ。選ばせてやるよ」


「じゃあ後攻」


「実弾じゃねーが、ちゃんと耳当てするんだぞ。鼓膜がイカレるからよ」


 男は位置につき銃を構える。


 止まっている的は各10点

 動いている的は各30点

 最奥の的は50点


 全5発での得点で勝敗を決める。


 待っている時、モニター越しに見ていたが実際に立つと思ったより遠く、的が小さく見える。


 男は見事に5発とも命中させ、150点を出した。全弾動く的に当てたのだ。


 左右に移動しながら浮き沈みする的に当てるのは難しそうではある。


「…………」


 陽子が勝つ為には、最奥の50点に当てるのは絶対だ。4発動く的で1発当てれば。


 1発目、外れ。動く的を狙った弾は僅かに右に逸れた。これで最奥の的に2発当てなければ勝ちはない。


 しかし陽子に焦りは無かった。


 第二の能力(スキル)。スナイパーとしての目は1キロ先でもくっきりと見える。


 1発目は試し撃ちをし男に細工された銃の特徴を確認する為である。


 男の技術はすごいのだろう。しかし対戦相手があまりにも弱すぎた。


 50点未満続出は、流石にやっているだろうと思った。


 2発目、動く的に命中。


 よし、掴んだ。


 3発目、最奥の的に命中。


 そして4発目も最奥の的に命中し、振り返って確認はしないが男は驚愕(きょうがく)している事だろう。


 最後の5発目を撃ち終えて振り返ると、案の定目を見開いたまま男は固まっていた。


「お疲れ様、あたしの勝ちです」


 最奥の的のど真ん中に命中させ、180対150で陽子が勝利を収めた。



 仮に、男が最奥の的に当てる実力があったなら、200点越えをされていたら勝ち目は無かっただろう。


 しかし自分が先攻で実力も分からない相手だが細工した銃なら150点で十分だろうと思ってくれた。






「だから後攻を選んだんだよね」


「あんな実力、今まで隠してたの?」


「披露する機会が無かったんだよ、銃も持ってないし」


 カジノからの帰り道、大盛り上がりの陽子と吹雪(ふぶき)。そこにウェスタールが拍手をしながら入って来た。


「素晴らしいものを見せて頂きました! これなら闘技場優勝も確実というもの!」


「銃持ってないですし、相手によりますってば」



 カジノでのガンマンとの対戦後、連勝に連勝を重ねて目標額に到達した陽子たちはオークションに向けての準備を始めた。


 すっかり深夜帯で野宿を考えたが、ウェスタールにそんな大金カードにしたを持って野宿は危険だと言われ、彼が泊まっているホテルへと向かった。


 2人部屋を新たに取り、おそらく初めてのセキュリティが万全な部屋で眠った。



「いつもは先輩たちが居て騒がしかったから、こんなに静かなの久しぶりかも」


「ははは、柑奈(かんな)センパイと(せい)センパイでしょ。まぁ人数居れば大体騒がしいかもね。楽しいからいいけど」


「イズナ先輩たち、大丈夫かな……」


「大丈夫でしょ。ミカセンパイも居るし」


「めちゃくちゃ強いもんね、前に戦った時勝てないと思ったもん」


「あたしはそん時の記憶無いけど」


「ケモ耳全員敵とか地獄でしかなかったんだからね」


「ほんとにねー」


「全く、他人事(ひとごと)だと思ってー」


「ごめんごめん……もう寝よっか」


「もー……おやすみ」


「おやすみ」



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