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7—10 チームA+その3


 羊牧場から北に進んだ所に都市があり、その歓楽街にカジノがある。


「この地下にカジノがあります」


「帰ります」


「どうしてです!?」


 ここまで陽子(ようこ)吹雪(ふぶき)を案内して来た男、名をウェスタールは驚きの声を上げた。


「凄く怪しい場所なんですもの」


「確かに薄暗いですけど……あ、あそこのマダムが入って行きますよ! そっちの紳士も!」


「冗談ですよ、入りますよ。あと先に伝えておきたい事があるんです」


「はい」


「闘技場に出場しても、優勝できる保証はないので……その辺わかってもらえると」


 するとウェスタールは微笑んで答えた。


「大丈夫ですよ、あなた方のような異世界人に勝てる相手は限られてきますし。悪魔も鬼も出てこないかと」


「———異世界人とは、なんですか…?」


「この世界ではない、別の世界から来た人の事を言うんです。転生か転移の違いはありますけど」


 ウェスタールは陽子の目付きが鋭くなるのを感じ、更に続ける。


「実は以前に異世界人と旅をした事があるんですよ。特徴としては、詠唱無しで魔法を使ったり常人離れした身体能力、世間知らずに、ハーレムを築く所や王族と知り合う一般人などなど」


「その異世界人はどうなったんですか?」


 陽子が尋ねるとウェスタールは思い出し笑いでもしたのか、笑顔で答える。


「今でもどこか辺境の地で暮らしてますよ。でかいドラゴンをペットにしているので街に住めないんで」


 だから異世界人には理解があるとウェスタールは言った。


 世界各地に色んな異世界人が居るから、いずれ会うかもしれないし会わないかもしれない。


 話は一旦そこで終わりにし、3人は改めてカジノへと向かった。



 入口に立っている黒服の人にカードを見せて、どうぞと扉を開けてもらう。


 今まで、カジノやギャンブル関連は一切してこなかった陽子と吹雪は雰囲気に圧倒された。


 スロットやカード、ルーレットに射的などもあり、様々な勝負事があちこちで行われている。


「まずはお金をチップに変えます。お好きな所で勝負をしそのチップを……そうですね、まずは五千枚を目指しましょう」


「それで足ります?」


「オークションで使うのであれば、五万枚あれば大抵の商品は買えるでしょう」


「……初心者にオススメで一番稼げそうなのはどれですか?」


「基本的にどれも運頼みなところがあります。小遣い程度ならカードゲームが手っ取り早いですが実力も必要ですしね、後は射撃のイベントが始まった時ですかね。完全に実力勝負ですが、勝てば一番稼げます」



 手始めにと、ウェスタールは2人に二百枚ずつチップを渡した。


 吹雪はカードゲーム、陽子はスロットにそれぞれ挑戦してみる。


「あー当ったんねー」


 陽子はスロットで半分まで減らし、吹雪は


「最初は勝ってたんだけど……」


 チップが五百に到達した所から負け始め、二百枚になる前にストップをかけた。


 2人合わせてマイナスである。


 後は運試しのルーレットやレースもやってみたが成果は得られず。


 そうこうしている間にイベントが始まるのだった。


「射撃でしたっけ」


「ええ、用意された銃を使って的に当てる勝負です」


 2人のプレイヤーが隣り合わせで交互に撃ち合い、多くのポイントを稼いだ方が勝ち。


 プレイヤーは互いにチップを賭けて勝者にその全てを渡す。その後続けて勝利をすれば倍のチップが獲得できる。


 陽子と吹雪のチップを合わせて百枚程度、それを全て賭けて増やす作戦に出るしかなかった。


「少ない方の全額に合わせて勝負が行われます。相手の所持枚数が百枚以上であれば百枚ずつ合計二百枚でスタートし、勝った方に二百枚が渡されます。その繰り返しですが、連勝ボーナスで更に増えます」


 大勢の人が集まり、序盤は勝ったり負けたりだったが、1人が連勝を始めた。


「運悪く今日もいらっしゃいまたか、ガンマン」


「知ってる人なんですか?」


 陽子が尋ねるとウェスタールは苦笑して答える。


「常連なら知ってますよ、あの方これまで負け無しなんです」


「ほう」


 陽子は挑戦者席へと歩き出した。


「今は止めといた方がいいのでは?」


「負け無しなら負かしたくなるじゃないですか」


「自信がおありで?」


「お祭りの屋台の射的、けっこううまかったんですから!」


「ヨウちゃん頑張れー!」


 陽子は親指を立ててそれに応えたのだった。



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