7—7 チームAその7
「おおっ……」
鬼の女ボスは、イズナの姿に感嘆のため息を漏らした。
伝説上でしか知られていない、九尾の狐を見るのは初めてである。
「狐に化けるたぁ諦めの悪い!」
九尾を前にしても鬼は怯む事なく掴みかかる。
「愚かな」
尾の一本に青い炎が浮かび上がり鬼に向かって放たれた。
「グォォォォォォォォォ———」
それを正面から受けた鬼は炎に包まれ、やがて燃え尽きて消滅した。
イズナは再びツナキの方に視線を向ける。
鬼の姿をしたツナキは冷や汗をかきながら、すぐに倒れている潤葉を掴み上げ首筋に爪を突きつける。
「コイツの命が惜しくば動くな」
「賞品だったのでは?」
「知るか! 元々お前らはオマケなんだっ」
「……アナタにはここまで連れて来てくれた恩があります。どんな理由があろうと……」
「———ッッなんだ、身体が、動かねぇ……!?」
イズナは周囲に青い炎を撒き、鬼を地面を建物を燃やして燃やして大きな火事になる。
「鬼の姿をしていようと、半分はヒト。私の術からは逃れられない」
イズナの両目が赤く光るとツナキの身体は更に強張り腕の中に居た潤葉がズルズルと落ちた。
一歩一歩進み
「何なんだっ何なんだよ!!? お前はいったいっ」
「私は哀しいです。でも、もう…どうしようもないんですね」
「……ま、俺は鬼だからな…親にバレたくなくて家出して…次に会った時は墓ん中、ろくに家業を継げなかった親不孝もんさ」
どこか諦めたツナキは降参とばかりに目を閉じた。
「そんな、ヤレよみたいな態度とられましても……自分たちの目的はひとつだけ、仲間と無事に帰還する事なんで。残念ながらアナタは仲間では無かったという事で、紅葉ちゃんとそこの2人とミカちゃん連れて帰りますわ」
イズナはミカを咥えて上に放り投げると背中に乗せ、潤葉とネコネも同様に回収した。
「さようなら」
それだけ言葉を残し、イズナは暴れている紅葉の元へと向かう。
「待ちな九尾」
鬼のボスが目の前に立ち塞がる。
「何ですか? 邪魔をするなら容赦しませんよ」
「九尾よ、お主は人間側につくという事なのだな?」
———ああ、そうだ
「……そうか、なら行くが良い」
それだけを言うとボスは去って行った。
「ソーキ! もういい、戻って来な」
ボスの呼びかけに反応した鬼は紅葉の前から退いた。
「ガアァァァァァァアァァァァァァアアアアアアッッ」
「紅葉ちゃん、もういいんだよ? 一緒に帰ろう?」
「ゥ……ァ……イ、ズ…ナちゃ、ん先輩…?」
イズナは優しく紅葉の目を見て語りかけると、大人しくなった紅葉は徐々に正気を取り戻し、見慣れた普通の人間の姿に戻ったのだった。
ぱちぱちと、周囲で燃え盛る広場で、1匹の九尾の狐の背中に紅葉は跨る。
「先客いっぱいだね」
「落っこちないように注意しててくれるとありがたい」
九尾の狐は駆けて行く。
街を出、森へ入り、来る時に使った小舟へ。
こうしてイズナたち5人は、鬼ヶ島を後にするのだった。




