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7—4 チームAその4


「船が一隻こっち来るぞ」


「人間か?」


「ああ、5匹だな」


「男か女か?」


「んーと、男1に女が4だな」


「ひひ、だったら男は始末して女は捕まえろ。ボスに伝えて来る」


「りょーかい」




「見て分かる通り、もうすぐ上陸だ。いつ襲いかかって来るか警戒——っ」 


 ミカがツナキの頭を押さえ付け弾丸を回避させた。


「っぶねーよく分かったな」


「何か島の方で光ったから身を低くさせようと」


 ミカは上体を起こすと拳を突き出した。


「うおっ!?」


 鬼の横にある木が凹みそのまま倒れた。


「船の上だと狙いにくいなー」


「おいおい、この距離でやり合うのかよ。まだ相手も見えてないぞ」


 イズナたちも目を凝らすが、小さい何かが見えるだけだった。


「気付かれたってこたぁーマズいかもな」


「何で鬼が銃持ってんのー!?」


「イズナ先輩、砲弾も来るよ」


 複数の鬼たちが一斉に大きな砲弾を片手に投げ付けてきた。


 船の横に落下した衝撃で波が発生し船が揺れる。


「私の能力だと船を巻き込むからミカお願い」


 潤葉(うるは)は海に落ちないようにしがみつく。


 何発か対処すると、ピタリと襲撃が止まった。


 不審に思いつつも、船は上陸する。


「うぷ……酔った…気持ち悪い」


「……ボクも…」


 イズナとネコネはへたり込んだ。


「シャキッとしろお二人さん! ここは敵の住処だぜ——っ!」


「ここ空がめっちゃ暗いんですけどーって、言ってる場合じゃないか」


 ミカが周囲を見渡すと複数の影が。


 10、いや20……鬼に囲まれていた。


 その内の1匹の鬼が前に出て来て言った。


「ボスがお呼びだ。付いて来い」


 他の鬼と比べれば人間に近い見た目の鬼はしっかりと洋服を着ている。周りのにやにやジロジロ見てくる鬼たちは絵本で見る姿に近い。赤鬼、青鬼だった。


 鬼たちは道を開け、案内役の鬼が歩いて行く。イズナたちに肩を貸しながら進む。


 道中無言で進み、街のような場所に辿り着きそのまま広場まで行くと、更に多くの鬼の集団が居た。


 奥には大きくて派手な椅子に足を組んで座っている一見綺麗な女性のような鬼がイズナたちを見ていた。


「連れて参りました」


「ご苦労、さがってよい」


 案内役の鬼はそう告げられると椅子の後ろにある建物へと消えた。


「よくぞ参った。随分と若い娘だな。そこの男は、ただの男ならば即刻首を刎ねている所だ」


「怖いこと言うねぇ、俺のこと何だと思ったんだい?」


「鬼退治を専門とした家系の末裔だろ? その辺の若い衆なら返り討ちよ。だから生かしておいた」


「………ここに連れて来た理由は?」


「用があるのはそっちだろう?」


 ツナキはイズナたちに視線を向けると頷いて、正面の女の鬼を見る。


「直近で攫った人間の女に会いたくてね」


「はて、人間の女なんぞ攫ったかな?」


(とぼ)ける気かい? それとも、その辺の若いのが勝手にした事だってか?」


「人間がこの島に踏み入るのはお主たちが数十年ぶりくらいだっかの?」


「白髪の女、目撃情報があるんだ」


「白髪、ねぇ……ああ、同胞の事かな?」


「同胞、だと?」


「最近の話だと、それくらいしかわからんしの」


 女の鬼が片手を挙げると、建物の奥から鬼が現れその後ろを鎖で繋がれた人物が歩いて来て


紅葉(もみじ)ちゃん!?」


 虚ろな瞳だが、見知った顔だ。イズナたちはその姿をまじまじと見た。


 鬼原(きはら)紅葉(もみじ)、その人だ。


「こいつは今日の賞品でな」


「……賞品、だと?」


 ツナキは目を細め訝しげに見る。


「年に一度の余興だ。子を孕ませる、な」


「ッ!?」


「トーナメントで優勝した奴がこいつを貰い、子孫を残すなり好きにさせるやつだ」


 イズナは無言で下唇を噛み締める。握る拳に力が入るのがわかる。


「そして喜べ! 今宵は人間の娘も付けてやるぞ!」


「オオオオオオオオオオオオォオオオオオオオオオオオオオォオ」


 地鳴りのような、耳をつんざく雄叫びが響き渡る。


「何をッッ!!」


「いくら鬼退治の力を持っていようと、この数相手では敵うまいよ」


「ッッ!!」


「ツナキさん、落ち着いてください。トーナメントでしょ、自分たちが出て優勝すればいいんです」


「! そうか、1対1なら」


「ほう、出場するか。男ならヒトリ娘なら二人での出場を認めてやろう、ただし一組だけな。それと男のお主が出るならば、遠慮なく首を刎ねるからそのつもりでな」


「上等!」


「ツナキさん待って、そこまでしてくれる必要は」


「バカ言うな。俺は専門家だぜ? 多数ならまだしも鬼の1匹くらい」


「それでも駄目です。もしもの時の為に温存しててください」


「それは…?」


「優勝出来なかった場合、紅葉連れて逃げる時です」


 イズナの強い眼差しに、ツナキは頷いた。





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