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7—3 チームAその3


 鬼原(きはら)紅葉(もみじ)


 勝ち気で自信家。身長173センチのメンバー内でトップクラスの高身長。


 高校女子バスケットボール部でエース。チームを全国に導いた彼女は、何故かアイドルの道へと進んだ。


 彼女の弱点と言えばホラー系。強がってはいても時折出す悲鳴が可愛いと評判。配信でよくホラーゲームの実況プレイをさせられるのがお約束。


 幽霊や妖怪の類が苦手な彼女が、突然魔物やら鬼に迫られたらどうなるだろう。


 普段なら脱兎の如く逃げ出すだろう、それとも勇敢にも立ち向かったのだろうか。





 白髪の女性の目撃情報はすぐに得られたが、鬼に攫われたというのを目撃した人は見つからなかった。


 波止場に居た最後の男性に話を聞くと、どうやら息子が何かを見たせいで数日引きこもっていると言う話を聞いた。それが関係あるかは分からないが、お願いしてその子供に合わせてもらえる事となった。


 家は割と近く、玄関の戸を開けると


「いい加減、外に出なさい! いつまでそうしてるの!?」


 母親らしき女性の声が聞こえて来た。


「いやだっ引っ張らないでっ」


「だったら理由を話しなさい、もう話してくれてもいいでしょ?」


「それは………っ」


 それでも話さない子供に怒った母親は、強引に引っ張り


「———かはっ」


 投げ飛ばされた。母親が。壁に背中を強く打ち付けた母親はそのまま倒れ込んだ。


「おーどしたどした!?」


 そこへイズナ達をここに案内した父親が母親に駆け寄る。


 日中なのに部屋が薄暗く奥に居るであろう息子の顔がよく見えない。


「〜〜〜っっあーっもう!!!」


 息子が叫ぶと地団駄を踏み、床を踏み抜いた。


 予想だにしていなかった展開にイズナ達は玄関付近で動けずに、家族のやり取りを見ていた。


「タツヒコ!」


 今にも駆け出しそうな息子を父親が呼び止める。


「ごめんよ……父ちゃん……ごめんよ……母ちゃん」


 大粒の涙を流す息子の顔を見たイズナ達は、驚きの声を出しかけて口を抑えた。


 息子の額に角が生えていたのだ。


「何が、あったんだい…?」


 イズナは目の前で泣きじゃくる子供、タツヒコに優しく話しかける。


「……お姉ちゃんたち、だれ?」


「自分はイズナ、こっちは潤葉(うるは)とミカ。人を探していて、君に聞きたい事があるんだ」


 イズナは白髪の女性、紅葉について訊ねた。


 タツヒコは顔を強張らせて無言になり、身体を震わせ始めた。


 その反応を見て、イズナたちは確信する。ほぼほぼ、紅葉だと。


 その後、ゆっくりと話すタツヒコの言葉をしっなりと聞き、お礼を言うとイズナ達は家を後にするのだった。




「話をまとめると、数日前に紅葉ちゃんがこの町を訪れて海を眺めて居た所、鬼達に囲まれて連れて行かれたと、タツヒコくんはそれを目撃してしまい逃げ出そうとしたが気付かれ変な薬を飲まされた」


 そして、時間が経過すると角が生えて制御出来ない程のパワーを得てしまったのだと。


 あまりの恐怖に両親に打ち明ける事が出来なかったのだという。


「鬼が薬を飲ませて来るって、なんだろーね?」


 イメージとしては金棒を振り回して殴って来るとかだが、詳しい知識は無いので考えても答えは出ない。


「結局、鬼ヶ島に行かないと何だけど……ネコちゃんたちと合流しないと」


「呼んだー?」


 イズナが呟いた瞬間に足下に居る猫が喋った。


「ネコネ! 他の2人は??」


 ミカが抱き抱えるように持ち上げ、訪ねた。


 ネコネは陽子(ようこ)たちの事を説明し、イズナたちは「ふんふん」と頷いた。


「取り敢えず、メリイちゃんの事はそっちに任せよう。ネコちゃんはこっちに来るのかい?」


「うんーそのつもりー」


 ネコネが合流し、4人は再び波止場に向かった。




「よう、収穫はあったかい?」


「だれこのおじさん」


 ツナキが気さくに話しかけて来たが、ネコネがジト目でイズナを見た。


「さっき鬼が出た時に居たでしょ」


「……そうだっけ?」


「そーだよ」


 イズナは鬼ヶ島に行く事をツナキに告げた。


「……そうかい、なら俺が船を出してやろう」


「いいんですか…?」


「まあ、そんなデカくない小さいヤツだが、5人は行けるだろ」


 イズナたちは手招きするツナキに連れられて、彼の小船が停めてある場所へと移動する。


「先に言っとく事がある。鬼ヶ島はこっちの、人間の常識が通用しない。向こうのルールが全て、何があっても自己責任だ。これ昔からこの町の常識」


 真剣な表情でツナキは続ける。


「もし逃げなきゃってなったら、俺に構わず船で帰れ。アンタらの囮くらいにはなってやる。一応言っとくが、個人的な脱出方法があるってだけだから気にすんな」


「はい」


「俺も行くのは初めてだが、ガキの頃からたくさん聞かされて知識だけはある。安心しろ」


「はい」


「いや実際の鬼との戦闘は経験ゼロだぞ、不安だろ」


「はい……い?」


「あっはははははは! 言っただろ? さっきの鬼は弱体化した雑魚だって、ガチでヤバい存在の鬼の住処にこれから行くんだぞ? 魔物退治ばっかやってる俺でも震えるわ!」


「我々は鬼退治が目的ではありません、仲間の救出が目的です。なるべく戦闘は避けて行きましょう」


「……それが一番だわな、ははは」



 やがて鬼ヶ島が見えて来ると、誰もが口数が減り正面の島を真っ直ぐ睨む様に見ていた。



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