7—2 チームAその2
その昔、鬼が山に棲んでいた時代。
人里に降りて来ては人を襲い攫い暴虐の限りを尽くしていたと言う。
そこで現れたのは
「俺のご先祖さんっつーわけ。頑丈で不死身の様な鬼さんを特殊な力使って退治したんだと」
「それが、さっきのお札ですかね?」
歩きながら説明する男、ツナキは身振り手振りで話すと聞いていたイズナが質問する。
「ま、その一部だな。代々受け継がれてるありがたーい力さ」
「でも、鬼を見た事無かったんですよね?」
「俺の代でも親の代でも見た事ないな。棲み分けされてるからだと思うがな……だが、ああやってヒトに化けてたんなら気付かんわな、そこを歩いてる男が鬼だか分からんだろ」
ツナキはすれ違った男性を振り返りながら答える。
「しっかし、さっきの嬢ちゃん凄かったな! 攻撃が全く見えなかったぜ! 弱体化してるとは言え鬼をぶちのめしたしな」
後ろを歩くミカに視線を向けるとツナキは豪快に笑った。
ミカが「弱体化」に疑問を抱くと
「聞いた話だけどな、日中は弱体化してて夜になると本来の力になるんだと」
弱体化していても、普通の人間よりもパワーがあるから誰でも勝てる訳ではない。
「と言うわけで、ここが波止場でこっちの方角に進んだ所に鬼ヶ島があるそうだ」
イズナと潤葉、ミカは案内してくれたツナキにお礼の言葉を告げてから聞き込みを始めるのだった。
「喋る羊?」
たまたま聞こえたその単語に陽子は足を止めて聞き耳を立てた。
「明日のオークションの商品で出るって話だ、喋る魔物なんて珍しいだろ? 歌も歌えるんだとか」
「………」
「どうしたの? ヨウちゃん」
立ち止まっている陽子の元へ吹雪が駆け寄って来る。
「………可能性は、あるか」
呟くと陽子は会話している男たちの方へと歩いて行く。慌てて吹雪も後を追った。
「その羊の事を詳しく教えてくれませんか?」
話を聞き終えた陽子は考え事をしながら道の端に移動する。その横に吹雪が並んで説明を求めた。
「5期生の先輩に、羊皮メリイって先輩居るじゃん? もしかしたら、この世界で羊になってんじゃないかなーって」
「可能性の話ね? 確かに名前由来の動物になってる先輩は居るけど……喋る羊がそうだって事?」
「可能性はあるかなって、オークション前に確認する必要あるな」
「でも今、紅葉先輩の聞き込みだよね?」
「そーなんだよねー」
陽子が頭を抱えると、どこからともなく声がした。
「ふっふっふ、お困りかね? そういう事ならボクがイズちゃん先輩に話しておくから、行って来なよ」
塀の上を歩いていた猫がピョンと飛び降りて来る。
「いいんですか?」
「ボクも喋る猫だからね、可能性は高いと思うよ」
「ありがとうございます! 違ったらすぐ戻って来るんで」
陽子は頭を下げると駆け出して行った。その後を吹雪も続く。
ネコネは2人を見送ると再び屋根に登り屋根伝いにイズナたちの居る海へと向かった。




