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「またこの空を見るとは思わなかった」
椿芽が目を開けると青空が見え、顔を右に傾けると琥博と目が合った。
「……おはよう」
「……………おはよう」
何故か気まずそうに挨拶を交わした。
「まだ生きてるんだ」
椿芽が左に顔を向けると手のひらを空に向けて伸ばしている沙智がいた。
「……私たちは、どうなるんだろう」
「お前らはこれから晴たちと一緒に行くんだよ!」
晴が椿芽たちの顔を覗き込んできた。逆光で顔が見えないけど。
「……でも私たちは先輩たちを……」
「ンなの関係あるかっ! ちょっとこっち来い!」
3人はすぐに立ち上がり晴の前で整列する。
「悪い事したと思ってんなら、尚のこと一緒に来るんだ! 風香の為にも」
「私たち、風香に合わせる顔がないです」
「風香ちゃんはどうしてますか?」
俯きながら喋る椿芽に恐る恐る質問する琥博。
「んー……風香はなー」
晴はどこか言いづらそうに頭を掻きながら視線を彷徨わせる。
「っ……なにか、あったんですか?」
すると背後から人影が現れ、椿芽、琥博、沙智の肩をトントンと叩いた。
それに驚いた3人は振り返ると、満面の笑みを浮かべた風香がそこに居た。
「今回は私の気配、わからなかったでしょー?」
「「「風香!!!」」」
「えっ!? なにっ??」
3人は一斉に風香を抱きしめる。そして何を言うでもなく、3人とも嗚咽混じりに泣きじゃくった。
風香は驚きと気恥ずかしさで慌ててたが、次第に優しく3人の頭を撫で始めて……風香も涙を流した。
何度も何度も「ごめんなさい」を繰り返し、4人が泣き止んだのは莉衣奈が戻って来てからだった。
どうやらずっと、うさぎを探していたらしい。
「最初は遠目に見えたんだけど、その後逃げられちゃって。妖精でこっちの様子を見られてるだろうから難しくて」
「ほんと、あの馬鹿は集団行動が出来ないな……ほっとくって言う選択肢はリーダーにはないんだろ?」
話を聞いていた真希がぼやくと、莉衣奈は苦笑しながら頷く。
「……わかった。私とセミノで捜索係を引き受けるよ」
「え!? あーしですか??」
近くに吹雪らと居たセミノは驚く。
「ああ、お前の虫が必要なんだ」
「それって、あーしじゃなくて虫だけ必要って事ですよねー?」
「いやいや、お前も必要だぞ、居ないと虫が呼べない」
「だから虫だけじゃないですかー?!」
「2人だけで大丈夫? 私も行くよ」
「いや十分足りてるからリーダーたちは他のメンバー探しを優先して欲しい」
「あーしは納得してないんですけどー!!」
「よしよし分かった。向こうで私と話し合いをしようじゃないか」
にこやかに真希はセミノの肩に手を置くと、人気のない場所へと連れて行った。
その後、全員が集まって今後の話し合いを始めた。
その前にと、椿芽、琥博、沙智が前に立ち深々と頭を下げて謝罪をする。
エルと柑奈が最初軽く文句を言ったがすぐさま受け入れるのだった。
「それと、もう一つ。ここに眠っている凛々何ですけど、彼女の魂が別の場所に封印されているので、それを取り戻すまでは先輩たちと行動出来ません」
椿芽は重ねて謝罪する。莉衣奈は挙手をして質問する。
「それって、場所わかってるの?」
「大体の方角ですけど、凛々がアクマの封印を解いた場所ですので……辿り着くのは迷路みたいなものなので、大変ではありますが」
「だったら、私が付いてってもいい?」
「え!? 嬉しいですけど、我々3人だけでと思っていたので…」
椿芽の言葉に風香が不満そうに言う。
「私、仲間外れなの?」
「そうじゃないんだけど……自分たちのやらかしは自分たちで解決しようと……」
琥博が言葉に迷っていると、莉衣奈が手を叩いて言う。
「水臭い事言わないでよ! じゃあ、監視役として付いてくよマホちゃんと一緒に」
「ほへ?」
まさかの指名にマホは間抜けな返事をした。
「手伝って貰えないかな?」
「んー……りょーかい!」
「監視役、とは?」
琥博が莉衣奈に質問すると、笑って答えた。
「終わった後にちゃんと合流するか、ね。メンバー全員で帰るのが目的だから」
「はあ……」
「ちなみに言っとくけど、3人のアクマとの契約は解除しておいたからね?」
風香が挙手をして発言する。刀をチャキンと抜き差ししながら。
どうやら、3人を斬り伏せたのは繋がりを断ち切る為だったという。上手く行くかは賭けだったそうだが。
先程背後から近付いて気付かれなかった事で確認したようだ。
嫌でも光の力が近付くと分かってしまうのは、アクマと繋がっていたから。それを感じないのは断ち切れたから。
3人は苦笑しながらも、どこか安堵していた。
凛々の魂を取り戻すチームは。莉衣奈とマホ、そして7期生全員。風香と椿芽と琥博に沙智の6人。
うさぎちゃん捜索チームは。真希とセミノの2人。
残りは二手に分かれるチーム。
イズナ、ネコネと潤葉にミカ、吹雪と陽子の6人。
柑奈、響とリアに晴、羽海とまもりにエルの7人。
計4チームに振り分けた。
出発は明日。まずはジャングルを越える事を目指す。
「チーム分けって、私好きなんだよねー」
「わかるッス! 小学校の時とか席替えして班を変えてたのが好きだったッスよ」
寝そべりながら柑奈が言うと晴が同意する。
「クラス替えとかワクワクしてたッスもん」
晴が寝返りをしながら続けると、柑奈が晴の方に身体を向ける。
「そうそう、でも自分では決められないから勝手に決めて欲しいんだよね」
「いつものメンバーで固まるのも楽しいッスけど、他の人とも絡んでみたいって思った時、先生とかくじ引きでランダムに決めるのとか良かったッスよ」
「ちなみに、このグループ分けって莉衣奈ちゃんが決めてるのかな?」
「イズナと話して決めてるって言ってたよ」
「ひびきちゃん! 起きてたの?」
「アンタたちがうるさくて眠れないの! 朝早いんだからさっさと寝なさい」
「「はーい」」




