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6—8


———光のモノが来る


「……それは?」


 アクマから突然の呼び出しで集まった、椿芽(つばめ)琥博(こはく)沙智(さち)は首を傾げた。


———アレは良く無いモノだ。直ちに抹殺するのだッ


 いつも淡々と告げていたアクマが、珍しく声を荒げる。


 3人は互いに顔を見合い更に説明を求めた。


 それは海の向こうから近付いてきており、時期に上陸するだろうと。



 それから数日後、沙智が先輩たちを連れて帰って来た。


 この世界で初めての出会いに喜んだと同時、椿芽たちは嫌な予感がした。


 凛々(りり)がアクマに肉体を乗っ取られたあの日から椿芽たちは無理矢理契約をされた。


 だから今の椿芽たちにはアクマの力が流れ、光のモノの嫌な気配を察知してしまう。


 ふと椿芽と琥博は沙智の顔を見る。少し強張った表情だったが、すぐに真希(まき)の方へ抱き付きに行って気を紛らわせていたのを見て、予感から確信へと変わった。


 風香(ふうか)が声を掛けて来た瞬間、わかってしまった。


 アクマの命令は逆らえない。


 3人は寝る前に話し合う。


「……どうする?」


 不安そうに琥博が2人を交互に見て言う。


「私は嫌だよ……風香ちゃんをヤるの」


 沙智が俯き膝の上で握り拳を作って震えていた。


 それは当然、他の2人も同じ思いだ。


 一緒にデビューして、ライブに向けて歌やダンスを頑張って5人の新曲も出来て。


 先輩の誰であったとしても、嫌なモノは嫌だ。


「………私がやる」


 静かに椿芽は言葉を紡いでいく。


「仲間に誘って……断られたら」


 その言葉に他の2人は反応する。


「仲間にって、アクマが許すわけないでしょ」


「どんな攻撃でも無効化していたアクマが警戒する唯一の存在。もしかしたら、凛々を助ける方法があるかもしれな——っ!?」


 バッと椿芽は背後に振り向く。


 そこには何もなく壁だけだった。


「どうしたの…?」


 琥博が恐る恐る聞くと、椿芽は被りを振る。


「いや……何でもない……」


「汗が凄いけど……本当に大丈夫?」


「……ああ(今のは何だ…? 誰かに見られてたような…)」



 そして結果はあの通り。


 風香は仲間になるのを拒絶し、椿芽との戦いの末命を落とした———はずだった。


「(すまない風香……私たちは、私は言い訳する理由が欲しかったんだ。仲間に誘って断ったらコロス。お前が先輩たちを見捨てるわけがない、そう分かっていた。忠告はした、選んだのはお前だと)」


 あそこまでズタズタに引き裂かれたのに、再び目の前に現れた時は復讐に来たのだと思った。


 それは琥博や沙智も同じ。本来の彼女なら、復讐はしたいだろう。しかし志半ばで倒れた心の中から生まれたのであれば、それは否定できない。




 アクマが沙智を盾にしたがお構い無しに風香は刀を突き刺した。


 抵抗出来ないとは言え、沙智も内心では受け入れていた。


 刀を引き抜いた風香は鞘に納め、沙智と重なるように倒れているアクマを見下ろす。


 するとアクマが乗り移った凛々の肉体が、ビクンビクンと跳ね上がった。沙智は転がり落ちる。


 跳ね上がりが大きくなった所で、口から黒い塊が出現した。


 ピンポン玉サイズから膨れ上がりバスケットボールくらいの大きさになり、ドクンドクンと心臓のように鼓動が聴こえた。


「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァアアアアアァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ」


 黒い塊から全方向に突風のような衝撃が起こり、風香は吹き飛ばされる。空中で体勢を整えると綺麗に着地をし立ち上がる。


 そして目の前に居る琥博を刀で斬り伏せると一直線に椿芽の元へと駆け出した。


 その間、風香は無言で無表情で、ただ一点だけを見つめて。


 戦う力も気力も無くなった椿芽は、覚悟を決めたように風香の方へと歩を進め両腕を横に広げた。


 目の前で起こっている事に付いて行けていないイズナは、言葉を発する事もできず、ただ見ている事しかできなかった。


 そして風香は椿芽をも斬り伏せると、踵を返し再びアクマの元へと向かって行く。



 黒い塊が出た事で、凛々の肉体は人形のように倒れており、その真上ではアクマが力を暴走させていた。


「大丈夫、全てを終わらせるから」


 誰に向けて言ったのか、風香は呟くと低い姿勢で駆け出した。


 アクマの止まらない攻撃は、常人なら近寄る事すら出来ず倒れるだろう。しかし光のオーラを身に(まと)った風香は構わず突っ込む。


「来ルナ来ルナ来ルナアアアァァァァァァッッ我ハ最強何ダァァアアァァァァァァアァァァァァァッッ」


「最強…? 私にとってお前はザコなんだよ、椿ねえの方が強い!!」


 全速力で突っ込んだ風香はすれ違いざまに抜刀術で真っ二つに切り裂いた。


 すると黒い塊は爆発を起こし、消滅した。



「……ほんと、すげーな」


 一部始終を離れた位置から見ていた真希(まき)が風香の元へ歩み寄り声を掛けた。


 風香は振り返ると、やり切った清々しい表情で告げる。


「後はお任せします。私はもう限界なんで」


 言った直後に、電池が切れたように風香はその場に倒れた。


「お、おいっ」



 その後、真希は壺を用意して回復アイテムを作成、先にリアとネコネを起こすと2人に重傷者の治療を任せるのだった。



 椿芽たちを含めた全員が治療を終えた後でも、風香は目覚めなかった。



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