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6—7


 前日の大雨で水溜りが数ヶ所あり、そこに倒れ込むと服や髪がびしょ濡れになるのが堪らなく嫌だ。


 レーザーで身体を貫かれるか、謎の黒いエネルギー波で吹っ飛ばされるのとどちらがマシか何て考えるだけ無駄。


 その場に居たモノの殆どがそのどちらかで、立っている者は片手で数えられる程度だ。


「ソロソロ食事ノ時間ダ……鷹宮(タカミヤ)ヨ、支度ヲシロ」


「………ッぐぅッ……は……はいぃっ」


 激痛に耐えながら椿芽(つばめ)は立ち上がり歩き出す。


「(先程アクマに胸を貫かれたと言うのに、何を言い出すのだ悪魔か!? いやアクマか!)」


 心の中でイズナは突っ込むが自分も右肩を巻き添えで貫かれて居るので分かるつもりだ。椿芽が自分以上だと思うと敵対していても同情してしまう。


 そもそも食事とは何だ…?


 イズナは痛みを紛らわせようとごちゃごちゃと思考をフル回転する。


 椿芽はヨロヨロとゆっくりと移動してアクマの前に辿り着く。


「…………」


「何ノ真似ダ?」


 椿芽は両腕を広げて目を閉じる。


「作戦を失敗した責任は私にあります……今の自分に出来ることは、身を差し出すだけっ……」


 今にも倒れそうなのを必死に堪えながら言った。


 しかしアクマは変わらぬ口調で答えた。


「ソノ辺ニ転ガッテイル奴モシクハ後ロノ狐デモ連レテ来ルガイイ」


 そして指をパチンと鳴らすと、椿芽や倒れていた沙智(さち)琥博(こはく)までもが操り人形のように無理矢理に身体を起こされた。


 その時イズナは椿芽たちが操られている可能性に気が付いた。今ではなく昨日からの出来事での話だ。


 力無く、しかし強制的に移動させられている3人は近くのメンバー、エルやまもりの傍まで行く。椿芽はイズナの元へと向かっている。


「サア……ソイツラヲ早ク——ッ」


 アクマは背後からの攻撃を間一髪で躱し振り返ると更に距離を取った。


「………」


 襲撃者はその後を追うように光輝く刀を振るう。


 二撃、三撃と追撃しアクマはそれらをギリギリで躱す。


 今まであらゆる攻撃を受けても微動だにしなかったアクマが避ける。つまりそれは——


「ッグ!?」


 ついに刀はアクマを掠め、捉えた。


「忌々シイ……何故我ガコンナ小娘ニッ」


「っ!!」


 光の刀に斬られたアクマは纏っていた黒いオーラが消え正体が現れる。


凛々(りり)…!?」


 その正体を目の当たりにした風香(ふうか)は一瞬動きが止まった。


 アクマはニヤリと笑うと小さなエネルギー弾を放ち飛び退く。


「ドウダ? コノ肉体ハオ前ノ仲間ノモノデアルゾ? ソレデモ斬レルカナ?」


 凛々は風香にとって親友で、一緒にオーディションを合格してルピナスに加入した同期。


「……椿芽ちゃんたちが従ってるのって、凛々ちゃんが人質だからってこと?」


 イズナは再び目の前まで来た椿芽に問い掛ける。


「………」


 椿芽は喋る気力も無いのか無言。現状そうとしか考えられないので、イズナは更に続ける。


「あのアクマはエネルギー不足で、まだ完全じゃ無いんだよね。だったら風香ちゃんを信じて。必ず闇を祓うから」



「早ク食事ヲ寄越セェェエエェッ!!」


 レーザーをエネルギー波を叩っ斬る風香に徐々にパワー不足になって行くアクマ。


 このまま決着がつくのも時間の問題かと思われたその時、ゆったりとまもりを運んでいた沙智の身体が浮き上がりアクマの元へと移動して行く。


 風香は地面を蹴ると一直線にアクマに突っ込んで行き———


「オ前ノ仲間ヲ斬レルカナ?」


 アクマと風香、2人の間に沙智が現れ


「———ッ」


 沙智ごとアクマに光の刀を突き刺した。



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