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「遅いよタカミーどこ行ってたの」
椿芽はログハウスの屋根から全体を見渡すと、風香に気が付いた。
一瞬目を見開いたがすぐにキツく目を細めて睨みつける。
そして屋根から飛び降りると沙智に向かって叫ぶ。
「沙智はこっちに来て琥博を手伝え、私はそっちを対処するから」
「えーっ真希せんぱいと一緒が——っわかったよ」
沙智は椿芽の眼光が鋭くなったのに気付き渋々従う事にした。
「エネルギーがまだ十分では無い、再び捕まえるか直接アクマに食わせるかだ」
「……お世話になった先輩方を食わせる事だけはしたくなかったんだけどね……仕方ないか」
琥博は腰に手を当てて試験管とビー玉を取り出し構える。
相対するのはエルと陽子、吹雪にセミノとマホと羽海である。
「6人でいいんですか? 全員でもいいんですよ?」
「強がるなよ、本調子じゃなくてもこの人数で負けるとかないんだ」
「あれぇ? フラグですか?? 私の戦闘スタイル知らないのに」
「腰が引けてるヤツに言われたくないわ」
エルと琥博が互いに挑発し合う。
「さっさとエネルギーくれた方が後々安心ですよー? 装置のとこに戻りましょーよ」
「ふざけるなぁっ!! あんな空間に居た方がしんじまうわ」
琥博たちの少し横に立った沙智は気怠そうに頭をポリポリ掻きながらぼやいた。
それに対して晴が怒鳴る。
「まあ何があったか知らないけどさ、アクマとか言う奴に味方するんならこーするしかないよね…?」
柑奈がカードを片手に一歩踏み出した。
ここに居るのは、晴と柑奈、響にリアとまもりの5人。それらを見回した沙智は溜息を吐くと
「ひとりに対して5人がかりとか酷く無いですか? せめて1人ずつ」
「残念だけど、これは勝負じゃない。卑怯だろうが何だろうが、負けられない闘いなんだよ」
響は太腿に携帯しているナイフを取り出して構える。
「ガード2人に近接系が1人か……相手になりましょう」
「まさか亡霊になってまで現れるとはな」
「自分でも生きてるのかさえわからない……何でここに居るのかも……確かに心残りはある。例えこの戦いが終わって消えるとしても最後まで戦い続ける。恐れるものは何も無い」
風香は刀を抜き構える。椿芽は最初からムチを構え間合いをはかっている。
「お前が私に勝てない理由のひとつに、甘さと言うのがあった。怒っていても決してお前はかつての仲間をコロせないってな…自分がどうなろうと」
「悪いがその戦いは止めさせてもらうぞ風香」
真希が2人の間に割って入った。
「! 何でですか」
「とあるスジからの情報でな。風香には別の奴と戦ってもらいたい……光の刀を使えるオマエにしか出来ないんだ」
「! っどこからそんな話が」
真希の言葉に椿芽は険しい表情になる。
気にせず真希は続けた。
「コイツらが必死こいて復活させようとしているアクマ、そいつを倒せるのは光の属性しか出来ない。弱点付ける風香が適任なんだよ」
「……椿ねえとは戦うなって事ですか…?」
「ああそうだ。不完全体だろうが何だろうが倒して来い」
「私がそれを許すとでも?」
「許す許さないはどうでもいい。力尽くで行かせてもらうから」
真希が不適な笑みを浮かべながら椿芽と対峙する。
「行けっ」
その言葉と同時に風香は駆け出す。椿芽はすぐさまムチを飛ばすが
「ッ!?」
ムチは別方向に弾かれた。
「ウチの相手をしてもらうよ、椿芽」
ミカがファイティングポーズを取りながら現れる。
「ボクとも遊んでもらうよ」
「ミカ先輩にネコネ先輩ですか。邪魔をしないでいただきたい——ッ」
「よくかわしたね」
椿芽の後方に回り込んでいたイズナが爪で攻撃仕掛けたが、椿芽は翼を使って真横に飛んで避けた。
「貴女の今日の運勢は凶。足下にご注意を」
「!?」
飛んだ先に待ち構えていたのは潤葉だった。椿芽が片足を地面に着いた瞬間に強烈な重力が椿芽を襲う。
両足で踏ん張り地面に膝を付かないで堪える。
「他の人のデータはあっても、私の戦い方は風香ちゃんでも知らないからね。対応が遅れるでしょ」
風香から聞いた情報で、メンバーのあらゆる攻撃パターンをシミュレーションして戦う椿芽は完全初見の潤葉の攻撃は確かに情報が無いから対策のしようがなかった。
そこから更にミカの踏み付けにより椿芽は地面に押し潰されるように倒れた。
「……こん、のぉぉおぉぉお」
目を見開き全身の力を振り絞って無理矢理身体を起こそうと踏ん張る。
そして翼を大きく羽ばたかせた椿芽は重力圏外へと飛び退き、ミカの猛攻を凌ぎながら上空へと飛び上がった。
戦いは各所で始まった。




