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「これはどう言う事か説明しな」
「これからはずーっと一緒に居ましょうねって事ですよ」
沙智に連れられて2階の一室に入った途端に真希は意識を失い、気が付けば牢に入れられていた。
牢と言っても、ベッドやクッションに机など寛げるスペースはしっかり用意されている。
そんな空間に居る真希を沙智は幸せそうに微笑みながら眺めていた。
「トイレに行きたいと言ったら?」
「いいですよ、飲みましょうか?」
「………お前が私に好意を抱いているのは知っている。だがここまでする奴だとは思ってもみなかったよ」
「まあ、早くて2日の辛抱です。それまでここに居ますから」
「その2日の間に何がある?」
「それは秘密です。後でわかりますよ」
その後いくら質問しようが、まともな回答は得られなかった。
トッ
「お帰りタカミー。終わった?」
翼を広げて静かに降り立った椿芽のとこに歩いて行き琥博は聞いた。
「ああ、しっかり始末してきた」
「………そ、お疲れ様。何か戦利品でも?」
「いや、特に何も」
「それじゃあ、一応報告に行きますか」
琥博がそう言うと、2人は移動して行った。
「ぐぅぅぅ……カードが反応しないぃ……10回も使ってないのにぃぃ」
柑奈が何度念じてもカードは光らなかった。
「この中だと、能力が封じられてるんでしょうか……」
まもりが呟くと、響が答えた。
「だったら最初にミカと吹雪を眠らせる必要ないでしょ……まぁ、エネルギー吸われて出せなくなってるんだと思うんだけどね」
時間が経つにつれて、皆んなの元気が無くなっていくのがわかる。
何もしていなくても気力が体力が持っていかれているような。
「あーもう! こんな辛気臭いの嫌だっひびきちゃん歌って!」
「はぁ…? ったくしょうがねーなぁ」
「歌ってくれるんだ」
駄々を捏ねるように叫んだ柑奈に対して響は溜息を吐きながらも歌う体勢をとった。それを見た莉衣奈は思わず呟いた。
「それでは一曲、歌います」
それは響のファーストシングル。1期生としてのグループ曲もあるけど、念願のソロでの曲でファンから”歌姫”と呼ばれるきっかけとなったもの。
今では多くの楽曲があるから、生でこの歌を聴くのは初めての後輩も居るだろう。
歌い終わるとその場に居る全員が拍手をした。寝てる人以外。
「どした、莉衣奈?」
莉衣奈の目から涙がこぼれるのが見えた響は少し驚いた様子で駆け寄った。
「なんか、色々思い出して……涙が出て来た…」
「大丈夫? 莉衣奈ちゃん」
「うん……ありがと柑奈ちゃん、響ちゃんも平気」
———所変わって、とある廃墟
———して、光のモノはちゃんと始末したんだろうな?
「はい」
———ふん。なら良い。キサマの目論見も外れたな鷹宮
「…………」
———気付いておらんとでも思ったか? かつての友人とやらを仲間に引き入れようとしていただろ?
「………いえ、そのような事は…」
———光のモノを吾に近付けてもみよ。どうなるかは説明したと思うんだが忘れたか?
「忘れてなどおりません」
———ふん。して、須藤よ。作戦は順調か?
「はい、首尾良く進んでおります」
———ならば良い。最後まで気を抜くでないぞ? もしもの時は……わかっておるな?
「「はい」」
翌日、時間は起こった。
ガシャーン
昼食を持って来た沙智はお盆を落とした。
牢の扉が開いていて真希の姿が無かったからだを
壊された形跡も無く、明らかに鍵で開けられたのだと気付いた沙智は補完してある金庫を確認しに行く。
「………開いてる」
金庫には当然ロックされており、パスワードが分からなければ開ける事など出来ない。これも壊された形跡も無い。
という事は、他の2人が開けた事になる。
裏切られた?
「真希せんぱいは見逃してくれる約束なのに?」
ゆらりと、沙智は琥博たちの元へと向かった。
確認シナイト……
「皆さん調子はどうですかー?」
琥博が座り込んでいる莉衣奈たちに話しかける。装置は半分くらい溜まっていた。
「…………」
誰一人、振り向く気力も喋る気力も無くただじっと遠くを見つめている。
「………ふむ」
「琥博さーちょっといい?」
そこへ琥博の真後ろから沙智が声をかけた。それに驚いた琥博はビクッと勢い良く振り返る。
「もービックリさせないでよー何?」
「真希せんぱい、知らない?」
「知らない」
「ホント?」
「う、うん」
「じゃー何で金庫開いてたの?」
「えっ嘘…開けてないよ私」
「でも真希せんぱいの匂いがするんだよなー」
シューーーーーー
「?!」
突然装置から煙が噴き出た。その影に居るのは
「これで止まったか?」
「真希せんぱーい!!」
沙智は笑顔で真希の元へと駆け寄った。
「何してくれてんですか!?」
沙智とは対照的に驚きと怒りで琥博は叫んだ。
そして
「あー……やっと解放されたぁ」
「たっぷりとお仕置きをしないとねぇぇ」
柑奈とエル、その他全員が立ち上がり肩や足首を回してほぐしていた。
「しまったっ!!? タカミーはどこにッッ」
「覚悟してもらうぞ琥博ッそれと沙智!」
柑奈は琥博と沙智に人差し指を突き付ける。
「ぅわー怖……一緒にあっちに行ってましょうよ真希せんぱーい」
「悪いが沙智、そうはいかないんだ」
「え…? ———ッッ?!」
沙智は横に大きく跳び退いた。
「………いつからそんな卑怯者になったの? 風香ちゃん」
「峰打ちで気絶してもらおうと思って」
「ちょっと、何で風香ちゃんがここに居るの?! タカミーにヤられたんじゃっ——ぃいッ」
「よそ見してる場合じゃないよ? 琥博」
エルの拳が地面にめり込んだ。
「エネルギー半分は吸ってるのに、どこからそんな元気が……」
「いったい何をしているんだ琥博?」
「ッッ!?」
距離を詰めようとしていたエルの足元に無数の羽が突き刺さる。
琥博もそれを見て視線を上に向けると
「タカミー!」
鷹宮椿芽が屋根の上に居た。




