5—13
目が覚めると目の前に雲が見えた。
寝返りを打って地面に手をついて
「ぉわあ!?」
羽海は結構な高さに居る事に気がついて悲鳴をあげる。
タワーを登って展望台の所にある下が見える床、いやこれは全面が透明な床だった。
境目がわからず、この床がどこまで進めるのかが分からない。
下には島があって、全体が見渡せる。鳥がかろうじて見えるだろうか。何かが動いているようではあるが何かは分からない。
格好悪いが四つん這いでゆっくりと進んで行くと、割と近くに人が居るのに気がついた。
「あれ、愛弓…?」
見上げると見知った少女の顔が見えた。
しかしほぼ正面に居るのに向こうは気付いた様子もなく、下を見ている。
羽海は立ち上がり、ゆっくりと近づいて行く。
「久しぶり! やっと会えたよ」
「…………」
「おや、嬉しさの余り声も出ないかい?」
「………」
「いいよ、再会のハグをしようじゃないか! さぁ胸に飛び込んでおいで!」
ガッ
「痛ッ!?」
勢いよく出した手が何かに当たって痛みと衝撃で手を引っ込めた。
まるで振り回した手が壁に当たった時のような。
「…………」
「あれあれ? これでも顔を上げてくれないのかい…?」
それでも一切の反応を見せない愛弓に詰め寄ろうとして、今度はぶつけないように手をそっと出す。
ピタ
ぺたぺたぺた
まるで見えない壁でもあるかのように、それ以上近付かなかった。
「何だこれは…っアタシと愛弓を引き裂くつもりかっ」
ぺちぺちぺち
叩いても音が響かないので、何とも言えない音が聴こえた。
「声が届かない…アタシの事は見えているのか?」
こっちを見ろと念を送っていると、目の前の愛弓は顔を上げ目が合った……気がした。
ぺちぺちぺちぺちぺち
激しく叩くが、愛弓がこちらに気付いた様子は無く……背後から男が現れ愛弓はそちらに振り返った。
「誰だその男!? アイドルが男と2人きりなんて許さないからなッ!? アイドルじゃなくても許さないけどっ」
ぺちぺちぺちぺちぺちぺちぺちぺちぺち
叩く速度が上がるが意味はない。
「何を話してんのかわかんねーよ顔を見せてくれよ愛弓!」
サングラスで目は見えてないが目が合った気がした。男がニヤリと笑ったのが気に食わない。
「マジックミラーなのか? これは……」
ガバッと羽海は振り返るが、果ての見えない空の景色が見える以外は何もなかった。
「見せつけかっ?! 見せつけなのか!? 愛弓に近付いてんじゃないぞこのヤローっ!!」
男と愛弓はしばらく会話した後に、やがて姿を消した。
その間、羽海の叫びは無意味なものだった。
そして、立っていた透明な床が無くなり、そのまま落下をはじめるのだった。
「はぁ!?」
雲がある位の高さからの落下に叫ばずにはいられなかった。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁああぁああっっっ!!!」
途中で気付く、船になれば助かるのではと。
しかし真下には莉衣奈達が集まってるのが見えて、そのプランは変更せざるを得なかった。
落下してくる人をどう受け止めるべきか莉衣奈は迷ったが、セミノの友達の蜘蛛が落下中の羽海の身体に糸を巻き付け、そして吹雪がすぐさま氷の滑り台を斜面が荒いが作った。
落下の勢いそのまま滑り台を転がり、ラストが反り返っていた為、再び空へと放り出される。
そしてエルが空中でキャッチして事無きを得るのだった。
「ナイス連携プレイ!」
莉衣奈が大きく拍手をして讃えた。
「生きた心地がしなかったよ」
羽海はげっそりとした顔で言うと、真希がアメ玉を差し出した。
それをお礼を言いながら受け取ると
「真希先輩じゃないですか!?」
「よ! 皆んなで羽海を探しに行くとこだったんだ。まさか空から降ってくるとはな」
「空……そこで愛弓を見たんですよ」
「なぬ」
そこで見て来た事を話すと、莉衣奈たちは気に留めはするが、答えが出ないので今後のことを話し合う事にした。
島からの脱出方法でイズナがパッと思いついたのが、最初に飛べる人が羽海を渦潮の外のエリアに連れて行きそこで船になって待機、そこから飛べる人が残りのメンバーを運んでいく作戦。
「なるほど」
空を飛べるメンバー、マホとエル、そして虫を使えば飛べるセミノは頷いた。
そして、その方法で時間はかかったが全員の移動が完了し改めて出航の掛け声を全員で行った。
「目指すは12時の方向! それじゃあ行くよ! 出航ー!!」
「「「ヨーソロー!!」」」




