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5—8


 柑奈(かんな)陽子(ようこ)の身体をツルツル滑るようにして救出したのは良い。


 その後、吹雪(ふぶき)が氷の滑り台を作って巣から脱出させたのも良い。


 しかしその後、巨大鳥たちでさえ掴めなかったツルツル人間をどうやって受け止めるかが、その役を任されたセミノの課題だった。


 位置取りは完璧で、巨大カブトムシの上で待ち構えていたセミノは自分で抱き抱えるように陽子の身体を包んだが、案の定ツルンと腕から逃げられる。


「ぅぐっ」


 今度はカブトムシが足を使ってキャッチしようとするも、失敗に終わる。


 その後空中でお手玉を数回し、最後には巨大蜘蛛のクモやんが糸を吐き出しクッションを作ったおかげで最小限の落下で済ませられた。


「ヤシロン先輩マジ無茶振り過ぎなんですけどー! しっかしまぁ、ヨーちん救えて良かった良かった。寝てて良かったねー恐怖でしかなかったもん」





「寒っ暑っ」


「どっち何ですか」


 莉衣奈(りいな)たちと合流した柑奈とエルは、元々の熱気と吹雪(ふぶき)が出す吹雪で感覚がおかしくなっていた。


 目の前の衝撃シーンから目を逸らすようにするが、巨大鳥を食す伝説の鳥は恐怖でしかない。


 アレがいつ自分たちに向けられるか分からず、下手に動く事もできず。そもそもあの硬いのをどうやって砕いてるのかさえ不思議なのだ。


 コンクリートより硬いんじゃないかと思うのだが。


「丸呑みして腹壊してくれたりは…しませんかね」


 莉衣奈の側でリアが呟く。まもりも同じ思いだった。


 自分たちでは対処出来なかったモノ以上のヤバさ。



 キィィイイイイィイイィイイイイィイイィイイィィイィィィィイイィイイィィイィィィ



 両翼を大きく羽ばたかせて伝説の鳥は飛び上がる。それだけで近くに居た莉衣奈たちは突風で吹っ飛びそうになる。


「さぁ始めるよ! 莉衣奈ちゃんたち!」


 柑奈が鼓舞するように右拳を突き上げる。


「……なにを?」


 何をしようとしているのか理解出来ず莉衣奈たちはキョトンとした。最優先事項の陽子奪還は一応の成功を見たので、出来れば伝説の鳥とは戦いたくはないのだが。


「生きて島を出るには、あの伝説の鳥を退治する必要があるわけです。ですからボクたちはアイツをある場所へ誘導するんです」


 エルが説明するのを聞いていたが、どうするべきなのか考える。


「ちょっかいかけてヘイトを買って逃げる。そーいう事でしょ?」


「相手が飛んでる以上、マホちゃんが適任なのかも知れないけど……さっきも飛び回ってて疲労も蓄積してるんじゃないかな?」


 空中戦が出来るのはマホとエル。遠距離攻撃ならミカが居るが、果たして……。


「大丈夫大丈夫! この間のショップのオジサンに魔力のコントロール教わったから、最小限の魔力消費で飛んでるから」


「凄いよマホちゃん!」


「んじゃ! いくよエンちゃん!」


 マホとエルは飛び出して行き、残った莉衣奈たちは急いで山を下りる。


風香(ふうか)ちゃんとはぐれたままだけど……ごめん、探してる時間は無さそうっ」




「どこに誘導するの?」


「あそこのちょっと大きな木です」


 マホの質問に右方向を指差して答える。するとマホはアニメとかで魔法使いが使っているような杖を取り出して天に翳した。


「新たなマホさまの攻撃をとくとご覧あれ!」


 大きな水の塊が螺旋状に膨らんで行く。


 運動会で使っていた大玉の倍くらいの大きさの水の塊を伝説の鳥目掛けて飛ばした。


 ジュワアァアアァアァ


「なんだとー!?」


 しかし水の塊は、伝説の鳥に届く前に蒸発して消えた。身体の周りにある炎と黒いオーラのせいだろうか。


「アレじゃ僕は殴りに行けないっ」


 下手すると手が溶けて無くなる可能性もある。


 その後、マホの魔法は炎でも砕け散り風も電撃さえも黒いオーラで掻き消された。


 そして何よりも厄介なのが、身体から飛び散る火の粉で木々が燃え翼を大きく動かせば突風が起きてあらゆる物が吹き飛んで地面が抉れて大きな道となる。


 確かにこのまま放置すれば、この島は1日とかからず沈むかもしれない。


「アタシたち眼中に無さそうだし……今のうちに島から出られるのでは…?」


「……まだ羽海(うみ)先輩たち見つかってないですよ? それに、渦潮がある以上飛ぶしかなくその方法も見つかってない……今すぐ脱出は無理ですね」


「あーそりゃそーだ。攻撃が効かなさすぎてやけになってた! ごめん!」


「……さすがにこの状況、見てますよね。真希(まき)先輩」






「んー……誘導組、打つ手無しか」


「あの黒いオーラをなんとかしないと、攻撃が通らない……いやあの巨大鳥以上の頑丈さだったらオーラが無くても通らないかも……」


 遠目で伝説の鳥を観察していた真希と(ひびき)は腕組みしながら考え込む。


「ちょっとお二人さん! ポイント変えるんでしょ? 手を動かしなさいよー」


 そんな2人の背後に腰に手を当て唇を尖らせながらイズナが注意する。


「変えた所で、そいつは今効果なさそうなんです。くっそー作戦変更か…伝承にはあんな黒いオーラなんて書いてなかったっての」


 真希は唇を噛みながらぼやいた。


 そうこうしている間に、島の4分の1は焼け野原と化していた。


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