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「オレンジ色のキノコ?」
「ああそうだ。これまで集めてもらった材料に加え、そいつがあれば完成するんだ……まだこの島で見た事ないんだが…」
真希は大きな釜に投入する材料を確認する。晴も見た事がなく、頭を捻るが意味はない。
「それなら私が持ってるよ!」
大きな木の葉っぱを数枚抱えながら柑奈が帰宅した。
そして柑奈がポケットから取り出したのは、オレンジ色のキノコである。
「おお! 凄いじゃねーですか! いったいどこで」
「ついこないだ食べちゃっ「あんがとございます、蜘蛛のフン」
「笑いキノコだーって———え?」
柑奈の思考が停止する。
「ナニヲイッテルノ?」
「フンですフン! そっから生えるのがこのキノコで」
「あれ? 今柑ちゃん食べたって……」
「…………タベテナイ、ヨ…?」
晴が柑奈の方を見ると、柑奈は目を泳がせながら否定した。
「あちゃー言っちゃいましたかぁ」
「セミノチャン?」
柑奈がゆっくりとセミノの方に顔だけ向ける。
セミノは引き攣った笑みで言葉を探して
「ぇと……言わない方が良いと、判断しまして…」
「あはははははっっ!! フン食ったんだ柑奈っ」
響が腹を抱えて笑うと
「〜〜〜っっうっさいよひびきちゃん!!! 笑うなぁぁああああぁぁぁああ!!!」
「(ビッキー先輩も食べてたなんて言えない)」
「ひびきちゃんだって食ってたんじゃないの?!」
「私が食べたのは緑色のキノコ! なんの問題も「同じ場所にあったのならタイコウ虫のフンだな」
「…………ナンテ?」
「タイコウ虫。デカ蜘蛛が出したフンのキノコを好み、食べた後に同じく出したフンから生えたキノコ。別に害はないそうですが」
「だっはははははははははははははははっっ!! 結局ひびきちゃんも食べてんじゃん!」
「何でそんなもんが存在するんだァア??! セミノ知ってた?!」
バッと響はセミノの方を向く、するとセミノは目を泳がせながら必死に思考を巡らす。
「えっとぉ……ハチミツを渡したじゃないですかー」
「それって、トロトロ液体タイプ?」
「え? はい……ってまさか、それは駄目です!」
セミノは真希に飛び掛かり口を塞ぐ。
「流石に言わねーよっ」
「……何? もっと嫌な事でもあんですか?」
柑奈がジト目でセミノを見る。
セミノは首を横にブンブンと振って否定した。
「すっごく希少で滅多に取れないハチミツって事ですよ! ヤミツキになるくらい美味しいので、他言無用と言いますかっ」
「ふーん……」
納得はしていない様子だったが、響と柑奈はそれ以上追求しなかった。
「んで、材料揃ったみたいだけど、どーすんの?」
晴が聞くと真希は大きな釜の方へ歩いて行く、そして中を覗いた。
「ん、あとはこのキノコを入れて完成!」
オレンジ色のキノコを釜に投入すると、ぐつぐつと音を立てて釜の中の液体が沸騰したように湯気が出ると真希は右手に膝までの長さがあるゴム手袋をして手を突っ込んだ。
「ほい、完成」
オレンジ色の、バスケットボールくらいのサイズの玉が取り出され晴たちはマジマジと見る。
「これ何?」
「これはな———」
キィィイイイイィイイィイイイイィイイィイィイイィイィイイィイィイイィイィイイィイィイイィイィイイィイィイイィイィイイィイィイイィイ
「な、なんだ?!」
柑奈たちは一斉に外に顔を出すと、山の頂上に巨大な鳥の姿が見えた。
「なんかヤベーのが目覚めたみたいだな。今までの比じゃない事態が起こりそうだ」
真希は釜の横に置いてあった袋を取り出し
「決着の時みたいです。全員覚悟を決めてください」
「え、どゆこと?」
「恐らく、伝説の鳥です。だとしたら、この島は1日と持たないでしょう」
真希は分厚い辞典を開いて見えるように掲げる。昔起きた事をまとめた本のようで、真希はこれで知識を取り入れているようだ。
「この島から出る為だもんね。やるぞ皆んな!!」
柑奈が拳を突き上げると、晴と響、セミノがそれに続いて、最後に真希が拳を上げた。
「そーいや、イズちゃん先輩たちは?」
「イズナ先輩と潤葉は罠を仕掛けに行ってもらってる。巨大鳥対策だったが、あの伝説に効果あるかは分からん!」
「あははははは……」
5人は元気よく外へと飛び出して行った。




