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1—5


「そんなオモシ——大変な事があったんだね」


合流したマホに、イズナが落ち込んでる理由を説明する。

洞窟の上の方に箒ごと突っ込んで、そこから滑り降りて来たのだそう。

もう少し安全に降りられないものだろうかと莉衣奈は思った。


洞窟を進んで行くと空間が開けた場所に出る、そこに居たのは村人であろう老人の方達が10数人、なにやら棒状のモノとかを所持していた。

風香とネコネの姿に気がつくと何人かが近づいて来る。


「なんか……あったんかいの?」


「私たちの仲間が来てくれたんです、これで反撃出来ると思います!」


杖をついたお爺さんの質問に、風香は力強く答えた。

するとその場に居たお爺さんたちに笑顔が浮かぶが、莉衣奈たちをチラと見て


「……しかし、こんな若いお嬢さんたちで大丈夫かいの……?」


「大丈夫です!任せてくださいよ!」


風香が元気よく言うとお爺さんたちは風香を拝み始めた。

莉衣奈たちは少し離れた場所でそれを眺めながら


「風香ちゃん、張り切ってるね」


「グループに入ってまだ半年くらいですけど、いつもあんな感じですね」


莉衣奈のつぶやきにリアが答える。

風香を含めた7期生が加入してから約半年、絡みはまだ少ないけど頑張り屋な印象だ。


莉衣奈は洞窟の奥の方で固まっているお婆さんたちに声をかけに行く。


「あの、この剣の持ち主の方っていらっしゃいますか?」


背中の剣を鞘ごと抜き取り見せる。

すると一人のお婆さんが別の方向を指差した。

その先には二人で会話をしている老夫婦が見え、視線をお婆さんに戻すと頷いた。


莉衣奈はその老夫婦に声をかけ、剣の持ち主かを確認する。

勝手に持ち出した事を謝罪し、事情を説明すると、二人は笑顔で


「昔爺さんが使ってたもので、今は使わんからお嬢さんにあげるわ……使いこなせるならね」


最後の一言で苦笑するも、莉衣奈はお礼を言い何度も頭を下げ、その場を離れてリアたちの元へと戻った。



風香が戻ってきてから、今後の話し合いが始まる。

数の多い獣たちよりも、司令塔であるボスを倒すことを勝利条件とする。

洞窟の守り役として、ネコネとマホが残ることになった。


「マホちゃん先輩って、攻撃方法はなんですかね?」


「ふっふっふ、この箒から放たれる大魔法をお見せしよう!」


「んーボクはひっかき攻撃がメインだから、そこは気をつけて欲しいですねぇ」


「試し打ち一回だけだから加減は期待しないでくれたまえよ」


「…………」


不安しかなかった。

討伐メンバーは莉衣奈、リア、風香、そしてイズナでい行く事に決めた。


「私、まだ能力使ったことないんだけど……」


「大丈夫ですよリーダー!道中で練習しながら行きましょう」


討伐メンバーは洞窟を出て、莉衣奈がボスと戦った丘の方へ向かう。

莉衣奈は風香から簡単なレクチャーを受けながら剣を振るってみるが、やはり左手の甲の模様は光らなかった。


構えというよりは気持ちの問題だと言われた莉衣奈は、途中で遭遇した獣に試してみるも不発に終わり、突進してきた攻撃はリアがバリアーで防いでくれ、それの繰り返しであった。


「ん〜………剣の素質、無いのかな私……風香ちゃんはどうして剣士になったの?」


「竹刀がこの刀になったんですよ、だから結構扱いやすくて———あ、だったらこの刀使ってみます? お試しで」


剣よりは軽い、だがしっくりと来なかった。

そして能力を発動させようとするも、結果は変わらず。


剣も刀もど素人だけど、莉衣奈は剣の方が不思議としっくり来ていた。

今度は後ろでイズナを抱えているリアの方に尋ねてみる。


「武器の類は今のところ使えるのは見つかってないですね、風香の刀も全然でしたし……私はいわゆる、ヒーラー的な立ち位置なのかと、回復とバリアーが使えますし」


リアも結局、「治したい」「守りたい」というシンプルな思考で能力を発動させているようで、気持ち次第という結論になった。


しばらく歩いていると、開けた場所に出た。

中央には大きな木があり、その下には


「———誰か居ますね」


風香がそう言って立ち止まると、警戒した様子で観察する。


莉衣奈に見えるのは金髪で後ろ髪が長い、女性にも思えたが身長とガタイを見て男性だと思った。


少しの間があって、そのヒトはこちらに振り返り歩いて来た。


会話が出来る距離まで来ると立ち止まり、話しかけて来た。


「警戒しなくても、こちらに戦う意思はない………俺はこの通り手ぶらだ」


両手を広げて何も持っていないのを見せると、男は不適な笑みを浮かべながら続ける。


「この世界は楽しんでいるかな?」


「………!?」


全員の警戒心が強くなった。

何を言っているのだこの男は、と。


「気付いていると思うけど、君たちはこことは別の世界から呼ばれて来たんだ」


その証拠にと、男は自分の左手の甲を見せてくる。彼にも模様があった。


「………それはつまり、アナタも別の世界から来たって事ですか?」


莉衣奈が尋ねると男は首を縦に振った。


「この世界では、現実では妄想だった事が実現できる、言わば夢の世界に近い」


男はそう言いながら、左手に電流、右手に炎の塊を出現させる。それらはすぐさま消滅した。

莉衣奈は一歩前へ進む


「そんなチカラはどうでもいいので、元の世界に帰る方法を知りませんか?」


「ほう………RPGとかのファンタジー世界に憧れはないのかな」


「まったりスローライフなら好きです」


「それもいいね、この世界でも出来るよ」


「私たちは帰りたいんです」


「………帰るんなら、魔王の所に行かないとね」


「………魔王?」


「お約束だろ? 勇者が魔王を倒してエンディング、討伐でなくとも行く価値はある」


「その魔王さんはどこに?」


「それは自分で探しなよ、帰りたいというお仲間と一緒に………35人とはなかなかの人数だね」


「…………どこまで知ってるんですか?」


「何でも、は言い過ぎだけど異世界人は召喚されればわかる———居場所までは知らないけどね」


男はどうせ質問してくるだろうと分かっていたのか、最後に一言付け加えた。


「そうそう、ここは神聖な場所だから魔物どもは近付いて来ない、祠も触らないように」


男はそう言うと踵を返して立ち去って行った。

莉衣奈たちは今の話をどこまで信じるか考えたが、ルピナスのメンバー全員がこの世界に居るのなら、まずは全員と合流する事を最優先事項にした。


「その為にはまず、ボスを倒さないとね」


莉衣奈と風香、リアは再び進み始めた。


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