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島の中央に山があり、それを中心にぐるっと一周出来るこの無人島は巨大な鳥の生息地で、その存在自体はお年寄り達に知られているものの、来たら出られず帰れもしないままその巨大な鳥の餌となってしまう為、ここが危険地帯であるというのはあまり知られていない。
マホと無事合流した莉衣奈たちは砂浜に誰か居ないか確認しようと進み出したところ開けた場所へと出て、大きな木の側に見覚えのある金髪の男が居るのが見えた。
「やあ、また会ったね」
男性はこちらに気がつくと、ゆったりとした足取りで近づいて来る。
気さくに話しかけて来た男に対してミカは段々と険しい表情になり、呟いた。
「アイツだ」
「え…?」
「うちを拘束してあんな目にあわせたのは…っ!」
莉衣奈は視線をミカから金髪の男に移す。すると男は表情を変えずに答えた。
「そんな事もあったかな…?」
「覚えてないとは言わせないぞ!!」
ミカが右拳を前に突き出す、すると衝撃波のようなモノが男に命中して———
びくともしなかった。
ミカは続けて左右交互に拳を突き出し蹴りも追加で入れた。
それでも男は微動だにせず、何事もなかったかのように話を続ける。
「ああ、覚えているよ。君のその力は厄介だからね、使いこなす前に少々協力してもらったんだ」
特に悪びれる事もなく男は微笑む。
ミカは攻撃しても無駄だと理解し大人しくする事にした。
「仲間集めは順調のようだね?」
「ええ……お陰様で」
莉衣奈は真っ直ぐ男を見る。
どこまで知っているのだ、この男は…?
聞いた所で答えは得られないだろう。
「ところで、アナタはここで何をしているんですか? 遭難者には見えませんけど」
「この島に用があってね……それももう済んだから帰るところだよ」
「この島から出る方法があるんですか…?」
「あるよ。でも俺個人の帰り道があるからね、君たちは自力で脱出するんだね。もうすぐ目覚める頃だろうし」
「目覚める?———っ」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
大きな地震のように地面が揺れて
キィィイイイイィイイィイイイイ
山の方から大きな鳴き声がして見て見ると。
「な———ッ?!」
山の頂上から巨大鳥より一回り、二回り、いやもっと大きな真っ黒いオーラを纏った赤く燃えている鳥型の何かが現れた。
「伝説の鳥の目覚めだ。頑張りな」
それだけを言い残して男は姿を消した。
キィィイイイイィイイィイイイイィイイィイイイイイイイイイ
その大きな鳴き声は、晴のものよりも大きく、身体に響いて来てそして木々が揺れる。
そして突風が吹いたと思ったら
ピィィィイイィィィイィイイ
ピィィィイイィィィイィイイ
ふたつの鳴き声がし、真上を2羽の巨大鳥が猛スピードで通過していった。
その後を追うように氷の塊が巨大鳥目掛けて飛んできていて振り返ると
「まもりちゃん! 吹雪ちゃん!」
「すいませんリーダー! 今は挨拶してる余裕ないですッ」
まもりは氷の塊を投げる手を止めず、すぐそばで吹雪が氷を作り続けている。
しかし巨大鳥に命中する事もなく、距離は離れて行く一方だ。
「あの鳥に、ヨウちゃん連れてかれてっ」
「よし任せな!」
吹雪に事情を聞くとミカは巨大鳥に拳を突き出し攻撃する。何発か命中した。
身体は衝撃で傾くが咥えられている陽子を放す気配がない。
リアが巨大鳥の目の前にバリアーを張るもパリィンと砕かれてしまう。
莉衣奈と風香は地上からじゃ攻撃出来ず、出来たとしても言われた通り刀と剣ではダメージを与えられないだろう。
巨大鳥たちは山へと移動して行く。
「マホ先輩お願いします!」
「ラジャー!」
風香がマホの箒に乗って猛スピードで追って行き、追い抜いた。
ピィィィイイィィィイィイイイイ
巨大鳥は風香目掛けて突進して行く。
風香はそれを正面から待ち構えて
「ふっ」
キィイィィイィィィン
「!?」
一閃、数多の魔物たちを斬ってきた風香の刀は真っ二つに折れ、どこかの地面に突き刺さった。
「———くッッ」
そして武器を失った風香は巨大鳥の突進で吹き飛ばされ、マホは急いで助けに向かうのだった。
刀が———折れた。




