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5—2


「くかー……くかー…」


「おーい起きろー」


「んー……やめろーねこねー……それはせいの髪じゃないーみかの足だー……」


「………どんな夢見てんだ…?」


「それは腕だつってんだろおおおぉおおお!!!」


「うおぉっっ!?」


「………………なんだ……真希(まき)か……おやすみぃ……くぅ………」


「いや起きろよ!?」


「真希じゃん何でいんの!? こっわ」


「怖いのはオマエだよオマエ」


 (せい)が目覚めたのは壁の隙間から光が差し込む木造の建物だった。


 そして目の前に居るのは、同じアイドルグループ”ルピナス”のメンバーで晴と同期の小技(こわざ)真希(まき)である。


「久しぶりじゃん!元気ぃ?」


「あー元気元気、相変わらず声がデカいな」


 真希は両耳を塞ぎながら会話を続ける。


「そーいや、ここどこだ?」


「名前は知らんがどっかの小島だよ、真ん中に山があるだけの」


 晴は立ち上がり、小窓のような隙間から顔を出して外を見た。


「おーあれかー! ところで、他のメンバー知らない?」


「すぐ話変わるじゃん。1人だけその辺飛んでる人が居るけど、他は知らないな」


 真希は外に視線を向けると丁度マホが猛スピードで通過して行くのが見えた。


「あー…マホちゃん先輩か、わかりやすい」


「いったい何人で来たんだ?」


「えーと……………1期3人、2期2人、3期2人、4期4人、5期3人、6期3人、7期1人だから……何人だ…? じゅう…」


「18人とは、ずいぶん多いな……船で遭難して来たんだろうけど」


「よくわかったね」


「いいか、よく聞け。この島からの脱出は無理だ」


 それはなぜ? と晴が質問する前に真希は続ける。


「この島の周りには渦潮が無数にある。しかも直前まで気付かない……ここに来る連中は船が大破してるから尚更…そして空には奴が居る」


 ピィィィイイィィィ


 ピィィィイイィィィ


「な、何だ!?」


「顔を出すな」


 外から大きな声が聞こえて来て晴は小窓から顔を出そうとして引き止められる。


 隙間から覗くと大きな鳥が見えた。


「人喰い鳥だ」


「は…? なんて?」


「人喰い鳥、その名の通り人を襲い喰らう鳥だ」


 定期的に現れては獲物を探し巣に持ち帰る。その対象は人間である。


「あいつらのせいで、ここに遭難した人間は島から出る事無く人生を終えるんだ……」


 真希がここに来てから出会った人たちは例外無く食われたそうだ。


「そろそろ自分の番だと思っていた所にお前が来た……もう、どうしようもない」


「おいおい何を諦めてんだよ! 皆んなで乗り越えようぜ!」


「お前はアレを見てないから言えるんだよ。素早くて攻撃が当たらない、当たっても硬い皮膚で攻撃が通らない、剣も槍も弓も銃弾でもダメだった」


 すると晴は不敵に笑い親指を立てた。


「それは物理攻撃の話しだろ? この晴の攻撃は耳! 聴覚にダメージを与えるのさ!」


 自信たっぷりな晴は外へと向かって行くのを多少の不安を抱きつつも着いていくのだった。





「Ah 私はどこへと向かうの 希望? それとも絶望? 答えはすぐそこ〜」


「歌ってないで自分で何とか脱出できないんですか!?」


「私の歌は癒し 攻撃にはならない〜」


 大きな鳥に咥えられた(ひびき)をエルが翼を広げ追い掛ける。何度も攻撃を繰り出しては避けられ、焦る気持ちが強くなっていく。


「こんのぉ———うわっ」


 もう1羽がエル目掛けて突進して来て間一髪避けた。


 響は手持ちのナイフでクチバシを何度も刺そうとしてはいるが、硬くて意味がない。足を動かしてもヌルヌルするだけで気持ち悪い。


 上半身が外で下半身が口の中。


 エルが必死に助けてくれようとしているが、もう1羽の登場でそれも難しくなっている。


 響はただ、最後になるかも知れない空からの景色を眺める事にした。



「うわぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁああああああああああっっっ!!!!」



 どこからか大声が聴こえて来たと思ったら、鳥の口が少し開いたのが分かり最後の抵抗とばかりに脱出を図った。


 そしてそのまま落下していく。それに気付いたエルは急いで急降下しキャッチしてそのまま飛び去る。


 大きな鳥たちは頭をしきりに振りながら暴れて、どこかへ飛び去って行ったのを響は見ていた。





「どうよ?」


 ドヤ顔しながら晴は真希の方を見ると真希は両耳を塞ぎながら答えた。


「確かに耳がヤバいな……凄いけど、あんま使わない方がいいな……眠ってる奴までやって来ちまう」


 確かに暴れて苦しむ鳥を見る限り、聴覚にはダメージが入るようだ。


「あ、やっぱりセイちゃんだ」


 ガサガサと音がしたと思って真希が振り向くと、柑奈(かんな)が現れ、その後ろには


「ホントだ晴先輩……と、真希先輩だ!」


 潤葉(うるは)が姿を見せた。


「2人とも無事だったんだ! 良かったぁー」


「まぁ、そこの一名は苦しんでおりますけどね…?」


 柑奈に言われて見ると、潤葉の腕の中でキツネがぐったりしていた。


「キツネとは珍しいな」


「イズちゃん先輩近くに居たんスか!? すんません!!」


「はぁ!? このキツネ、イズナ先輩なのか!? というか、何でぐったりしてんだ」


 すると柑奈が説明する。


 晴の攻撃は魔物特攻。耳の良いケモ耳も効果抜群であると。


 そして、メンバーの中にはイズナと同じくケモ耳があるのも数名居ると。


「バカお前、味方にもダメージ入るのかよ!」


「んーそうだ、ね……近くに居ない事を確認しないと使えないんだよね……」


 真希は大きく溜息をつくと


「ますます使えねーじゃねーか……」


 ぼやくしかなかった。



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