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ザザァァァァン
ザザァァァァン……
「…………んぅ」
莉衣奈が目を開けると、青空が広がっていた。
「あ、目が覚めました? リーダー」
するとそこに風香が覗き込んで来て莉衣奈は徐々に意識がハッキリしてきた。
ゆっくりと上体を起こすと目の前に海が広がっていて、ここが砂浜なのだとわかった。
そして何があったのかが思い出して来て……
「———他のみんなは?!」
風香は首を横に振って答える。
「ここから見える範囲には誰も……他の場所を探せば見つかるかもしれません」
「……まさか、遭難するなんて……」
———遡ること数時間前
「前回より人が増えて賑やかだねー」
「ほーんとだよー、倍増えてるよ倍!」
甲板で海を眺めながら、莉衣奈とイズナは聞こえて来る声に耳を傾けながら語り合う。
まるで手のかかる子どもが増えたような気分、やはり1番声が聞こえて来るのは晴と柑奈の叫び声だろう。叫び声と言うべきか突っ込みの声と言うべきか。
笑い声は陽子とマホだろうか。
「メンバー全員で乗ったら、とんでもないだろーねー」
イズナの言葉に莉衣奈は想像してみる。
「……さすがに狭くて乗れないんじゃないかな…? ベッドも足りなくてハンモック使ってるし」
「動物の姿になれば誰かと一緒に寝れたりするけどねー……まあ今でもギリギリ感はあるね」
「羽海ちゃんが、どれくらい耐えられるかも心配だよ……」
「ふふふ、そんな心配してくださらなくても大丈夫ですよリーダー。もうワンランク上の大きさに進化出来そうなんですから」
「本当!?」
「ええ、いつとかは断言できませんがね!」
「島が見えましたよー!!」
上の見張り台に居る風香が叫んだ。
聞きつけた皆んなが甲板に出て来て手すりに向かう。
肉眼でハッキリとはまだ見えない。
羽海は進路を微調整して進んで行く
「!? ッ方向転換してください! 渦潮があります!!」
「そんな急にはッッ———リーダー舵切ってっ」
「今、陽子が向かってるっス!」
晴が莉衣奈に叫んで報告する。
波の揺れが強くなってきて、立ってるのがキツくなってきた。
「皆んな何かに捕まってッッ」
「………それから、渦にのまれて……今に至ると」
「途中まで静かな海でしたのに、急に変わりましたよね」
莉衣奈は腰を上げると砂の付いたお尻をパンパン叩いて
「皆んなを探しに行こう! 16人を」
「はい! すぐに見つかりますよ———」
「あっはははははははははははははははははははははははははははははははははっっっ」
どこからか声が聞こえて、段々と近づいて来る。
島の方を見ると、上空にそれは居た。
「もしかして、マホちゃん!?」
もの凄いスピードでマホは上空を飛び、そして離れて近付いてを繰り返している。
こちらに気付いていないようだったので、風香はケータイを取り出してライトを付けて振り出した。
「まだ明るい時間ですけど、光で気付いてもらえないですかね」
船でセミノに充電器を借りて復活したらしい。
少しの間振り続けていると、マホは気付いたのか手を振りながら向かってくる。
「おおおーいいいぃいぃぃぃぶへらっっ」
そして2人の間を通過して砂浜を転がり海へダイブした。
「相変わらず制御できないの…?」
「なんか、勢い増しましたよね」
マホがぺっぺしながら2人の元へとやってきた。
砂と海水が口に入ったようだ。
「リーダーとイガちゃんじゃーん! 他の人は?」
「こっちはまだ……マホちゃんは見てないの、ね?」
一応確認する莉衣奈にマホは首を横に振った。
猛スピードで飛び回ってロクに捜索出来ていないそうで、莉衣奈はちゃんと探すように念を押してお願いする。
マホは了解と言うと再び箒に跨って飛んでいった。
「後は15人……」
「リーダーぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「また声が聞こえますね」
「そうだね———ひっ!?」
巨大なカブトムシがこちらに飛んで来るのが見えて莉衣奈は後退る。
すると人影が飛び降りて来たのだ。
「受け止めてくださぁぁぁああぁぁいいいい」
それはセミノだった。
莉衣奈は落下点に移動して受け止める体制に入った次の瞬間。
「ぁ」
ピィィィイイィィィ
巨大な鳥がセミノをクチバシで捕らえた。
「だずげでぐだざあ゛あ゛あ゛あ゛ああああいぃぃぃぃ」
一変して悲鳴へと変わり急いで追い掛ける。
するとカブトムシが鳥にタックルしセミノは海へと落下していき、鳥はそのまま飛び去った。
その後、半泣きのセミノを落ち着かせてから、改めて捜索に向かうのだった。




