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4—19


 妖精さんが建てたうさぎのビルは、本人が取り壊そうとしたところ町長たち住民からその必要はないと言われ、結局そのままになっている。


 ただ、入口のセキュリティーは解除されており、誰でも出入りが可能となっている。


 35階以上のエリアには入らないようにはしているものの、それ以下にあるのは娯楽施設があり、ボードゲームやカードゲームなど、電気を使わない遊びが多くできる。


 初めは邪魔に思われていたが、今では街の名物になるかも知れないと、本当の住人が来る日を心待ちにするそうだ。




 莉衣奈(りいな)たちのグループとイズナたちのグループが互いに北の港町を目指して合流したのはおよそ7日後の事である。


 道中で村などに立ち寄ったがメンバーは見つからず、何事もなく港町に辿り着いた。


 先に着いたのは莉衣奈たちで、イズナたちは翌日に到着し久しぶりの再会に喜び合う。



「やーこっちは潤葉(うるは)ちゃんとミカちゃんと出会えたよー」


 潤葉とミカがイズナの隣に並んで莉衣奈と挨拶を交わす。長くなりそうだったので手短にお願いした。


「こっちはセミノちゃんとウサギちゃんかな。ウサギちゃんはひとりで先に行っちゃったんだけど」


「リーダー見つけましたよー脱走うさぎ」


 背後の路地裏から羽海(うみ)がうさぎの腕を掴んで出て来る。


「……誰が脱走じゃ……別にひとり行動だっていいじゃん…」


「勝手に動き回られるとまた探さなきゃならないじゃんか、アタシらは全員揃って帰るのが目的なんだからね」


 ブツブツ独り言を続けるうさぎに羽海は言い聞かせた。納得したかはわからないが静かになった。


「ありがとう、羽海ちゃん!」


「いえいえ、お! 潤葉にミカじゃーん、久しぶりー後、愛弓(あゆみ)が居れば4期生揃うじゃないか!」


 羽海は潤葉とミカを見ると手を振りながら歩いて来た。


「ああそうか、羽海はネコネとはもう会ってるんだもんね?」


「そうそう、割とリーダーと合流した仲間の最初の方からね」


「お、初期メンアピールかい? 何番目か教えてくれよ」


 ミカがにっと笑う。


 羽海はんーっと上を向いて考える。


「たぶん、7番目」


「するとこっちは14、5番手くらいだから大差ないぞ?」


「いやいや倍違うじゃないかー! 大事だよ?一桁番台」


「くそーウチらも何か言い返せないかな、潤葉?」


「ええ…? 私からしてみれば、ミカが最初の仲間なんだけどな」


「おー! それで良いじゃないか!」


「何の勝負よ?」


 羽海が言うとミカはお前が言い出したんだろとツッコミを入れた。


「見て見て! デッカい鳥が飛んでるよー今晩のオカズにならないかな!?」


 突然柑奈(かんな)が割り込んで来て空を指差す。


 潤葉たちがそれを見ると


「いやあれ(せい)先輩だから!」


 すぐさま潤葉が柑奈に突っ込む。


「うっそーん!? 鳥になれるんだ! すごーい!!」


 柑奈は興奮気味にピョンピョン飛び跳ねた。


「マズイ!!!」


 すると上空から声がしたと思ったら、晴が元の人間の姿になり落下し始めた。


「何やってんのーー!?!?」


 潤葉が叫ぶと柑奈はゲラゲラ笑いながら、あの高さなら落ちても大丈夫だと言った。


「ボクは助けてえええええぇええええ!!!」


 晴と一緒に落下してくる影がもう一つ、猫の姿をしたネコネである。


「助けてと言われても!?」


 潤葉があたふたしていると、大きな影が上空を覆った。


「は?」


 見るもおぞましいと感じる、巨大なカブトムシだと気付いたのは降下し始めた時だった。


「デッッッッッッッッッッッッカ!!」


 晴の叫び声が聞こえてくる。


「降ろしてええぇええぇぇえ怖いよぉおおおぉおぉぉぉお!!!」


 ネコネの絶叫も聞こえて来て、柑奈は腹を抱えて笑っていた。


「アッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」



 着いて早々、晴たちは町中の噂になるのだった。




「あっははははははははははははっっははは!! それでリーダーに怒られたんスかっ」


 話を聞くや陽子(ようこ)は丸いテーブルをバンバン叩かながら爆笑した。


「怒られてない、注意されただけ」


 晴は頬を膨らませながら言う。それがまた面白かったのか陽子は吹き出した。


 居酒屋のようなお店で周りも騒がしいので、こちらが騒いだ所で注目はされない。


 吹雪(ふぶき)はひたすら、おつまみを注文しエルと分け合っている。


 ちなみに誰も酒は飲んでいない。


「飛ぶんなら呼んでくださいよー虎で乗るのが目標なんスから」


「ふざけるな、重くて飛べないわっ」


「高い所からの滑空なら行けそうですよね? 聞いたところによると、うさぎセンパイ50階ビル建てて住んでたそうですよ、しかもそんなに時間がかからない……近場に建築してもらいましょーよ」


「ご、ごごごご50?! とんでもねーな……んな高層ビル何件も建ててたら迷惑でしかないだろ」


「実際、迷惑がられてましたよ…あのビル。ただでさえ陽の光が当たりにくいのに更に日陰が出来ましたから」


 デザートのパイを食べながらエルは会話に参加してきた。


 しかも街の中心部。


 世界観ぶち壊しだなーと晴は思った。





「このリュック、便利ですね」


「何かのマジックアイテムらしくて、マホちゃんがくれたんだよ」


 まもりは買い出しから戻ると莉衣奈に報告した。


 見た目以上にモノが入る不思議なリュックは、マホが探索して見つけたショップで発見したそうだ。


「魔法使い用のお店って無いかなーって思ったらあったの凄いよね!」


 マホは目を輝かせながら語る。他にもたくさんの便利アイテムはあるそうだが、無駄遣いはしないようにしたため、泣く泣く諦めたそうだ。


 使用には魔力が必要らしいが、マホには出し方がいまいち分からず…そもそも魔力が無いと見つけられないし入らないショップだったので、店員にレクチャーしてもらったそうな。



 出発は明日。また海を渡るんだ。


 莉衣奈は窓の外から見える月を見た。



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