4—18 チームBその10
柑奈たちは莉衣奈たちと合流する事にした。場所は妖精モニターで確認。
町長は半透明ではあるが、ビル前に集まっている住人たちの元へ向かい事情を説明。
リアから説明を受けたセミノは町長に合流し、一緒に住人たちを説得して抗議を止めてもらうのだった。
その後緊急会議を開き、街への通行料の廃止と4倍以上値上げした商品への対応。
こうして、街は平穏へと戻って行くだろう。
「ベッドさいこー」
莉衣奈たちはうさぎのビルへと行き35階の寝室でくつろいでいた。
柑奈がいの一番にベッドへダイブし枕に顔を埋めた。
「身体はそんな疲れないけど、心は疲弊するからね」
響が柑奈の横のベッドで寝転がり大きく伸びをする。大きなあくびが出た。
各部屋に4つの大きなシングルベッドが部屋に入って左右にふたつずつ並べられている。
妖精さんの突貫工事でエレベーターを作り、ベッドルームのある35階まで上がった。
「セミノちゃんは莉衣奈ちゃんと進展あった?」
柑奈はごろごろしながら、向かいのベッド横の椅子に座るセミノに話しかけた。
するとセミノはニヤけながらケータイを大事に両手で包んで
「宝物をいただきました」
「何それ!?」
柑奈がガバッと上体を起こした。
「チョー激レアボイスです!家宝です!」
「え〜聴きたい聴きたい!」
「だーめですよ〜〜あーしだけの特別なんですから〜」
セミノが自分を抱きしめながらクネクネし始めた。
「しっかし、セミノのケータイって電池切れないの? 私ずっと電源切ってるんだけど」
「バッテリーですか? ふっふっふ、ここにはエレベーターがあって、部屋の電気もあるんですよ? 充電器とバッテリーがあるに決まってるじゃないですか〜」
響の質問に動きをピタっと止めたセミノは充電ケーブルを取り出して見せた。
「ホントだあぁ〜!!?」
「それって、この世界にあるの?」
「これは自分のです、来た時に持ってたんで……うさ先輩の妖精さんなら作れるかも?」
「後で頼んでみよー!」
「エルルン先輩もどうです、か……」
「………くー……くー……」
セミノが隣のベッドに居るエルに視線を向けると、静かな寝息を立てていた。
「あはは、もう寝てる」
「いや風呂入ってから寝ましょうよ…ヤシロン先輩たちも、いい加減匂いますよ? 最後にお風呂いつ入りました?」
ピシッ
柑奈と響は笑顔で固まった。
「………いっしゅーかんくらいまえかなぁ…?」
柑奈はフニャフニャした喋り方で答える。
「道中、水浴びしたじゃん…?」
「……旅に出ると、お風呂に入れないんですか?」
「ったり前じゃん! お化粧なんてしてる暇ないんだからね!?」
「髪のセットなんていつしたっけ?」
柑奈と響はお互いを観察しながら言うと、セミノのはドン引きした。
「みなさん、アイドルですよね…?」
「そだよ? でも化粧品もハンドクリームもドライヤーだってなーんにも無いんだからしょーがないじゃん!」
「柑奈はせめて寝癖は直そうな?」
「髪長くない人は良いですね!」
「お? バッサリカットしてあげようか?」
「けっこう! 気に入ってんだから」
この2人の会話を聞いていたセミノは嫌な予感が頭をよぎる。
「まさかリーダーも…?」
思わず口に出して後悔した。
それを聞いていた柑奈と響がイヤらしく笑うからだ。
「そうだよ? 莉衣奈ちゃんだっておんなじなんだよぉ?」
「ま、私たち全員なんだけどねぇ例外は無く」
「嫌です聴きたくないです〜!!」
「耳塞いだって意味ないんだからねぇ〜?」
「これから一緒に旅するんだからいずれ慣れるよ」
「そ、そうだ! 虫くんたちに運んでもらえば1日で次の街に行けてお風呂も入れる——」
「虫は莉衣奈ちゃんがダメだねぇ? 置いてっちゃうのぉ〜?」
「あ゛ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
セミノは絶望に項垂れた。
その時扉をノックする音が聞こえ開ける音がした。
「大丈夫? 何かあったの??」
「り、リィダァあああ……」
セミノは莉衣奈に泣きつこうとしてピタリと止まる。
すると甘い香りが莉衣奈からして来てセミノの顔がとろけた。
「あれ? 莉衣奈ちゃんお風呂入ったの!?」
「うん、流石にサッパリしたかったからね。柑奈ちゃんたちも入って来なよ」
「リーダー! 一生着いて行きますううううぅうううううううう!!!」
「はいはい、ばっちぃ身体で莉衣奈に触らないでねー風呂行くよ風呂」
ガバッと莉衣奈に飛びかかる勢いだったセミノの首根っこを響が掴んで抑え、ズルズルと引き摺って部屋から出て行く。
柑奈もそれに続いて部屋を出ようとして。
「あ、エルちゃんどうしよ」
「起きたら私が連れてくから大丈夫だよ」
「ん、ありがと」
柑奈はついでにと向かいの部屋を覗くと、風呂上がりの面々が居た。
羽海が幸せそうな顔で眠っているのが見えたが特にふれなかった。リアがヒールをしている所を見ると大体想像がついたので。
「先輩もお風呂ですか?」
刀の手入れをしている風香と目が合った。
「うん、そうだよ。うさぎは一緒じゃないんだね」
「ええ、自分用のお風呂があるからそちらに1人で入るそうです。ベッドも自分の部屋のを使うそうで」
「ふーん……まいいや、風呂行ってくるね!」
「はい、行ってらっしゃい」
その後、大浴場ばりの広さのお風呂を騒がしく堪能した柑奈たちは部屋に戻り、ちょうど起きたエルと妖精が用意してくれた夕食に向かい、何人かでもう一度お風呂に入るのだった。
翌日、街の様子を見に行くと。
偽物のアイツが居なくなった影響なのか、住人が減っていた。
町長が半透明なのは変わらず、やはりあの偽物を捕まえない事には解決しそうにないと結論を出した。
「あれ、うさぎは?」
柑奈がキョロキョロと周囲を見回して探すが姿が見えなかった。
「あの方なら、先程街の外へ行かれましたな。もうこの街には来ないと言い残して」
「おやおや、相変わらずの単独行動かい?」
羽海がやれやれと首を振る。
「追いかけよう! せっかく会えたんだから」
莉衣奈たちは町長に挨拶を済ませると、街を後にするのだった。




