4—17 チームBその9
妖精たちが作り出す光の矢は狙った的に当たる。
柑奈の静止も聞かず、うさぎは投げ付けた。
拘束されている柑奈は身体を捻って避けようとするが一歩分も動けない。
パリィン
その時、柑奈の後ろから現れたリアのバリアによって、光の矢は弾かれたのだった。
「何やってんのよ、うさぎ。相手が違うでしょ」
「わざわざ戻って来るなんてね……紛らわしいからどっちも———」
「人の話を聞きなさい! いきなり本物と偽物の区別をつけろなんて言わない。でも話を聞きなさい」
うさぎの動きが止まった。
場が静まり返る。
「一度思い込んだら周りが見えず、否定する言葉は受け付けない。でも最低限の話は聞いて、それから判断して」
「…………」
「リアちゃん……ぇと、とりあえず、この拘束解いてくれない? うさぎ」
パッと光の拘束は解かれ解放された柑奈は、ほぐすようにぐるぐるとあちこち回し始めた。
「……敵とは会いました?」
スタスタと歩き出すうさぎにリアがストップをかける。
「その前に謝罪」
「え」
「どんな理由であれ、間違って拘束した柑奈先輩に今謝罪して」
うさぎはゆっくりと柑奈に身体を向けて、頭を下げる。
「………スミマセンでした」
すると柑奈はニコリと笑い。
「今度から気をつけるよーに!」
「あのぉ……」
突然の横からの声にうさぎとリアはバッと顔をそちらに向ける。
「はっ半透明人間!?」
リアが驚くと、うさぎはその人物をまじまじと見て
「町長…?」
柑奈が改めて先程会話していた老人を見ると、妖精の光に照らされた身体は確かに半透明だった。
「まだこの呪いは解かれておらんか……」
「呪い……?」
リアの疑問に町長は説明をした。
「時間で効果が切れるのか、術者をどうにかしないとダメなのか……」
「犯人がさっきの偽物なら早く追い掛けないとっ」
リアが思考モードに突入しかけた所に柑奈が急かす。
「待ってください、地上に出たのか、この暗闇の中なのかわからないんですよ?」
「確認してみます。ビル入口付近には住人が集まってる。街中には大人と子供が10人以上出歩いている…これは魔物の変身だっけ?」
そもそも、地下から出る瞬間を目撃しないと誰に変身しているか分からないし、本当の姿も不明な状況で発見は困難である。
「……リアちゃんはどっから来たの?」
考えても何も分からないので、柑奈はふと思った疑問を口にした。
「地上で響先輩の偽物を見つけて尾行してたら地下へ続く階段がありました。暗過ぎて見失いましたけど」
暗闇の中をよく進んだモノだと柑奈は思ったが、その後普通にライトを取り出したのを見て口をつぐむ。
その後、リアが通って来た階段を目指して一同は進み、そんなに時間はかからずに辿り着いた。
長い螺旋階段を登ると、地上の光が眩しくて先頭の柑奈は顔をしかめる。
外壁付近は日陰になっているが、ここは街の中心部だろうか、夕日が眩しかった。
するとそこに居たのは。
「あれ、柑奈先輩じゃん」
「ウミちゃんにエルちゃん!」
「お、今度は本物かな? リアた〜ん!」
羽海が柑奈の後ろに現れたリアを見て満面の笑みを浮かべてリアに抱きつこうと飛びかかる。
「ぶへっ」
間抜けな面をしながら羽海はリアが出したバリアーに顔面をぶつけて倒れた。
「これこれ、これこそがリアたんだ」
「何があったの…というか、偽物出て来なかった?」
柑奈は倒れてる羽海とエルを交互に見ながら質問する。その解答はエルがした。
「先程リア先輩の偽物が出て来まして…まぁ羽海先輩がその偽物に抱き付いた訳なんですが、それを受け入れてくれたものだから本物か疑った所、見事に向こうから偽物だと明かしてくれたわけですね」
リアは呆れて何も言えなかった。
「んで、そこのウサギちゃんに伝言。捕まえられるモノなら捕まえてみろ! だってさ」
立ち上がった羽海は柑奈たちの後ろでそっぽむいているうさぎに伝えた。
偽物は去り際に羽海に伝えると、屋根伝いに跳んで行ったそうだ。
「さんざん人をおちょくりやがって…絶対ふん捕まえてやる…ッ」
うさぎは独り言のように呟いた。




