1—4
莉衣奈とイズナは森の中を歩きながら(イズナは莉衣奈の腕の中)
リアの話を聞いていた
「あの村が無人だったのは、ネコネちゃんたちが避難させたからなんだ」
「はい、とにかく数が多くて……二人が避難誘導して私は助っ人を探しに行ったんです」
「村人全員ってすごいね、私は自分が逃げるので精一杯だったよ」
「風香が獣たちの動きを封じる煙玉を使ったんです」
「なにそれ欲しい!」
イズナが目を輝かせながら反応した
それはイズナに効果はあるのだろうかと莉衣奈は考えたその時
「おーい」という声が上空から聞こえた
ネコネたちがどこに居るのか探しに行っていたマホが戻って来たようだ
上空を旋回しているマホに場所を聞くと、指を刺して「あっち」と叫にながら飛んでいった
その後を追うが獣道で歩きにくく、十数分経過してもたいして進めなかった。
「あー携帯とか腕時計があればなー……時間がわからないのは落ち着かないよ」
「リーダー携帯持ってないんですか」
「事務所のカバンの中だよ、サイフとかもあったから完全に手ぶら」
「年末なのに事務所に用事があったんですか」
「え、もうお正月も終わってるし中旬………そういえば、休んでたね………」
「…………」
リアが何か考え事を始めたので、莉衣奈は抱えているイズナの方を見た
「イズナちゃんも手ぶらだよね」
「この姿を見ればわかるでしょ、なーんも持って無いよ」
イズナは前足を広げてみせる。
確かに何もなかった。
「リアちゃんは持ってるの?携帯とか」
「え、あぁ……携帯ならありますよ、圏外で使い物になりませんけどね、充電器もないので電源切ってるんです」
「時間とか見れないかな」
「んー……20時3分、全然違いますね」
上空の青空を細めで見ると、リアは再び電源を切るとズボンのポケットに入れた。
それから少しして、上空で旋回し続けるマホの姿が見え、その下に洞窟があった。
入り口付近に見知った顔が居た。
「風香ちゃん!」
莉衣奈が呼びかけると、風香が手を振ってきた。
その姿を見たイズナは「サムライ?」とつぶやいた。
見たまんまお侍さんの格好で腰には刀がある。
ホワイトブロンドのショートヘアーにポニーテール、浅緑の羽織が似合ってる。
「侍ではないんですけど……まぁ、この格好ですしね、あはは」
「それって、元から着てたの?私のは事務所に行った時の冬服で、リアちゃんは部屋着っぽいし」
「えーと……元々は剣道着だったんですけど、気が付いたらこの格好で知らない場所で寝てました」
「そうなんだ……」
風香と話していると、洞窟の奥から声が聞こえてくる。
「ふーたんいつまで入口で話してんのさ、早く中に入りなよ」
現れたのは白い猫だった。
「あーこの姿じゃわからないか、ちょっと待っててねー」
猫がそう言うと身体が光だして、ヒトの姿に変化した。莉衣奈とイズナはポカーンと口を開けてフリーズする。
猫からヒトへ、メンバーの白井ネコネだった。
「ネコネちゃん、ええと、ヒトと猫になれんの?!」
「自分のこの狐の姿、戻せるのかい!?」
一気にネコネに詰め寄る二人に対して何事かわからないネコネは首をかしげる。
そばに居るリアと風香に視線を向けるが二人とも首をかしげた。
莉衣奈はイズナが狐の姿から戻れないことを説明し、ようやく理解したネコネは
「それってたぶん、能力を解除してないからじゃない?」
「…………………のうりょく?」
イズナが首をかしげる。
ネコネは自分の左手の甲を指差して、白い円形の模様を見せてきた。
「ボクもだし、ふーたんにもリアにもあるから、リーダーとイズちゃん先輩にもあると思うんだけど……どう?」
言われて二人は手の甲を見る、すると薄っすらと円形の模様が見えた。
「これって、えーと……能力? と、関係があるのかな」
莉衣奈の質問に後ろの風香が答える。
「身体能力は通常時でも上がってるみたいなんですけど、それ以外だとこの模様が光るんですね、光ると能力を発揮できるんです」
「自分はそんな能力を使った覚えは無いんだけど、どうやったら解除されるんだい?」
「それは気を抜く、みたいな感じです」
イズナは風香の言うとおりに脱力してみる。
すると身体を白い光が包み込んだ。
莉衣奈はすぐにイズナを地面に下ろすとその瞬間にぽんっと光が破裂し少女が姿を現した。
「やったー!!戻れたああああああああああああああ!!!!」
「おおおお! ―――おおおおおおおおおお!!!?」
全身で喜びを表現してピョンピョン跳ぶイズナに対して周りの全員が別の反応をした。
莉衣奈は両手で口を塞ぎ、リアと風香は顔を赤らめて視線を逸らし、ネコネは歓喜の声を上げた。
イズナは全裸だった。
「何でーーーーーーーーーー!!!!???」
自分の姿に気がついたイズナは両腕で胸を押さえながらしゃがみこんだ。
「せ、せせせせ先輩! と、ととととりあえず狐に戻りましょっっ」
風香は慌てながらも自分の羽織をイズナにかけた。
イズナは泣く泣く狐に戻るのだった。
「なんでぇーなんでなんだよぉー」
イズナはしばらく立ち直れそうに無かった。