4—15 チームBその7
「——本当に迷子になってどーするんですか」
リアは柑奈と一緒に3区へと向かう所だった。
道中、見事にはぐれて呼び掛けても見つからず。
——私なんかより、ひびきちゃんの方が方向音痴酷いんだよ!
「実際はぐれてるのは柑奈先輩の方で、響先輩の方は——」
「あれ、リアじゃん! やっほー」
声のする方へ向くと、響が手を振りながらこちらに歩いて来た。
「……風香とはぐれたんですか…?」
「ん、そうそう! 皆んなどこ行ったんだろう」
「さあ…? ところで、柑奈先輩見ませんでした?」
「柑奈? えーと、あっちのビルの方向の道にいたと思う」
「……そうですか、ありがとうございます」
リアはペコリと頭を下げると踵を返し歩き出した。
響もそのまま逆方向に歩いて行く。
少し距離を置いたところでリアは振り返り
「見つけた」
そう呟いた。
「そこのお嬢さん、町長またはこの写真の女の子を見なかったかな…?」
「さぁ、見てないです」
羽海はケータイ画面を女性に見せながら質問していく。成果はなし。
その様子を少し離れて見ているエルは呆れたように溜息をつくと、羽海に聞いてみる。
「なんで女性ばっか声掛けてんの、男性とかおじさんとか全部スルーして」
「女の子の方が幸せな気持ちになれるじゃないか! 久しぶりに黄色い歓声を聴いてみたくてね」
羽海は大きくジェスチャーしながら力説するが、エルには1ミリも理解できなかった。
いや、歓声の部分はライブ以来聴いてないから共感できなくも無い、か。男女問わずだけど。
それよりも、街区を回るはずがショッピングエリアに来てしまっているこの状況をどうにかしたかった。
「風香、そっちはどう?」
「はい、誰もいません。留守でしょうか」
「ここもハズレかー」
風香と響は家の門の隙間からや外壁の柵から覗き見ている。
誰に声を掛けるでも無く、ひたすら観察をし続ける。
それを繰り返していると、少年目が合った。
「………」
ダッ と少年は走り出す。
「風香、ゴー!」
「了解です!」
その少年を追うように風香も走り出す。
数秒でその少年は取り押さえられた。
「離せよドロボー!! 誘拐犯!」
「人聞きの悪い! 何も盗んじゃいないぞ少年!」
地面に押さえ付けられている少年を見下ろすように、仁王立ちする響。
「お前らもあのウサギとか言う女の仲間なんだろ!! あの目障りなビルに入って行くのをさっき見たんだからな!! じーちゃんを返せ!」
「じーちゃんとは?」
「惚けるな! この街の町長だよ!」
響はニヤと笑うとしゃがみ込んだ。
「当たりだぞ風香、こいつから話を聞こう。私たちもそのじーちゃんを探して居るのだよ」
「おかしいですね」
「何が…?」
「目撃情報が無さすぎると思いません?」
莉衣奈とセミノはビルから町長宅の間で聞き込みをしていた。
ビル周辺にヒトは滅多に来なくて、そこで目撃が無いのはわかる。
だがその中間の商店街エリアはヒトの通りが多いのが普通。町長ともなると目撃されるのは当たり前。
しかし、ここ数日は公園広場でもあったが、出歩くヒトが減っているのだ。
「遊びに出歩く子供が居ないのも変ですけど、買い物客は外出していてもおかしくない…」
「値上がりしたから、買い物するヒトが減っているとしか…?」
「いえ、それは2日前からであって町長はその前に居なくなっているんです。少なくとも3日前は通常だったハズですね」
「確かにそうだ、ごめん勘違いしてたよ」
「いいっいえいえ! あーしがそのっ町長のお手伝いさんから直接聞いたから知ってただけですはい! リーダーが気にする事はなーんにもないです!」
「今日のセミノちゃん、頼りになってカッコいいなって」
ズッキューン!!!
「も、もももももももー1回! いえ2、3回お願いしまふ!!」
セミノはケータイを取り出して録音機能をオンにする。
「どぞ!」
「頼りになってカッコいいよ」
「ありがとーございます! マジで家宝にしますんで!」
セミノは鼻息荒く莉衣奈に詰め寄っていった。
「———ん…? ここ、どこ」
暗くて周りがよく見えない。
柑奈は周囲に手を彷徨わせながら壁を探す。何も触れなかった。
どうして、ここに居るのかもわからない。
「誰かおるのか」
「うひゃいッッ!?」
突然の声かけに驚いた柑奈は後ろに飛び退く。
「ど、どちら様ですか…?」
「おや、ワシの声が聴こえるのか。姿はどうじゃ?」
「こ、怖い事言わないでぇくらさいっ! ゆ、ゆうれいさん、です、か…? 違いますよねぇ!?」
暗闇だからかシルエットすら見えず、声の主がどこに居るのかわからない柑奈は震えながら質問する。
「ある意味、幽霊みたいなものか…誰もワシの事を認識しなかったからな」
「それって、どういう……?」
「聞いてくれるか、ワシの話を」




