4—9 チームBその1
イズナたちと別れたその日の夕飯用に、響と柑奈、風香は山菜や魚を釣りに向かっていた。
「あはははははははははははははははははははははははははは」
それぞれ別れて探索していると、後ろから柑奈の笑い声が聴こえてきて響は振り返る。
「こーら、遊んでないで探しなさいよ」
「ぷっあははははははははははははははははははははははは」
しかし柑奈は涙を流しながら笑いを止めない。
不審に思った風香は柑奈の手に持っているキノコに注目し、街で購入した図鑑で調べる。
いくつか手に持っているキノコと図鑑を見比べて、あるページで手が止まる。
「……それ、笑いキノコですよ。何を言っても何をしても笑ってしまう毒キノコです」
「それってマズいんじゃないの?!」
「えっと……自分たちの世界にあるのとは別で、本当にただ一定時間笑い続けるだけみたいです」
「ふーん……」
響は柑奈の側まで歩いて行くと、近くの竹をポンポンと触りながら
「柑奈 柑奈! この竹あったけーな」
「ぶはっはははあはははははははははははははははははははははははっっあっはははははははははは!!!」
「だ、ダジャレ……響先輩が……」
「あ、見て見て柑奈、65だよ65」
「ろ、ろくじゅっ……ごぉ?」
響が垂れてる大きめの葉っぱを指差す。
「8×8=65」
「ばっかそれをゆーなら63だよっあはははははっ」
「あれぇー?」
「せ、先輩方……64です」
「違うじゃん! あはははははははははははっ」
「64だ64だー」
「響先輩も、何か変なモノ食べてませんか?」
あまりにも普段と違うので風香は疑いの目で響の持ち物をチェックする。
すると柑奈とは違う色のキノコが見つかり、そのキノコは……
「まるで子供のようになる……この世界のキノコ、食べてはいけないモノばかりなのでは…?」
しっかり図鑑を読み込んで知識を身につけなければ、先輩たちが危険な目に遭うかもしれない。
そう思った風香は勉強する事を決意するのだった。
「……ねぇ汚いよっ」
図鑑を読み始めた風香はその声にハッとして声の主、柑奈を見ると頭にべっとりと何かの液体が落ちていた。
「———っ!? せ、先輩っう、上っ」
何気なく視線を上に向けた風香は、血の気が引くのを感じながら、柑奈に伝える。
「上…? ———ひっ?!」
柑奈も上を見上げると短い悲鳴を上げる。
そこには、デカい蜘蛛が糸を垂らしてゆっくりと降りて来るところだった。
「64だムシ……虫ッ?!」
3人はゆっくりと後退りをし、
「嫌ああぁああああああああああああああああぁぁああああぁああああああああぁああああああああああああああぁああああああああああああッッ!!!!」
全速力で逃げ出した。
しかし蜘蛛も後を追うように走り出した。
「嫌ああぁッッはははあはははははははははははははははははっ何でっ追ってくんのぉアッハハハハハハハ」
「まだ笑いが止まんないんですか柑奈先輩っ!?」
「逃げろ逃げろ〜!!」
「響先輩っすっごい能天気ッてリーダー!?」
3人の前方に莉衣奈の姿が見えた。
莉衣奈はこちらに気が付くと笑顔で終わったかを聞いて来たが、それどこじゃない3人はただ一言。
「デッカい蜘蛛がああああああああぁぁああッッ」
「………え?」
莉衣奈は3人の背後に視線を移すと
カサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサ
5メートルはありそうな巨大な蜘蛛が視界に入った。
柑奈たちは莉衣奈の横を抜けて走り続ける。
「きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁああああああああああああああああああああああああああああぁああぁぁぁッッッッ!!!!」
風香たちの横を莉衣奈は駆け抜けて行った。
「うそ、はっや……あ、あんな悲鳴を上げるリーダー初めて見ました」
「あはははははっっりっ莉衣奈ちゃんはっ虫大の苦手っだからねっアハハハハハッ」
「あんなデッカい蜘蛛、誰でも悲鳴もんだと思うけどねー」
「——そこまでよ!」
突如上空から声が聞こえたと思ったら、女の子がひとり降って来た。
風香たちと蜘蛛の間に着地すると、蜘蛛は動きを止める。
「よしよーし、いい子だねー」
すると女の子は蜘蛛を撫で始めたではないか。
蜘蛛は大人しく従っているのにも驚きだが、その女の子が
「セミノ先輩……っ!?」




