4—7 チームAその6
「騙されないで!!!!!」
潤葉の後ろにある入口から、もう一人の潤葉が現れた。
今までそこに居た潤葉はゆっくりと振り返ると、微笑みながら話しかける。
「……思ったより早く来たんですね。ああ、彼女のせいですか」
潤葉?は空を見上げると、視界に映る箒に乗った少女を見る。
「せっかくの迷路を空を飛んで脱出なんて、ズルいんじゃないですかね」
「出口の無い迷路だったのに何を言ってんだか」
「出口ならありましたよ、正解の壁に仕掛けがありましてね…針程の細い物で小さい穴を刺せば開くんです」
「知らなきゃ脱出不可能って事じゃんか」
「それで? アナタは何をしにここへ…? おかげでトラさん達も回復——っ!?」
ハッと潤葉?は上空を見ると笑みが消えた。
「……やってくれましたね」
上空高くに向かって行くマホに気付いた潤葉?は後を追うように飛んで行った。
「何がどうなってんの?」
状況が全く理解出来ない晴は潤葉に説明を求める。
しかし、そんな時間は無いと簡潔に説明した。
自分たちのエネルギーを吸収していた禍々しい赤い結晶のようなモノ。それのせいでミカがおかしくなっている。
「それなら、アレを壊せばいいのでは? という結論になり、飛べるマホ先輩に頼みました」
「えーと、壊す前に敵に気付かれて妨害されようとしているって事…?」
潤葉は頷いた。
「思ったより早く気付かれました……っ」
「話は聞かせて貰いました」
「うぉっ!?」
晴の背後に現れたまもりの声に晴はビクッと反応する。
「何か策があるの? まもり」
潤葉がまもりに問い掛けると首を横に振った。
「いえ……飛べませんし」
「……だったらさ、ひとつ……手伝ってくれないか?」
晴は言いながら、少し距離を取り背を向ける。
「晴を上に投げ飛ばして欲しいんだ」
すると晴の身体が光り、大きな白鳥の姿になった。
「先輩、その姿……?!」
「まだ、上手く飛べないんだ。補助のつもりでやってくれ」
まもりは白鳥を抱え上げ、ハンマー投げのようにグルグルと勢いよく回り始めた。
「やあああああああああぁああぁああぁああああああああああああぁああああああああああああ」
斜め上にぶん投げられた白鳥は羽をばたつかせるも徐々に落下していく。それでも完全落下はせず、踏ん張って上昇を始める。
マホの攻撃魔法は威力が高いが、発動に時間がかかる。
妨害しようと、潤葉の姿を解いたフードの男は呪文を唱え…わずかながら男の方が魔法発動が早い!
「!?」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉおおおおおぉおおおお!!!」
下から必死に羽ばたいてきた晴は、タイミング良く? 来て男が放った魔導弾とマホの間に割って入り。
チュドーーーーーーン
それは晴に直撃し爆発した。
意識を失った晴はそのまま落下していく。
「——ッ余計な邪魔が入りましたねぇ……!」
「せんぱあああぁああぁぁああいっっ!!!」
一直線に落ちて来る晴に向かってまもりは叫ぶ。当然返事は無い。
まもりは唇を噛み締め、握り拳に力が入った。
鼓動が速く、呼吸が荒い。
この感覚が何なのかわからない。
気が付くと右手に握られていた剣が、ゲームとかで見る斧に変わっていた。
それをどうするか…?
身体が自然に動き出し、回転を始める。
先程と同じように、今度は大きく踏み込んで上空の敵目掛けてぶん投げた。
勢いよく回転した斧は一直線に男に向かって行く。
「!? 何ですか…アレはっ」
顔面に向かって来た斧を身体を捻ってかわすと不敵な笑みを浮かべ。
「残念ですが、当たらなければ意味がないで——ッ?!」
下を見ると、まもりが高く跳び上がって、いや氷の山を駆け上がって来ている。
そこからの大ジャンプで同じ高さまで来た事に眼を見開いて驚く。
先程の斧がブーメランのように戻って来たのを間一髪避けると、まもりがそれをキャッチし
「———たぁああああああああああああああぁああああああああぁああああああああッッ!!!」
そのまま振り下ろし斬りつけた。
「ぐぉぼッッ」
男はそのまま落下していくと、途中で青白く光消えていった。
「マホ先輩っ!!」
驚いた顔で固まったいたマホはハッと我に返り、溜めていた炎の魔法を放つ。
パリィン
直撃した結晶は砕け散るとカッと広範囲に光が辺りを包み込んだ。
落下するまもりをマホはキャッチし、ゆっくりと地上に降りて行く。
「………ここ、は…?」
暴れて壁を破壊していたミカは動きが止まり正気に戻る。
同じくイズナや陽子、ネコネも正気に戻り赤い瞳も戻った。
「……よ、良かったぁああああ……」
まもりがホッと胸を撫で下ろすと、大の字に寝ている吹雪の元へ歩み寄り
「お疲れ様」
「……しばらく動けそうにないので、ヨウちゃんを連れて来てください」
「あはは……あっちもすぐ動けるかわかんないけど、伝えてみるよ」
「こっちも何とかしてくれぇええぇ……」
ぐったりと横たわる白鳥の側にネコネは近づいて行き
「その声、晴ちゃん先輩? 回復させたら、乗せてくれる?」
「ふざけんな……こちとらお疲れだよ…」
「それじゃあ、今度よろしくね先輩」
ネコネはペロっと舌を出した。




