4—3 チームAその2
「リーナちゃん達と別れて早5日、我々はただ東を目指すのみ」
「イズちゃん先輩」
「丈夫でなかなか疲れない身体ではあるが、心は疲弊していく……」
「イズちゃん」
「早いとこ今晩のご飯、いや昼メシをどうにかしないと……」
「聞こえてますよね先輩!?」
「なーんだい急に大声出してー異常でもあったかい、晴ちゃん?」
「いつまで人の頭に乗ってんスかっいい加減降りてくださいよ!?」
「この可愛い狐ちゃんは軽くていいでしょっ!」
「しっかり重さを感じてますよ!?」
晴は頭上の狐を振り落とそうと首を振る。
仕方ないとイズナはすぐ近くに居たまもりへと飛び移った。
まもりは咄嗟に抱き抱える。
「はぁ〜落ち着くねここ」
「セクハラおやじじゃないッスか」
「なーにを人聞きの悪い! そんな邪な気持ちがある訳ないでしょーっ」
「そーだよ、ボクだって邪な気持ちでここに居るんじゃないんだからね!」
「オメーは何フツーに頭に乗ってんだネコネえええぇええぇ!!! 降りろおおおぉおおおぉおお!!!!」
狐がどいた事により空いた晴の頭に猫が陣取った。
「———まったく、うるさいですよ先輩方……読書に集中出来ないじゃないですか」
「吹雪はなんでトラの上で本読んでんだよ!?」
最後尾をトコトコと歩くのは、トラの姿になった陽子とその背中に乗っている吹雪だった。
吹雪の手に持つ本は、前の街で購入した歴史本。文字は日本語で書かれている。
「夜は暗いし宿屋に居る時間もほぼ無く、この移動中に読むしかないんです」
「………なるほど、晴には難しい本はちんぷんかんぷんだから理解出来るのすげ〜よ」
「いえ全くわかりません。そもそも歴史苦手ですし」
「何で買ったんだ?」
陽子は吹雪に乗り心地を確認しながら歩く。
「いやぁ、こうしていると馬になった気分スね」
「お前はトラだぞ陽子」
お馬さんごっこを妹達にしていたらしい。
懐かしさを感じながら、陽子は嬉しそうに駆け出して———
「お、おち、落ちるよヨウちゃん!?」
「あ、ごめんごめん。はしゃいでしまったよ」
吹雪は陽子の背中にしがみついた。
「走る時は言って」
「……んー、あとどれくらいかなぁ……マホちゃん見て来て貰える?」
イズナは箒で並走しているマホに頼む。するとマホは親指を立てて快諾した。
最近は練習の成果もあって、スピードや高さを調整出来るようになってきていたのだ。
「前から思ってたんだよね、魔女には使い魔的な猫が必要なんじゃないかって」
言いながらマホはゆっくりと晴へと近付いて行き、頭の上に居る猫を掴んで箒の先端に乗せた。
「へ…?」
状況を理解していないネコネは目を丸くして——
「行って来まーす!!」
「にゃにーーーーーっっ!!!?」
猛スピードで飛んで行くのだった。
「すっご、もうあんな遠くまで……あ、落ちた」
晴はネコネの後を見ていたら、小さな影が落下するのが見えた。おそらくネコネだろう。
「ネコネえぇええええぇええぇぇっ!!!」
イズナが叫ぶと横にトラがやって来て
「アタシが先に見て来ますよ———走るよ?」
「うん」
陽子は背中の吹雪に確認をし駆け出した。
その後をイズナ、晴、まもりも追う。
少しして落下地点に到着すると、目を回して倒れてるネコネと、女の子がうつ伏せで倒れていた。
「……あれ、これ……もしかして、やった?」
現場を見た晴は、思わず呟く。
女の子の頭上にネコネが落下したのではないかと。
「とにかく、ヒールをかけた方がいいかな」
「ヒール役か、ヒール役って誰でしたっけ?」
女の子の様子を観察していたイズナが言うと、晴は回復係を探す。
するとイズナとまもりと吹雪はネコネを指差した。
「ネコネぇえええぇええぇえ!! 起きろおおおおおおおぉおおぉぉッ!!!」
晴はネコネの頬をペシペシ叩いて起こす。
「………ん」
しかし先に目を覚ましたのは———
「………あれ? 潤葉ちゃん?」




