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「ユメちゃんを見た!?」
響とまもりを診療所で休ませている間、莉衣奈達はエルから話を聞いていた。
「後ろ姿を見て、追いかけて……そしたら意識を失って……」
手科ユメ、”ルピナス”6期生でとても不思議な女の子という印象。
エルは捕まってからの記憶は無く、封印されていた心が戻るまで何をしていたのかも分からないそうだ。
「ご迷惑をお掛けしました」
エルは深々と頭を下げる。
そんなエルを莉衣奈はそっと抱きしめるのだった。
「野宿? 全然いいッスよ」
全員泊まれる余裕もなく、宿屋組に相談したところ、陽子は快諾した。
それから吹雪も野宿組に立候補し周りを驚かせた。
「リハビリと……陽子と一緒に居たいです」
4人部屋という事で、8人が野宿という事に。
「じゃあ私も野宿にしようかな」
「リーダーは部屋を使ってください、私と晴が野宿組に———」
「はぁ〜久々のベッド気持ちいいなぁ……」
晴がベッドで伸びをしながら横になっており、それを見たリアはじーっと睨む。
視線を感じた晴は反対側に寝返りをし気付かないフリをする。
無言の圧力はまだ続く。
「アタシもベッドを使っても構わないかな? 次の航海がいつかわからないけど、しっかり休んでおきたいんだ」
羽海が挙手をして、お伺いを立てる。特に異議を唱える者は居なかった。
「あとひとつか、だったら私が使っても——」
「くかーすぴー……」
「柑奈ちゃん、もうマホちゃんが寝てる」
「はや!?」
「私が野宿組に行くから柑奈ちゃんどうぞ」
「先輩なんですから、ベッド使ってくださいよ」
それでも納得しないリアに莉衣奈は微笑んで
「こんな時に先輩も後輩もないよ、ねぇイズナちゃん?」
「んあー? そーだよ、気にしない気にしない! 自分は狐のペット枠でここで寝るからー」
マホの横で丸くなって寝ようとしているイズナに対し陽子は申し訳無さそうに告げる。
「ここ、ペット禁止だそうッスよ」
「「えー?!」」
同じくペット枠で寝ようとしていたネコネもショックを受けた。
結果、柑奈、マホ、晴、羽海以外の8人は宿を後にするのだった。
それから響とまもりの回復を待つ事数日、無事退院した2人と合流して今後の話をする事に。
宿屋に集まった14人は、地図を見ながらルートを探す。
まもりと響が訪れた渓谷の先を北上して行くと山を挟んで東と西にそれぞれ街があり、そこで二手に分かれる事にした。
「よし! 響ちゃんとまもりちゃんも回復したし、吹雪ちゃんも歩けるんだよね? それじゃ出発しよ!」
全員で円陣を組んで手を重ねる。
「それじゃ、レッツゴー!!!」
「「「「おおおおー!!!」」」」
ライブ前のように気合を入れて、14人は歩き出した———




