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円地エル。
″ルピナス″の5期生、この世界においての彼女は、天使の力を持って現れた。
「現在65%……もう少し時間稼ぎをさせて貰うよ」
「堕天使とかよくわかんないけど、時間が無いならさっさと助けよう!」
莉衣奈が剣を構えると、男は
スイッチを押した。
天井の一部がスライドして開き、そこから現れたのは——
ガシャンッッ
高さ5メートルくらいの人型ロボットが降って来たでないか。
身構える面々を見て男はニタリと笑みを浮かべ
「今回は簡単にはヤられんからな」
「ふっ」
先手必勝とばかりに、莉衣奈が斬り込む。
が——
「あっ」
パリィンと弾かれヨロけた所をロボットが右ストレートを叩き込もうと動きだす。
「こんにゃろッッ」
イズナが右腕に飛び蹴りをかますも、これも弾かれる。すぐさま足を掴まれ、莉衣奈目掛けてぶん投げられ2人は重なるように倒れた。
「防御シールドは正常に機能しているようだ、70%……この調子で頼むぞ」
「攻撃が全然通らないッッ」
「ぐぬぬぬ……シールドが厄介だねぇ」
「イズちゃん先輩! いっスか」
晴の声を聴いたイズナは、ケモ耳をしまい両耳を塞いだ。
「すぅーっわあああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁああああああああああああぁああああああああッッ!!」
「ッッなんだこのやかましいのは!!?」
男も耳を抑えながら晴を睨みつける。
ただそんな声は晴の叫びで掻き消されるが。
莉衣奈はこのタイミングで攻撃を仕掛ける。すると弾かれずに命中した。
それでも切り傷程度。
柑奈はカードを引きかざす。効果は——莉衣奈の剣が熱く燃え上がった。
「ふッッ」
先程と違って斬れ味も上がりロボットの身体を深く切り刻める。
キンッ キンッ キンッッ キンッッ
ロボットも致命傷を避けつつ、剣に変形した右腕で応戦する。
そして莉衣奈はロボットの剣を真っ二つにし、そのまま胴体も真っ二つに斬り落とした。
そのタイミングで炎の剣の効果も切れたが、莉衣奈は気にせずにエル目掛けて駆け出そうとしたその時——
「ッッ!?」
斬り落とされた上半身が体当たりしてきて、莉衣奈は吹っ飛ばされる。
「言っただろう? 簡単にヤられんと……さぁ第二形態だ!!」
スピードが増して無差別に攻撃して来て全員、一度は吹っ飛ばされた。
柑奈はカードをドローし効果を発動させる。
「床ツルツル!」
言うや否や全員がその場に転んだ。男も例外では無く、盛大に尻もちをついた。この場に立っていられる者など居ない。
「くく浮いているロボにそんなのは意味ないさ!」
柑奈は更にカードを引くと現れたのは。
「こま回し」
大きくて長めのロープをくるくると回して吸い寄せられる様に飛んでいきロボットに巻き付けて、もの凄い回転をかけてロボットはその場で周り出す。
もちろん、床の上で。
「回してどーすんスか」
「まー見てなって! こっちのコマを回すんだから、さ!!」
手首のスナップだけで通常のコマより大きいコマが勢いよく回転して、一直線にロボットへと向かっていく。
勢いよくぶつかり合うと互いに弾け飛ぶがコマの方は円柱や壁にぶつかり再びロボットに突撃して行き、竜巻を起こし始めた。
「いっけえええええええええッッ!!」
風の刃と化したコマはロボットを切り刻み、粉々に飛び散った。
効果が切れると床も戻りコマも消えると、全員がゆっくりと立ち上がる。
「………くくく、まさか第二形態も倒してしまうとは………88%か、仕方あるまい奥の手だ」
男はエルの居る水槽に近づいて行き操作をすると、水が少し減り顔の部分がケースから出た。
「なにを……———まさかッッ」
嫌な予感がした莉衣奈はすぐ隣に居た柑奈に飛び掛かる。
「柑奈ちゃん!」
「ぇ、莉衣奈ちゃん?」
カッッッ
部屋中が光に包まれ、そして
「……ぅ、今のって……ッッ!?」
柑奈を庇うような姿勢で、莉衣奈が目の前で石化していた。
視線を他に移すとイズナと晴も石化しており、柑奈は言葉を失った。
「ぁ———」
「石化をさせる事で天使は堕天使へと近付く。ヒトリ生き残ったが———」
バッ
柑奈はカードを引いてかざすが、効果が出る事はなく白紙……
「———キミはもう何も出来まい、大人しく見物しているが良いさ」
「ぅ……くっ………」
涙がこぼれ落ちる。
膝から崩れ、両手を床に付くと更に溢れてくる。
「ぇっく………みんな……わたしを……わたしをひとりにしないでよぉぉおッッ」
「93%、力を使って少しペースダウンしたか?」
「………ひびきちゃん……ダメ、だったよぉ……ぅ……もう、終わり———」
———ホントに?
「…………………ぇ」
「ホントに終わりなの、柑奈?」
ゆっくりと振り返る。
「———ぁ」
「さあ 始めようか 私たちの夢の物語を〜♪」
歌声が室内に響き渡り、誰もが思わず立ち止まり聴き惚れる。今は柑奈と男だけだが。
「………柑奈ちゃん」
「! 莉衣奈ちゃん!!」
石化していた面々が解けていく。
「あの男……嘘の報告をしたのかッ生きてるではないか!」
「ンな簡単にくたばるかってーの!」
「いや血まみれじゃんアンタ」
響が舌をべーっと出した所に柑奈がツッコむ。
響の後ろから、まもりが莉衣奈の元へ歩いて来た。
「リーダー、これをエルちゃんに」
「これ、は?」
手のひらサイズの玉が莉衣奈に手渡される。
「えと……エルちゃんの…心? らしいです。とにかく急いでください」
「……うん、わかった。イズナちゃん、お願い」
莉衣奈はイズナに玉を手渡し、イズナはそれをニカっと受け取った。
「任せて」
「それを見つけてくるとは……そうはさせんぞ!!」
男はサブマシンガンを取り出しイズナに照準を向ける。
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダ
連射される銃弾を軽やかな動きで避けつつ距離を詰める。周りにあるものに足を掛け跳んだり、完全に避けきった。
「ッッこの!」
イズナが男の目の前まで迫った所で別の銃に持ち替え、イズナの額に押しつけられる程の至近距離。
パァンッッ
その瞬間、イズナは狐の姿になりそれを回避。
後ろに回り込み、男の背中を爪で切り裂いた。
「が……ぁ……」
男はうつ伏せに倒れ込み、動かなくなった。
イズナはそのままエルの元へと行き
「玉持ってきたけど……どーすんだろ」
エルと玉は光輝き共鳴し合い、玉はエルに吸収されていく。
「……………ん、あれ」
そしてエルは目を覚ました。




