2—7 チームAその3
木の魔物にマホは箒を突き付ける、そして振り上げると
「時間稼ぎよろしく!」
「え゛!?」
3人はズルっとこけそうになる。
「溜めるのに時間かかるんだもの」
先程この部屋に放った時はそんな時間かからなかったと風香は思ったが、どうやら本気の時は溜める必要があるそうだ。
まもりがマホの傍まで行き盾を構える。
「私がマホ先輩を守ります」
左手に盾、右手に剣。騎士みたいだと風香は思った。
白衣の男は窓際の端っこまで移動して、こちらの様子を見ている。
巻き込む心配がないなら、思い切り出来る。
戦闘の合図は分からない、でも風香と魔物は同時に動いた。
数歩で接近できる距離で一気に詰めようと掛け出す。しかしそれは目の前に立ちはだかる太い枝に阻まれ追撃のツタが風香を襲う。
数本切り落としたが追撃が止まらず大きく後退せざるを得なかった。
枝が鞭のように上から左右から攻撃が繰り返され、まもりも盾で防げはするが耐えるのが精一杯で直接後ろのマホに攻撃されたものはネコネが切り刻む。
ネコネは身軽に壁を蹴り高くジャンプをしながら防いでいると
「いっくよー!!」
マホの叫びと共に3人は横に退避する。
箒の柄の先端に炎が渦巻くように大きな塊となって魔物に向かって振り下ろす。
魔物の攻撃がマホに集中するかのように放たれるが、炎の塊はそれらを燃やし尽くしながら本体へと向かって行き———
命中すると部屋中に張り巡らされた枝たにも燃え移り真っ赤に染まった。
真っ黒に焦げ落ちると光の粒子となって消えた。
「まさかあの魔物が倒されるとは……その魔法はやっかいですねぇ……」
「戦いは終わりました、解毒薬貰いますね」
まもりは盾を構えながら男に接近する。
すると男は部屋を見渡すと
「全く……加減を知らない魔法のせいで研究室は滅茶苦茶だ……君たちが欲している解毒薬とやらが無事かどうか」
「あ」
マホが気まずそうにそっぽを向く。
「必要データは取れたから良しとしますか……それではさようなら」
「え」
男は窓があった場所に足をかけ飛び降りた。
風香とまもりは急いで駆け寄って下を見るが、誰の姿も無かった。
どれが求めている解毒薬なのか分からなかったので、解毒薬と書かれた瓶を片っ端から持って行く事にした。
部屋の外から複数の足音が聞こえ、扉に視線を向けると兵士が6人ほど突入して来た。
「流石に気付かれるかー」
「呑気に言ってる場合ですか、面倒ですよこれー」
言いながらマホとネコネは戦闘体制に入る。
「なんだお前たちは!?」
「ここに居た研究員さんに用があっただけなんで、お会いできたのでもう帰りますねー」
すると1人の兵士は眉間に皺を寄せると
「——は? 博士なら下に」
「アンタらワシの研究室で何をしとるかーっっ!!」
ドタドタと足音が聞こえたかと思うと、立派な白髪に髭を生やしたおじいちゃんが部屋に入って来た。
「ああすいません、助手さんでしたか」
「ワシに助手など居らんわ! お前ら戝を捕えろ! アレを使っても構わん」
兵士たちは一斉に銃を構える。
「!? まさか、それは——ッッみんな盾に隠れて!!」
銃を見た瞬間、まもりは吹雪を撃った毒の銃だと理解した。
被害者は増やしたくない!
「ってーい!!」
「コロす気ですか!?」
「安心しろ、捕らえた後で解毒薬を使ってやるわい」
「マホ先輩、あの魔法もう一発使えないですか!」
「大技使ったからしばらく無理ぃー!!」
マホと風香が必死に策を考えている中
ネコネはこの瞬間、嫌なことを思い出した。
——魔物用の毒を人間相手に使ったら、激痛から始まり、じわじわと全身を巡り………
———魔物なら速攻で効く
違う
自分は魔物じゃない
だからアレを受けても………
もし、猫が魔物の姿だったら、即し——
パァン
銃声が部屋中にに響き渡った——




