2—5 チームAその1
開いている窓からの侵入は良いと思った。しかし窓の大きさを考えてはいなかったのだ。
マホが丁度通れたとしても、その他二人がどうなるか……
結論から言うと、まもりと風香は壁に激突した。
高さを気にしたマホは窓の上側に額をぶつけバランスを崩し、掴んいた手は離さなかったので3人とも窓を突き破り部屋に転がり込むように侵入した。
中にいた大勢の女性たちから悲鳴があがるのを聴きながら、風香は天井を眺めていた。身体が痛い。
「大丈夫かい? ぼうや」
大人の美しいお姉さんが話しかけてきた。一瞬ドキリとしたが、すぐに自分がボウヤだと思われていることに気付く。
「ぼ、ぼうやじゃないですよ私は!?」
「あら、女の子だったのね……ごめんなさいね。ふふ、私の好みの顔をしてるわね」
「あれ、イロカさんウミ様から乗り換えるんですか?」
そばに居た女性が笑顔で間に入ってくる。それに対してイロカと呼ばれた女性も笑顔で答える。
「ウミさまとはタイプが違うでしょ? あの方は美しくてこの子はかわいい、ね?」
「か、かわ———」
「ウミ先輩を知ってるんですか?!」
たじろぐ風香の横からまもりが女性の話に食いつく。
「知ってるもなにも、さっきまでここに居たからね」
事情を聞いたまもりたちは羽海の行動に納得する所もあり、牢屋に入れられてしまった事を知れたのも良かったと思った。
莉衣奈たちが下の階から探すのだから、運が良ければすぐに見つけられるかも知らない。
問題はこちらで、解毒薬の在処を調べなければならない。
その前にまもりは部屋の扉の付近で様子を伺っているネコネに気付いた。
「ネコネ先輩、何してるんですか?」
「あんなでっかい音と悲鳴があったら、誰か来るんじゃないかと思って……なんでか静かなんだよね」
「まあ、今は兵士の方たちも結婚式の準備に駆り出されてるみたいだしね……滅多な事じゃ来ないと思うわよ」
ネコネの近くに居た女の子が答える。
結婚の号外新聞は配るが式は一向に挙げる事もなく、今回ようやく行われる事になったそうで、メンクイの指示の元大掛かりな準備がされているそうで、使用人たちを含めて大忙しなのだそう。
そして、ここに居る全員と羽海が貴族の息子のメンクイと結婚する事に絶句した。
部屋の見張りが居ないのは普段からで、最上階である5階からの脱出は無理なのだそう。
自由に移動出来るのはここ5階と娯楽施設がある4階までで、3階へは封鎖されていて認証カードを持っている人物しか通れないとか。
いきなり5階へ突っ込んだのは正解だったのかもしれない。
いや、解毒薬が4階か5階に無かったら意味ないのではないか?
そんな事をまもりが考えていると、イロカさんが質問をして来た。あなたたちは誰で、なぜここに来たのかを。
そこで4人は軽く自己紹介をした。
目的の解毒薬のありそうな研究室を聞いてみるが、わからないとの事。
つまり5階と4階には無く、3階から下の階という事だ。
「研究室はわからないけど、研究者っぽい男は見たわね」
白衣を着たヒョロっとした眼鏡の男、一人で不気味に笑う姿は気味が悪かったそうだ。
「……とにかく、3階へはどう行くかですね」
「もっかい箒で3階の窓に突っ込むか!」
「「却下でお願いします!!!」」
マホの提案にまもりと風香は即答する。ネコネはそれに対し笑っていた。
まもりは思わず、一度経験してみては? と言いそうになるのを我慢した。
ベランダがあれば下の階に飛び降りれそうではあるが、1階にしかないようで、他に案が出ないので4人は4階に移動する事にした。
階段を降りて4階に着いてすぐに3階へ向かってみると、厳重そうな扉が設置されており、横にカードを通す機械があった。
壊す事は可能だろうが、流石に兵士がすっ飛んで来そうなので、それは最終手段にする事にした。
4階に戻り、それぞれ探索を開始する。
娯楽施設なだけあって、カードゲームの部屋やテーブルゲーム、軽い運動が出来る場所もあった。
そして一番目を引いたのは
「お風呂だー!!」
思わず叫んでしまう程に喜びの感情が爆発するが、すぐにそんな時間は無いと渋々諦めた。
一刻も早く、解毒薬を手に入れて、吹雪を助けなければ。4人は互いに頷くと踵を返した。
「なーんも無いねー」
マホはうんざりしたように座り込む。
下への道が見つからない。
中からではなく、やはり窓から行くしか……
「だったら、ボクがカードを入手してくるよ」
ネコネの言葉に3人は振り向く。
心配そうな3人に向かってネコネは言う。
「大丈夫大丈夫! なんとかなるよ」




