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2―3


 号外新聞を見たまもりは固まった。

 あのまま捕まって、結婚相手にされてしまったのだと思うと泣き出しそうになる。

 絶対に阻止しなければ、そして吹雪のために解毒薬を入手してこないと……

 頭ではわかっているが震えがとまらない。


「………よし!」


 両頬をパシンと叩くと、まもりは港町で一番高い場所にあるという屋敷を探した。

 すると目の前を見知った顔が走って行くのが見えた。号外と叫んでいるその人物は——


「マホ、せん…ぱい?」


 まもりは後を追いかけると、更に複数人知っている顔が見えて泣きそうになる。皆んなの反応から察するに、ウミ先輩の結婚記事を読んだのだろう。


 どう声を掛けるかを迷っていると、莉衣奈と目が合った。


「まもりちゃん……だよね?」


「……………はい、まもりです………ぅ…ぅ」


 言うとまもりの目から涙が溢れ出て止まらなくなる。心細かったのと、会えて嬉しいのと、今自分がやらなくてはならない事とか、感情がぐちゃぐちゃになった。

 すぐに莉衣奈たちが周りに集まって、まもりが落ち着くのを待っている。


 それから喋れるようになったまもりは、追われて捕まった羽海の事や吹雪の事を説明した。


「そのおじさん、何者だい?」


 話を聞き終えたイズナが疑問に思ったのはそこだった。

 この辺に住んでいるヒトにとっては周知の事実なのだろうか。


「何者かはわかんないんですけど、わたしは信用してフブキちゃんを任せて来ました」


「とにかく、一刻の猶予もないんだったら早くその屋敷に行こう! 解毒薬と羽海ちゃん救出に」


 莉衣奈の言葉に全員が頷き行動に移る。屋敷の場所は街のマップで確認してから移動を開始し、商業エリアから住宅街を抜けた先にある一際目立つ屋敷が丘の上に見えて来た。


 屋敷へと続く道は間にコンクリートの橋があり、周りには湖がある為、屋敷に入るには正面の橋を渡るしかなかった。

 奥に見えるのは大きな門、両端に立っているのは門番だろうか武装したヒトが居る。


 7人は門番から身を隠すように橋の手前で様子を伺いつつ作戦会議を始めた。

 解毒薬を取りに行くチームと羽海救出のチームに分かれることにし


「解毒薬チームには、まもりちゃん、ネコネちゃん、風香ちゃん、マホちゃん。羽海ちゃんチームには、私、イズナちゃん、リアちゃんで行こう」


 ネコネは引っ掻く攻撃の他に回復スキルもあるのだそうで、ヒール役のリアとチームを分けた。

 チーム分けの次はやはり、どうやって屋敷に入るか。湖から行くのは難しいだろう。


「………だったら、ボクとイズナちゃん先輩とでこっそり近付いて門番を倒すってのはどう?」


 ネコネの作戦を聞くと、猫と狐に変身して左右の茂みに隠れながら接近するというもの。


「ただ、人間を気絶させた事ないんだよねー……傷を負わせる事は出来るだろうけど、よく漫画とかで見るやつみたいには難しいかも」


 イズナが腕を組んで考え込む。

 それに対し閃いたとばかりに、ポンと手を叩いたのは風香だった。


「なら、この煙玉が使えますよ! 眠らせる煙が出るんです」


 イズナとネコネが左右から門番に近づいて、投げるなり紐を引いて転がすだけで煙が広がり、眠らせるという作戦。

 それなら出来ると二人は頷き合う。

 イズナが左、ネコネが右側から、狐と猫の姿で接近を試みる。

 正面を向いて立っている門番に動きは無く、二人は気付かれる事もなく目的の場所へ辿り着いた。


「「せーの」」


 ほぼ同時に左右から咥えていた煙玉を門番の足元

に投げ付け、二人はそそくさと退避した。煙は門の前に充満する。


「———よし!」


 次第にモクモクした煙は無くなっていき、そこには倒れている門番の姿が。

 寝ている事をイズナが確認し、莉衣奈たちにこの場へ来るよう合図を送った。


 門には鍵が掛かっており、開ける事が出来ない。


「この世界って、防犯カメラみたいなのってあるんですかね……?」


 リアが周囲と上の方を確認する、それらしいモノは見当たらなかった。

 外壁が高く、簡単によじ登るのも難しそうだ。


「アタシの箒で飛び越えるってのはどー?」


「静かに降りられるんならね、出来るのかい?」


「どっかにぶつからないと無理かもねーアハハ」


「それなら、リアちゃんのバリアーで越えるのはどうかな、前に私が大ジャンプしたように」


 以前に獣型の魔物のボスと対峙した時、莉衣奈が最後にした方法。助走ジャンプに着地するポイントにバリアーを張る事で踏み台にし、高く飛び上がる。


「まもりちゃんは何か意見ある?」


 莉衣奈がまもりの方を見ると、イズナとネコネを不思議そうに眺めていた。


「まもりちゃん?」


「あ、えと、すみません……先輩方が動物になるのがすごい気になってしまって……」


「あー初見はビックリするよね……で、話は聞いてたかな?」


「あ、はい! えーと、ジャンプするとかなんとか……」


「うん、まずは私が試しにやってみるね」


 リアにお願いと告げると、莉衣奈は距離を取り、右手を挙げて合図をして走り出す。タイミング良く張られたバリアーを使って、莉衣奈は見事に外壁を飛び越えた。


 それから、イズナ、ネコネ、風香と続き——


「身体が重くて、上手く飛べませーん」


「………………それは胸デスカ? 鎧デスカ?」


 ジト目でリアはまもりに問い掛ける。


「え゛………胸当てがちょっと重いだけですよ、リア先輩?」


「だったらアタシと箒で飛び越えよー!!」


「ちょっと待っ———」


 箒に跨ったマホに腕を掴まれたまもりは、そのまま上空高く上がり、そのまま外壁を越えた先の地面へ向けて一直線に落下していった。



 

 

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