そして最後に愛の告白を
入院してからもう2週間経った。もう結構耐えている方だと思う。それでも、薬の効きが悪くなってきているし、痛みの頻度は増えて薬を打つ回数も増えてしまい、とうとうこれ以上は打てないから暫くはそのまま痛みを耐えて欲しいと言われるほどまで来ている。もう本当に今すぐ亡くなってもおかしくない状況にあった。
今日は試験が終わり、朝早くから彼がやって来てくれた。薬は打っているものの、効きが遅くてまだ体が少し痛くてげっそりした顔で対面することになってしまった。
「渚さん、体起こして大丈夫なのですか?」
いつもは元気に振る舞っているのに、ここまで明らかにお淑やかなのに違和感を覚えたのだろう。正直、大丈夫と言えず、黙り込んでしまう。彼も私にどのように話し掛けたら良いのか分からず、2人の間に重い空気が漂ってしまった。こんなの空気になったのは余命を告げた時以来である。
私は無理矢理でも笑顔を作りたかったが、痛みは一向に収まる気配がなく作ることも出来なかった。そのため、私はもう悟ってしまった――もうすぐ亡くなるということ。そう思うと、今まで言えなかったことを今言えと脳から命令が下り、とうとう感謝の言葉を伝えた。
「康太さん、今まで私と付き合ってくれてありがとうございます。私、本当に幸せでした。私の残された人生を薔薇色に変えてくれたのは康太さんのお陰です」
彼は突然の感謝の言葉に戸惑っていたが、彼の方も口を開いた。
「僕も今まで特に楽しいと思って過ごしたことはなくて、渚さんと関わっている時は幸せだと感じていましたし、付き合っている時は毎日が楽しいと思うようになりました」
彼も私と同じことを思ってくれていたようで本当に嬉しかった。その言葉を聞いたら安心したのか急に眠気が襲ってきた。こんなに眠気を感じたのは初めてだ。そのためこれで目を瞑ったらもう2度と目を覚まさないことが分かった。だからこそ最後にこの言葉だけは彼に伝えたいと声を絞って彼に伝える。
「康太さん、大好きです」
何とか言えたと気が抜けて体が倒れてしまう。そして、私は彼の言葉を聞いて目を瞑った。
「僕も渚さんのこと大好きです」
最後までご覧いただきありがとうございました。
これでこの物語は終わりですが、作品としてはIfルートのお話を1話掲載して完結となります。




