とうとう訪れた死の宣告
幸せな日々に終止符を打ったのは、誕生日からちょうど1週間後の朝。
私は突然動けなくなった――。
私は朝いつものように起きようとしたら、体が中々思う通りに動かなかった。そして無理に動かそうとすると体全体に激痛が走る。確かに最近は起きるのさえ少し手間取っていたけど、起きることは出来ていたし、痛みを伴うこともなかった。それもこんな激痛なんて今までの人生で感じたことがない。なんとか体を起こそうと頑張ったものの、痛みのせいで動かすことが出来ない。私は無理矢理動かそうとした激痛に耐えることが出来ず、項垂れてしまった。暫くすると母が部屋にやってきて、困ったような表情をしていたでだろう私を見た母は、動けないことを悟って急いで病院に連れて行ってくれた。
そしてその場で入院することとなった。
いつの間にか眠っていたらしく、目を覚ますと病院のベッドの上にいた。
この病室の独特な匂い、部屋の外がガヤガヤしている音、このベッドの感覚、どんよりとしたこの空間は昔の入退院を繰り返していた頃を思い出す。けして良い思い出は無く、ただ健康になることを願っていたあの辛い思い出で埋め尽くされてしまうのだ。それと同時にそろそろ余命が尽きる時なのだと思うと今までよりも死を恐れてしまう。覚悟はしていたはずなのに、思うように頭の中の整理がつかない。
私が目を覚ましたのに気付いたのか、母が寄ってきて「大丈夫?」と声を掛けてくれた。何故だか分からないけど勝手に「大丈夫」と返事をしていた。無意識に体を起こすと、先程の激痛は走らず、少し動きは遅いもののいつものように体を起こすことが出来た。どうやら痛み止めでも打って痛みを感じないのだろう。
母はナースコールを鳴らして看護師を呼ぶ。看護師は私が目覚めたのを確認して、一旦病室から出て医師を呼んできた。
「立花さん、今の体調はどうですか?」
「今は痛くありませんが……体の動きは相変わらず鈍いです」
医師はお決まり文句のように私の現在の症状を尋ねた。別に嘘を偽る必要もないので、ありのままを伝える。
「以前から貴女の余命は長くはないと言っておりましたが、やはり病の進行は止まらず、現在急速に進んでおります。正直……言いづらいのですが、いつ亡くなってもおかしくない状況です」
この病は昔から言われていたが、20歳弱ぐらいになると急速に病が進むもので、20歳まで生きられない人が多い、まだ的確な治療が見つかっていない不治の病だ。幼い時に入退院を繰り返していたのは、実はこの病が直結しているのではなく、元々の免疫力が普通の人よりも弱かったためである。そのため少しのことがかなり危険な状況に追い込まれていた。それからは体力を付けて、簡単には体を崩さなくなったが、それでも幼い時にかかった病は治ることなく、現在その症状が顕著に現れてしまった。今はただ痛みを抑えているだけで、その病を治しているわけではなかった。私はその状況はよく分かっているからこそ恐怖を抑えることは出来なかった。




