告げられた余命と偶然の再会。––そして
こちらの病気の設定は全てオリジナルのものとなります
私は幼い頃から体が弱く、定期的に病院に通い、また事ある度に入退院を繰り返す日々を過ごしていた。そんな私は医者から20歳までは生きられないと言われ続けてきた。
そのため、私は出来るだけ思い出を作ろうと学校に行ける時には通い、参加出来る行事には出来るだけ参加するようにしてきた。
勿論勉強も学校行事も友達とのお喋りも楽しいものだった。しかし、いつも通っている病院の定期検診で、余命が少ないことを宣言されてから、今までの生活を振り返ると、何だか味気ないものに感じてしまった。これではただの学生で人生が終わってしまうと。もっと刺激的なことがしたいと。
そこで思い至ったのが恋愛だ。しかし、私には好きな人はいないし、好きになりそうな人を探すのも時間が掛かるのは目に見えていた。
それでもやはり一生に一度の恋をしたいという望みは捨てきれず、今後どうしようかと家路を歩いていると、目の前から見覚えのある男性が歩いてきた。ふとお互いの目が合う。顔を改めて確認すると、人生の中で1度だけ私に告白をしてくれた相手だった。顔を真っ赤にして告白してくれた男子に対して、病気のこともありその時は恋愛なんてと考えられずにいたけれど今はと思い、気がついたら彼に声を掛けていた。
「お久しぶりですね」
彼は私に声を掛けられるとは思っていなかったのか、大変驚いた様子だった。しかし、彼は笑みを浮かべて挨拶を返してくれた。
「お久しぶりです、立花先輩」
私の周りで先輩と付けて呼ぶ人は最近いなかったので、その呼ばれ方は新鮮に感じた。彼は私より年下であるせいか毎回このように呼んでいた。彼は大変優しい子であり、体は成長しているものの、その雰囲気は昔のままだった。
「立花先輩、元気でしたか?」
「はい、元気ですよ。櫻井さんも元気でしたか?」
「はい、僕も元気ですよ」
会話はぎこち無いものの、何とか続く。しかし、このままではもう会話は途切れて何も生まれないと思い、思い切って彼に質問をしてみた。
「櫻井さんは、好きな人や付き合っている人はいますか?」
「え、僕ですか? 好きな人はいますが、今は……付き合っている人はいません」
彼に付き合っている人はいないと言われたものの、好きな人がいると言われて、少し悲しくなってしまった。昔好きだと言ってくれたとしても、それはもう過去のこと。諦めて挨拶だけして帰ろうと思った時、彼は信じられないことを口にした。
「実の所……僕は今も立花先輩が好きですから」
その言葉を言われた瞬間、私は彼が昔告白してきた日のことを思い出してちょっとドキッとした事を思い出した――。