006 自己紹介
「じゃあギルドマスター、自己紹介しようよ」
「えっ!? 私がギルドマスター!?」
「そりゃそうでしょ、小雛がアタシたちを繋げたんだし」
ううっ、あんまりリーダー的なことはやってこなかったんだけど……まぁいっか!
「はい! 佐々木小雛です! 身長146センチの高校1年生。髪が白いのは生まれつき。職業はサンタクロースです。よろしくお願いします!」
ふぅ、噛まずに言えた。それだけで高得点!
由鶴も翼さんも、ぱちぱちぱちと温かい拍手を送ってくれた。
「じゃあ次は由鶴!」
「はいはーい。アタシは黒川由鶴。小雛と同じ高校に通う高1です。職業はHPを消費して威力の高い弾を撃つエネルギーガンナー! よろしくお願いします」
さすが由鶴、完ぺきな自己紹介だね。
「最後は翼さん!」
「は、はい。天城翼、20歳の大学生です。職業は宝石騎士です。人見知りです。よろしくお願いします……」
翼さんはその圧倒的な美貌とは対照的に、すごく申し訳なさそうに自己紹介をした。
年上だと思ってたけど20歳だったんだね。いいな〜、大人だな〜。お酒飲めるのかな。
「宝石騎士ってなんか強そうですよね。試したりしましたか?」
「はい。草原で……」
モンスターと戦ったってことだろう。エネルギーガンナーに宝石騎士にサンタクロースって、強そう! ……私以外。
「じゃあ小雛、ギルドマスターとして第一回ギルド戦の作戦をどうぞ!」
「え、ええっ!? うーん……たぶん新規エリア開拓になると思います。ただそのエリアを争ってPVPが起こることもあり得ます。なので警戒しながら進みましょう!」
「わー、いい作戦!」
由鶴は完全にバカにしてるなぁ! もう。
「翼さんは何か気になることはありますか?」
「はい。そもそもこのゲームにおいて3人ギルドはかなり不利です。ギルドのメンバーは3人からである点とギルド戦にはギルドメンバー全員を連れて行けるからです。つまり数の暴力で押し切られることもあるでしょう」
「つ、翼さんストップストップ!」
急に饒舌になった翼さんを、一旦由鶴が静止させた。
「ど、どうしました?」
「いやいや、急に饒舌に話せるようになったからビックリしましたよ」
「あはは、翼さんゲーム大好きなんですね」
「す、すみません……」
「謝ることなんてないですよ!」
「本当は一緒にプレイする仲間が欲しかったんです。運命の出会いがしたかったんです。だから直感でも私を欲してくれているのが嬉しくて……」
翼さんは頬を赤らめながらそう言った。
そうか……本当は寂しかったんだね。
「遠慮しないでください! 今回は私と由鶴が驚いちゃいましたけど、私たちは受け止めますから!」
「は、はい!」
その後、翼さんはやっぱり饒舌にギルド戦についての分析をしてくれた。
こんなに分析してくれているのならと、翼さんをPhoenixの軍師に任命した。
そして、ギルド戦当日の夜……
「さぁ、やろうか小雛!」
「うん。行きましょう、由鶴、翼さん!」
「うん!」
「はい!」
私たちPhoenixの初陣が幕を開けた。