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015 新スキル発表会

 第一層にひっそり佇むカフェ、「birds」。

 私たちはそんなカフェでイベント戦の報告会を開いていた。もちろん、各々好きなスイーツを食べながら。


「聞いてよ! それでどかーん! って爆発したの! でもなんとか避けてさ〜」

「小雛は危ない橋渡ってるねぇ」

「そういう由鶴はどうだったの?」

「アタシは何の因縁か【中山家】3人と激突よ。もう1対3とか勘弁してほしいよね」

「で……結果は?」

「へへ、勝ちました!」


 由鶴は指でピースサインを作った。

 私も由鶴も生き残った! 後は翼さんの結果を聞くだけ!


「翼さんは……」

「ごめんなさい……私は負けました」

「そ、そうでしたか……」


 正直言って予想外だ。この中で一番職業に恵まれているのは翼さんだから。


「お話、聞かせてもらっても?」


 ただごとではないと察したのか、由鶴は神妙な面持ちで翼さんに尋ねた。


「はい……私が遭遇したのは初老の男性。紳士服を着用していました。その方は【滅びの国】の副代表と自称していました」

「【滅びの国!?】」


【滅びの国】といえば、ギルド戦で2位に圧倒的な大差をつけ1位になったギルドだ。その副代表……!


「それは翼さん不運でしたね」

「はい。ですが……1対1である以上、あれだけの大敗を喫すことは許されません」

「スキルの量が桁違いとかでした? それなら納得も……」

「いえ。彼の強さの源はおそらく、"技"です」

「わ、わざ……」


 話がよくわからなくなってきた。でもここで分かってないなコイツって思われたくない!


「わ、技ですよね。ありますよね、技」

「小雛ぜったいに分かってないでしょ」

「うっ……」


 十数年来の親友に誤魔化しは効かないね。

 由鶴は指をピンと立て、確認するように翼さんに問いかける。


「要するにその人の強さはゲーム依存のものでなく、本人の持つ技術にある、ということですか?」

「はい。そう思います」

「小雛に分かりやすくいうと、引きこもり君がボクサーっていう職業を貰うのと、プロボクサーがボクサーの職業を貰うのでは変わってくるよね、ってこと」

「な、なるほど分かりやすい!」


【滅びの国】の副代表は掛け算的に強くなってるわけだ。ズルい……けど努力の証なんだろうなぁ。

 私だって工藤ユナちゃんに勝てたのはたくさんのゲームで培ってきたある意味"技"だしね。それを使わない理由はないよね。


「まぁ翼さんは気にしないでください。むしろ情報を持ってきてくれただけでありがたいですよ。それより……」

「うん、そうだね!」


「「新しいスキル、確認しないと!」」


 私と由鶴はこのイベントでゲットしたスキルをまだ確認していない。

 どんなスキルかもわからないから、カフェの会計は済ませて草原に移動した。もし爆発でもしたら憩いの場がなくなってしまう。それだけは絶対に嫌!


「じゃあアタシからね。新スキルは……ん? 『有効射程範囲延長』」

「どういうこと?」

「名前の通りだね。今までは1000メートル以降は弾の効力が切れるみたいだったけど、それが1500メートルまで伸びたみたい」

「地味……ですね」

「地味……だけど意外と使えるかもよ?」

「地味……は余計だっての。まぁ今のアタシにはあんまり関係ないかも」

「え? なんで?」


 由鶴が弱音なんて珍しい。バンバン撃ち倒すぞ! くらい言うと思ったのに。


「だって1500メートルだよ? そんな狙撃できっこないって。今のアタシの有効狙撃距離は900メートルが限界だもん」

「そっか……でも由鶴は成長してくれるでしょ?」

「小雛……もう、その笑顔には勝てないなぁ」

「えへへ〜」

「それで小雛さんはどんなスキルを手に入れたんですか?」

「えっと私は……『レインディア・サモン』っていうスキルみたいです」


 サモンってことは召喚系かな。レインディアってなんだろう。また変なネタ系じゃないといいけど。


「使ってみなよ。どんなのが出てきてもいいからさ」

「もう……何も期待していないじゃん」

「レインディア……」

「え、翼さん分かるんですか?」

「えっと、はい。レインディアは……」

「あーストップストップ! 翼さん、小雛のは使ってからのお楽しみで良くないですか?」

「わ、分かりました……」


 えー、教えてくれない流れ!?

 まぁいっかぁ。当たりスキルでありますように……!


「レインディア・サモン」


 私が手を広げ、さらに前に突き出すと前方の地面の広範囲が光った。

 光が引いていくと、やがてそこには……8頭のトナカイがいた。

 ……トナカイが、いた!

明日の更新はお休みです。

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