表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/80

第六話「元魔王、街に到着す」

 道中、デミリッチ含め二十匹近くの様々な魔物を片付けつつ、二人は五日かけて川の最下流域にある都市に辿(たど)り着いた。


 小高い丘の上から、眼下に広がる大きな街を見下ろして、ガイは大きく伸びをした。


「思った以上にでかい街があったな。やっと野宿から開放される。首も肩ももうバキバキ」


「人の街……」


 アリシアはガイにもらったローブを目深(まぶか)にかぶり直した。


 それをガイがすかさず、すぱんと手ではたいて、アリシアが隠そうとしていた狐耳(きつねみみ)(あら)わにする。


「わー、何するんですか、師匠」


「隠す必要なんてない。堂々としてろ」


「獣人や亜人は被差別民。人の街ではこの方がいいんです」

 と、アリシアは再びローブを目深にかぶる。


 それをまたまたガイがはたいて、

「結局それじゃあ差別を助長するだけだ」


「師匠は強いからそんなことが言えるんです!」

 アリシアはキッとガイを(にら)んで強い口調で言った。


「だったらお前も強くなれ。そして、お前が差別を受けてる獣人や亜人の希望となればいい。お前にはその素質がある。吟遊詩人に英雄と(うた)われるくらいには」


「私が英雄……」


「まぁ、俺には遠く及ばんがな」

 というジョークは、アリシアには見事にスルーされる。


「でも!私を連れてると師匠だって嫌な思いをするかも!」


「だったら街を滅ぼすか。別にいいよな?」

 と、とぼけた調子でガイが軽口を叩くと、


「いいわけないでしょうが!街を滅ぼして皆殺しにした挙げ句、街を地図から消すなんてダメに決まってます!」


「いや、皆殺しとまでは言ってないけど……真に受けるなよ。ジョークに決まってるだろ」


「はぁ……わかってますよ」

 大きなため息を()き出して、アリシアは首を振った。


「師匠の軽口にのっかったのに。全く乗り損です。師匠のユーモアセンスってバッタ並ですか?私がブラックユーモアで重ねていったのに、"皆殺しとまでは言ってないけど"、ってバッタでももっとマシなツッコミしますよ」

 (あき)れ顔でアリシアは言った。


「うっ……」


 ぐうの音も出ないガイに、アリシアはローブをたくし上げ、明るい笑顔で手招きする。


「さぁ、師匠!行きましょう!ぼさっとしてないで!」


(師匠とならどんなことがあったって、私はきっと大丈夫!)

【作者からのお願い】

「面白い」「続きが読みたい」「先が気になる」なんて思われる方がいましたら、下↓にある☆にチェックを入れて頂けると、とても励みになります!よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ