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1−17.ヘクラ山視察準備①

エンドとベルゼは領地下賜への対応について話していたが、途中から我慢ができなくなり、ベットへ向かってしまった。


エンドはアリエル商会でアリスからエルフの聖水を採取するミッションに挑んでいたが、ミッションの達成条件はアリスが絶頂する事でエンドが絶頂を迎えた訳では無い。あんな美少女とイチャイチャしながらも結果、消化不良気味だった事が影響していたのだろう。

そこに同じく超絶美少女のベルゼと2人っきりのシチュエーションである。エンド的には「やむなし」の心境だった。


当然、話し合いは中断したままのため、翌日の朝から再開する事となった。

昨晩は充分に濃く、激しくお楽しみだったので、今度は脱線することが無いはずだ。


「それでは昨日の続きから始めよう。まずは現地の視察に関して決めようか。」

エンドが取り繕った様に真面目な表情と口調で打ち合わせを再開する。それを茶化すと昨夜みたいに、なし崩し的な事が起こりそうなのでベルゼはスルーを決め込む。


「ヘクラ山まで王都から馬車で何日くらい掛かる?」

「旅馴れた者達で10日間程だと聞いています。私達であれば、半月は必要かと・・・。」

エンドは往復だけで一ヶ月も王都を離れることになる事を踏まえ、ベルゼの仕事の都合を確認して8日後を出発日と決めた。


「次に視察に行く者を決めようか?。」

「私、エンド様、ジル、ヴラド、アリス、イリス、クライナー、デン隊長・・・。」

「待って、待って、待って。」

エンドの問いに、ベルゼは宙に顔を思い浮かべながら次々と名前を上げるが、エンドが慌てて止める。


「それは多すぎ!屋敷の大半になっている。もっとこう少数精鋭的な感じで!」

「では私、、、、エンド様、、、、アリスでどうでしょう。」

ベルゼはエンドの顔を伺いながら、少しずつ名前をあげる。


「いいんじゃないか。それにちょっとアテを当たって一人二人程増える感じだと思う。」

「あら、どこかにお知り合いでもできましたか?では、最終的なメンバーの選定はエンド様にお任せします。」

エンドはメンバー選定を受け持つこと了承し、これからの予定を決める。


「早速だけど、午後からアテを当たってみるのでアリスと馬車を借りるよ。」

「いえいえいえ、今回は私が同行します。私もエンド様とデートしたいのです。」

エンドの申し出にベルゼが少し照れた可愛い過ぎる表情で訂正を入れる。エンドはベルゼのこんな表情に弱い。


「このままイチャイチャしちゃう?」

前日の失敗を繰り返すかのようなエンドの申し入れだが、勿論、半分は冗談で言っている。残りの半分については言及しないが・・・。


「では、夕食後、お待ちしています。」

ベルゼの答えで、冗談ではない方の半分が採用された事が判明した。




昼食を取った後、エンドはベルゼと共に馬車に揺られていた。目的地は商業ギルドである。その道中、エンドは商業ギルドでの登録の時の状況を説明した。


エンド達は商業ギルドに到着して建物の中に入ると、先日、出会った狐獣人族のセルバの姿を探した。あいにく彼女を発見することはできなかったが、エンドの受付を担当したマリーを見つける事ができた。


「マリーさん、こんにちは。」

急に声を掛けられたマリーは一瞬、驚いた様な素振りを見せたが、エンドを確認するとすぐに挨拶を返してきた。


「急で申し訳ないのだけど、セルバ部長に取り次いでください。」

マリーはエンドの申し出を聞くとすぐに了承を示したが、その視線がベルゼに止まった。

マリーの視線に気づいたエンドは直ぐにベルゼを紹介する。


「こちらが、ベルゼ・ルージュシュワ公爵様です。」

「初めまして。ベルゼ・ルージュシュワです。本日は急な訪問になってごめんなさい。」

エンドに紹介されたベルゼは、優雅な仕草で自己紹介する。その洗練された動きは実に見事で、マリーは我を忘れたかのようにベルゼに見入っていた。


「マリーさーん。」

エンドが小声でマリーに呼びかけると、やっと再起動できた様で慌ててセルバの執務室に駆けて行った。


それから間もなく、エンドとベルゼはギルドの上の階の応接室に通された。ここは先日、エンドのギルド登録を行った部屋と同じ部屋である。マリーはセルバにこの場に留まるように言われて、大人しく立っている。エンドが声をかけた所為で、この場に巻き込まれてしまったようだ。


「初めてお目に掛かります。商業ギルド土木部長のセルバ・アリダードです。」

狐獣人族のセルバはベルゼに挨拶すると直ぐにエンドに向き直った。


「こんなに早く、またお会いできるとは。」

「え、想定の範囲内なのでは?」

「いえいえ、公爵家の方が頻繁にお出でになる事は少ないですから。」

「その割に公爵家に関わりのある物が訪れるを待たれていた様ですが?」

「お見通しでしたか。参りましたね。」

狐とエンドの化かし合いが始まった。この世界に召喚される前のエンドなら、メタボで腹が出ていたので、狐とタヌキと表現しても良かったかも知れない。


セルバは独自の情報網を持っていた。利に聡い商業ギルドの幹部ともなれば、情報の速さ正確さを求めて誰もが独自の情報網を持っているらしい。土木部長のセルバの情報網は王家や貴族の領地改易や領地開発にまでも伸びており、ベルゼへのヘクラ山一帯の領地下賜の情報も得ていたらしい。この世界でも重要な情報程、情報源に近しいところで漏洩する。ちなみにエンドが勤めていた会社でも重要な案件ほど、取締役会レベルから情報流出していた。


一般的に領地開発に当たっては、商業ギルドに協力要請を出す事が通例であるため、セルバは毎日、ギルドの1階に立ってベルゼ公爵家関係の人物が来るのを待っていたのだ。

エンド達が商業ギルドに行ったのは全くの偶然だが、それで出会ったのだから凄い強運の持ち主だと言える。


「それで、本日のご用件は?」

「ベルゼ・ルージュシュワ公爵の領地視察に御同行願いたい。」

「それは、その後の開発も含めて関われると言う事でしょうか?」

「勿論!じゃないと美味くないでしょ。」

エンドと狐はニヤニヤしながら話を進める。今回の領地下賜に巻き込みたい者と巻き込まれたい者の話し合いなので、どんどん話がすすむ。


「最後に条件面ですが、私、こう見えてなかなかお高いですが。ご用意できますか?」

「狐獣人族の聖水が必要。とか言わないなら大丈夫!飛びっきりの儲け話に加えてあげますよ。」

「なんで聖水が出てくるのか分かりませんが、儲け話。楽しみです。」

セルバとの商談が成立し、彼女がヘクラ山視察に同行する事が決まった。


ちなみに、この部屋に入ってから一言も発していないマリーも何故だか視察に同行することになり、「仕事の予定が・・・」や「彼氏とのデートが・・・」と呟きアワアワしていた。


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