あまいものはおすきでしょその1
さて、「ぼくはねこまたまたぞう」2章です。
あまーいおかしをめしあがれ♡
「またぞう!いるの!?」
きょうのゆうがた、あかりがきゅうにお店に入ってきた。
「わ!」
ゴロンゴロンと、ゆかにまるまってころがるまたぞう。
「あーびっくりしたー。どしたの?」
ゆうはんのしょくりょうをかいにそとへいこうとしていたまたぞうは、ピンクのかいものカゴをもったまま、あかりが入ってきたいきおいでひっくりかえっている。
「どしたの?じゃないよ!いままでどこいってたのよ」
「ちょっとそのへんの山までおしごとにいってたんだよ」
「みせごと?」
「ひつようなときにはね」
「あかりちゃんこそ、なんかようだった?」
「べ、べつに、ようなんてないけど」
「あ、まちがえた。なんかようかい?」
「つまんない」
「えーようかいがいってるのに?」
「ばか!」
「しんぱいしてくれてたんだ」
「……まあ、ね」
「ありがとう」
あかりは、すこしくちをとがらせたまま、うでをくみこたえた。
「かいものいくけど、いっしょする?」
「いくっ」
あかりはまたぞうのお店のきんじょにすむ、16さいのにんげんのこうこうせい。またぞうとあかりの2人はともだちだ。
うみとやまがちかくにあるまちに、ふたりはすんでいる。そこまで田舎というわけではないが、すごくさかえているわけでもない。こじんまりとしたまちである。
またぞうのみせは、いつもはしょうてんがいのはじっこのまちはずれにある。「いつもは」というのは、たまにまたぞうのお店はいどうするからだ。
※くわしくは、『きらきらひかる』の章をよむとわかりやすいぞ。
「きょうはどこいくの?サトさんのとこのやさい?にく?さかな?」
「せいじさんのお店」
「やっぱりもういってるのね」
「まあね」
「せいじさんもみえる人だもんね」
「あ、しってたんだ」
「もちろん」
またぞうはようかいなので、にんげんではみえるモノはすくない。またぞうのことをみえる人がやっているお店じゃないと、かいものができないのだ。
2人がはなしている『せいじさんのお店』は、いぜん、せいじのおばあちゃんがやっていたお店だった。おばあちゃんが亡くなったので、まごのせいじがあとをつぎ、おみせをつづけているのだ。そのおばあちゃんは、ようかいがみえる人だった。まごのせいじも、そののうりょくをついだらしく、ようかいがみえる。またぞうはひきつづきおかいものができることになったので、たすかったのだった。
「こんにちはー」
「またぞうさん!いらっしゃい!あれ?あかりちゃんもいっしょだ!」
「どーもー」
「2人しりあいだったんだ、っていうか、あかりちゃんも!?まさか?」
「そのまさかです。わたしもまたぞうがみえるの。だまっててすいません。なんか、いうタイミングがなくて……」
えへへと、あかりはなんとなくごまかした。
「いや、なんか、うれしいっていうのかなこれ。あはは!またぞうさんは、人のともだちもおおいんだね」
「あはは、おばあちゃん、せいじくんにありがとうって言ってたよ」
「なんで?オレばあちゃんになんかしたっけ?」
「お店をついでくれてうれしかったって」
「そんなことか!オレがやりたくてやってんだからいいのにね」
「うふふ。じゃあかいものしていいかな?」
「いいとも!」
またぞうは、あらじお、おさとう、むえんバター、こむぎこ、ベーキングパウダー、こしょうをかった。
「あ!わすれるところだった。せいじくん、おながいしていたアレとどいているかな?」
「あ!アレね、わすれてた!もってくるよ」
「あれ?」
「うんアレ」
「ごめんごめん、はいよっ」
またぞうがせいじからうけとったのは、バニラエッセンスだった。あかりがきいた。
「これどーするの?」
「おかしつくるの」
またぞうは、りょうりがすごくすきなのだ。
「せーじさん、おかしづくりすごくくわしいんだよ。ボク、おかしにきょうみはあったんだ。いつもりょうりはするけど、きほんはおさけのみだから、おかしはなかなかつくることがなくて。いいきかいだから、レシピおしえてもらったんだ」
「へー」
すると、せいじは小さなつつみをもってきた。
「じつはさ、これ、オレが作ったクッキーなんだ!たべてみてよ」
みると、すごくきれいなクッキーだ。あかりは、ひとつつまんでくちに入れた。
「ん!すごくおいしい!」
「でしょー?オレやっぱ天才だな」
「よっ!ししょう!」
「おぅよ!」
「あはは!」
2人は手をふり、せいじのお店をあとにした。
「せいじくん、ゆくゆくはお店にようがしコーナーを作りたいんだって。ぼくもわかいもんにまけてらんないなー」
「またぞう、222さいだもんね」
「あのねー、ねこまたのせかいでは、200さいくらいなんてまだわかいんだよ?ぼくもまだまだこれからさ!」
「いちばんとしうえのねこまたで、なんさいなの?」
「わかんない。ながいきすぎて、じぶんのとしをわかっていないねこまたにしりあいがいるけど、ねこだったころは、きょうりゅうがいたとかいないとか」
「はぁ?」
「ほんにんがそう、100ねんまえにはなしてたんだけど、さいきんおなじこときいたら『そんなことわすれたわ』だって。だから、きょうりゅうのはなしは、ほんとうかどうかはわからないけど、いろんなはなしをきくかぎり、ぼくのよそうでは、4000ねんくらいはまえだとおもうよ」
「4000ねん!?」
「さんごくしはしっている?ちゅうごくにすんでいた、『しょかつりょうこうめい』っていうすごくあたまの良い人が、そのねこまたとこどものときにいっしょにあそんだっていうはなしは、ねこまたたちのあいだではゆうめいなはなしだからね」
「ごめん、スケールがおおきすぎてついていけないや」
「そのうちなれるよ」
「なれなくていいわい」
さて、「さんごくし」しってる子いるかなぁ?しらない子は、おとうさんやがっこうの先生にきいてみよう!
「しょかつりょうこうめいってしってる!?」って。
すごい人しってるねぇ!っていわれちゃいますよー!