きらきらひかるその1
小学生もひとりでよめるどうわ仕立てのまたぞうのお話です。
ジャッコジャッコジャッコジャッコジャッコジャッコジャッコジャッコ。
何かをあらうようなおとがする。ゆずとはふしぎな音のするほうに歩いていった。
すすんでいくと、ちいさな沢についた。そこはものすごくみどりがキレイで、ツユがついたはっぱや苔にこもれびがあたり、ちいさくキラキラとひかっている。
ゆずとはすこしの間そのけしきにみとれていた。
すると、さっきの音がまたきこえてきた。
ジャッコジャッコジャッコジャッコジャッコジャッコジャッコジャッコジャッコ。
ちかづいてきているのか、だんだん音が大きくなる。大きな木があり、木のねっこにきをつけながらひょいとのぞいた。
するとそこには、すこし大きなケモノがいた。ゆずととおなじくらいのおおきさだろうか。みえるのはうしろすがたのようだ。ねこのような耳がみえる。シロい毛のなかに、クロとオレンジの毛のもようもまざっているようだ。シッポのようなものが2ほんあり、音にあわせてリズミカルにゆれている。なんとなく、たのしそうだ。
それでも、あんなケモノみたことがない。クマでもないし、イノシシでもないし、ブタでも、タヌキでもない。そんなことを思っているところに、そのケモノのあたまに1ぴきのチョウチョがとんできて、ケモノのあたまにとまった。ものすごくキレイなチョウチョだ。ゆずとはかおをしかめ、よくみた。
「オオムラサキだ!」
ものすごくめずらしいチョウチョだ。ゆずとはおもわず、さらにのぞきこんだ。そのとき、ゆずとの足元におちていたえだをふんだらしく、バキッと音がしてしまった。
「しまった!」
ハッとして見あげると、そのケモノにもゆずとの音がきこえたらしく、ジャッコジャッコしていた音がとまった。
そのケモノは、すくっと2ほんのあしでたち、クルッとこっちをみた。
「あ……」
ゆずとは足がふるえてうごけない。そのケモノはこちらをずっとみている。やばい、やばい。なんでこんなことになってしまったんだろう。ゆずとはあたまのなかでグルグルかんがえた。
お読みくださりありがとうございました。まだまだ続きます。