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03話 NUL

このストーリーの根幹にかかわる部分なので少々長くなってしまいました。

「『あっ』ってなんだ!『あっ』って!」


 俺は思わず大声で言った。

 ちょっと博士(笑)がびっくりした様子だった。

 まあ今まで忘れてた俺が言うのもなんだが、衣食住って言うくらい人間が生きる上で必要な衣服がないのはまずいと思う。


「じゃあこっちに来てくれ」


 俺は博士(笑)の後ろをついて行った。

 歩きながら辺りを見渡してみたけど、未来って感じは全く感じないな。

 どちらかというと、なんか古い地下鉄の駅とかにそっくりだなって感じがした。

 ただ、建物の古い感じとは裏腹に床に、散乱しているよくわからない機械を見ると、やっぱり未来だなって感じがする。


 まあ、研究所ってわけのわからないような機械がよくあるし、もしかしたら外は意外と俺が知ってるのとあまり変わらない感じなのかな?

 まあまだわかんないけど。


「っとここが一応更衣室だよ。ちょっと今服を取ってくるから待ってて」


 と言って博士(笑)は服を取りに行った。

 言ってくれれば自分で取りに行ったんだけど。

 まあ迷子にでもなったら困るからね。


 それで待ってると、廊下の曲がり角からあの博士が来る前に自在ほうきで掃除をしようとしてた変わった服を着たポニーテールの少女がこっちを物珍しそうに見ていた。

 俺は反射的に股を手で隠した。

 そりゃ女の体になったとはいえ股間みられるのは嫌だからね仕方ないね。

 そしたら俺が気づいてないと思ってたのかびっくりした様子でどっかに行った。

 何だったんだろうな。

 まあいいや。


 って思ってたら博士(笑)が戻ってきた。


「はい、これを着て」


 そう言って服とか入ってると思われる箱を持ってきた。

 俺は受け取ると更衣室のドアを開けて中に入った。


 中に入ってみた第一印象は、最近使われてないのか部屋が汚れていてた。

 そして壁際に段ボールとかが山のように置いてあった。

 まあ一応って言ってたから多分汚いのを知ってたのかな?

 まあとりあえず今は服を着よう。

 風邪ひいたら困るし。


 と、思いながらまず、どんな服なのか見るために渡された箱を開いてみた。


 ・・・

 服は灰色の半袖のTシャツでズボンは短いジーパンだな。


 半ズボン、

 それも、ジーンズの半ズボンなんて今まではいたことないな。

 まあ男だし当然だな。

 女性も履いてるかわからないけど。

 これを着るのは恥ずかしいけど、真っ裸に比べれば100億倍ましだから着よう。


 とりあえず着てみたけどなんか変な感じがする…

 何だろうこれが女の服なのか?

 普段そもそも半ズボンを履かないからそれもあるんだろうけど。

 半ズボン嫌いだからね。

 暑いけど。


 なんて考えながら服を着た。

 それで改めて部屋を見渡してみた。

 すると部屋の隅の方に、布で覆われた大きな鏡があるのに気づいた。

 そう言えば、自分の股を見たり声を聞いたりして女の体になったのはわかったけど、まだ全身をしっかり見てないのを思い出した。

 それで近づいて布を取って自分を見てみた。


 見た感じ身長が小さいから、小学校高学年か中学生くらいの女の子って感じかな?

 制服を着ていたら顔と身長が相まって本当に中学生に見えそうだな。

 なんかロリコンとかに狙われそうな感じだな…

 まあロリコンはもう少し小さい子が好みだっけ?

 知らんけど。

 服のサイズは俺の意識のない時に測ったのかサイズがぴったりって感じだな。

 こんな服は今まで着たことないから恥ずかしいけど。

 とりあえず着替え終わったから出るか。


 と思いながら布を戻し、更衣室を出たら博士(笑)が更衣室のドアの前で立っていた。


「おっ服のサイズは問題ないみたいだね」


「恥ずかしいけどな」


「ハハッまあいつかなれるさ。じゃあキミの体の説明をするからこっちに来てくれ」


 といってまたどっかに行くみたいだ。

 というわけで俺は博士(笑)の後ろをついて行った。


 っと案外すぐ着いた。


「じゃあここに入ってくれ」


 と博士(笑)は言ってドアを開けて入っていった。

 俺もついて行くとまるで学校の保健室みたいな部屋だった。

 まずベッドが2台並んでいて、その近くに薬品みたいのがたくさん入った棚があり、その前に机があった。

 まあ片方のベッドはなんか本とか雑多な物が置いてあって使えそうになさそうだけど。


「椅子が1脚しかないからとりあえず適当にそこのベッドに座ってくれ」


「ま、まさか俺と性行為(ピー)するつもりなのか!?」


 まあ見た感じそんなことしようとしてるわけじゃないってわかるんだけどね。


「そんなわけないでしょう。こんな老人がそんなことするわけがないじゃないか」


 でしょうね。


「では今からキミの体について説明するね。まあとりあえず最低限知らないといけないことを説明するだけだからすぐ終わると思うよ」


 まあ、機械だし正しい使い方をしなかったら壊れるかもしれないからな。


「じゃあまずその体は機械で出来てるから充電が必要なんだ。それで充電する所は背中についてるんだ」


「なんでわざわざそんなての届きづらいところなんかに…」


「さぁ。まあ充電しづらいって発売してからわかったのかすぐに背中からへそにかわったんだけどね。あっそれでこれがその充電するためのケーブルだよ」


「結構ごついな」


 博士が取り出したケーブルは明らかに太く、500mlのペットボトルよりも一回り太かった。

 物によって少し違うんだけど。

 てかよくこんな太いのが曲がるな。

 ゴムっぽいけどゴムじゃないのか?


「まあ検査用のケーブルと兼用だらね。まあ今はとりあえず充電する練習のためにとりあえず繋いでみてごらん」


 と言って博士は俺にそのケーブルを差しだした。

 俺はそれを取ると自分でやってみようとした。

 だけど刺さらない。

 それを見た博士は


「最初の内は仕方ないね。じゃあどんな感覚かわかってもらうために私が挿してみるよ」


 そう言って俺がどうやっても刺さらなかったケーブルをいとも簡単に挿した。


「しっかりささったね。どう?」


「なんか違和感というかなんというか…」


 注射みたいに痛いってわけじゃないけどなんかあるっていうかんじがする。

 例えるなら砂が靴に入ったみたいな。


「まあ最初はそういう反応だよね。じゃあ最低限知っておくべきことは言ったし他の機能は時間があったら教えるね」


 というわけで適当に説明が終わった。

 まあ充電のやり方くらいだけどね。


 っと丁度終わったタイミングでだれか入ってきた。


「博士、培養室の掃除が終わりました」


 誰かと思ったら、あの変わった服を着たポニーテールの少女か。

 それにしても変わったのを着てるな。

 なんていうんだろう、ラバースーツって言うのかな?

 なんか欧米のスーパーヒーローとか○○マンって付くキャラクターが着てるのみたいだな。

 なんか黒ってイメージがあるけど、この少女が着ているのは赤いのを着ている。


「ありがとう。とりあえず今やることは無いから適当に自由にしてて」


 そんなことを博士が言ってるとその少女がこっちに気づいたみたいだ。


「あっあの古代人」


「ちょ、古代人って言うな」


 古代人って言われてちょっとむっとした。

 それから少女はすぐ質問してきた。


「ところで名前は何て言うのですか?」


「そういえば名前を聞いてなかったね」


 確かに博士は名乗って来たけどこっちは自分の名前言ってなかったな。

 それで自分の名前を言おうとすると博士がいきなり


「じゃあ私から順番に自己紹介するとしようか。まず私の名前はアレクサンダー・フォークト。まあ、博士とでも呼んでくれ。私はここでいろんな研究をしているよ。君を蘇らせたのも私の研究の一つだよ。ちなみに好きな食べ物はボックヴルスト(ソーセージの一種)だよ」


 博士はまあ聞いたことあることしか言わなかった。

 正直好きな食べ物とかどうでもいいし。


「では次は私がしますか。私の名前はアリア・テイラーです。私は博士の助手をしてます。これからよろしく。あ、好きな飲み物は紅茶です」


 好きな物を言うのはテンプレなのか?

 ていうか助手か。

 なんか博士の孫かそんなかと思ったけどちがうのか。

 って次は俺か


「俺の名前は髙橋(たかはし) 祐樹(ゆうき)。平成生まれの日本人だ。まだわからないことだらけだけどよろしく」


 まあ特に言うことが無いからとりあえず適当に名前とか言った。


祐樹ゆうき君って名前なのか。よろしく。」


 と博士は言いながら手を差し出してきた。

 俺はその手を握り握手をした。


「所でこれからどうすればいいのか?」


「それは君が決めるんだよ」


「あ、もう自由にしていい感じなのか?」


 俺は最初の方に自由にしていいって言われてたのは覚えてたが予想より早いのか聞いてみた。


「そういうことだね。別に旅に出てもいいし何もしない以外だったらいいよ」


「と、言われてもね…」


 そりゃいきなり自由にしていいって言われても、なんもやることないからどうしたらいいのか。

 とっさには思いつかない。

 仕事も本もスマホも何もないし。


「まあ、時間だけはたくさんあるから急ぐ必要はないよ。まあ考えてる間は研究を手伝ってくれたらうれしいね。」


「じゃあ決まるまではそうするか」


 という感じで少しの間手伝うことになった。






==============================================






 それで手伝うことになったんだけど、今は俺が動いたからその結果を書くためにジャンプしたり廊下を軽く走ったりしてる。

 別に動くのは嫌いではないからいいんだけど、こんなこと調べて何になるんだ?


 まあわからないけどとりあえず言われたからやっている。

 あ、とりあえず体動かして分かったのはなんとなくだけど、元の体より軽くなったような気がする。

 まあさっき俺の興味本位で体重計に乗ったら、針が一周したし本当に軽くなったわけじゃないんだけど。


 それでいくつか計った後、


「っとまずはこれくらいでいいか。じゃあ一旦今のデータをまとめてくるからその間やすんでていいよ。あっアリア君もフリーだから雑談しに行ってみたらどうだ?」


 と、博士が言ったのでとりあえず俺はアリアさんが居る所に行こうか。

 ってどこにいるんだ?

 まあ適当に探し回ってたら見つかるか。

 というわけであの変わった服を着たポニーテールの少女ことアリアさんの所に行った。


 それで部屋を見て回ったら案外すぐ見つかった。

 どこにいたのかというと、あの保健室のような部屋の右隣の部屋にいた。

 入ってみると本棚がありまるで小さい図書館のようなところであった。

 それで俺が入ったのに気づいたのかアリアさんが話しかけてきた。


「あれ?なんでここに」


「博士が『アリア君もやることなくてフリーにしてるから雑談しに行ってみたらどうだ?』って言ってたから来たんだけど…まずかったかな?」


「まあ、別にいいけど」


 とりあえず俺はどんな本があるのか気になったので見てみた。

 本棚あるのは辞典から料理本やらカタログやら小説やら漫画やら雑誌やら薄い本までたくさんあった。

 時代もばらばらで、まるで中古屋のよくわからない機械がたくさん入ってる(青箱)みたいだった。


「なんでこんなにとりとめのないというか、ジャンルがバラバラなのがたくさんあるんだ?」


「調査の時に拾ってきた物ばかりだから」


 調査?

 なんだそれ。

 まあそんなことは置いといて、ひとつ気になったことがあったので聞いてみた。


「所でそんな分厚い本を読んでるけど本を読むのが好きなのか?」


「まあまあ。キミもなんか読んだら?」


 まあ見たことない本がたくさんあるし、面白そうな本見つけて読んでみようかな。

 ん~どれにしようか。


 そう思い適当に本棚を眺めていたら見覚えのあるタイトルの本を見つけた。


 あっこれもあるのか。

 確かこれはアニメにもなったそこそこ有名な小説だな。

 確か元はweb小説なんだよな。

 俺はそっちはほぼ全部読んだけどこっちは読んだことなかったな。


「これもか。webの方しか読んだこと無いから読んでみたかったんだよね」


「古代の本なんだ」


「おい、古代の本って言うなよ」


 よく考えてみると俺にとってはまだ数年前に出来た小説だけどアリアさんにとっては古代なんだよな…

 なんか複雑な気分だなぁ。


 まあとりあえず見つけたんだし読むとするか。






==============================================






 というわけでしばらく本を読んでいると博士が来た。


「やっぱりいつもの所にいたか」


 いつもの所ってことはいつも本を読んでるのか。


「もう時間もいいしとりあえず晩ごはんにするよ」


 え?

 研究所で食べるのか?

 俺、研究所ってどんなところか全然わからないんだけどそういう物なのか?

 と、俺が驚いてると、いつものことなのかアリアさんが、


「わかりました」


 と言って本を閉じ立ち上がった。

 それから博士が俺に


「じゃあ祐樹(ゆうき)君も行くよ」


「えっ俺も?」


 俺はてっきり機械になったんだからいらないと思ってたのでびっくりした。


「だって君『サイボーグ』でしょ。いくら体が機械になったからって脳は生身なんだから食べなきゃ死ぬよ。生身に比べて食べなくても動ける時間は長いけど」


 確かにサイボーグって体の一部を機械にした物であって、脳も含めて全部機械だったらそれは俺じゃなく俺を真似たロボットだな。


「じゃあ作るの手伝って」


 というわけで俺とアリアさんは博士の後ろを付いて行った。


 ついて行くと小さな部屋に付いた。

 部屋は小さいダイニングキッチンのような部屋で、ダイニングの方の壁の近くにはいろんなものが積み上げられていた。

 それから博士はキッチンの棚からから直径20cmくらいの大きなパンを取り出した。

 そのパンはメロンパンみたいに円形をしていて、色は真っ黒で表面が所々白くなっている。

 そしたら博士が


「じゃあハムを取ってくれないか?」


 というわけで俺は適当に冷蔵庫のような物を開けてみた。

 予想通り冷蔵庫だったようで中にハムがいくつか入っていた。

 それを冷蔵庫から取り出して渡したら。


「それはハムじゃなくソーセージじゃないか。まあソーセージでも別に構わないけど」


 と言われた。


 えぇ…

 俺にはどう見てもハムに見えるんだが…

 サイズもかなり大きいし…


 なんて考えてたら博士は包丁でその巨大ソーセージを薄く切っていた。

 って薄く切ったらますますハムに見えるじゃねえか。






==============================================






 と、まあ、なんか初めて見る物でちょっと驚いたが、案外ザ・SFって感じの料理じゃなくヨーロッパに行けばありそうな感じの料理が出来た。

 その出来た料理は最初に博士が取り出したパンを切りそれに過熱しないままバターを塗り、上に薄く切った巨大ソーセージを載せた物である。

 なんて料理かはわからん。

 あとそれに加えてアリアさんがどっからともなく取り出した紅茶が今日の晩ごはんだ。


 作り終わった後はそれを持って同じ部屋にある机に持って食べる準備が終わりだ。


 そして食べようとしたらふと疑問に思った。


 そういえば俺味覚あるのか?

 確か既に平成の頃にもう味の成分を調べる機械があったし大丈夫か?


 でもあれって確かプリンターを縦に2つ重ねたくらい大きかったはずだったよな…

 舌ってたくさん感じる所があるよな?

 そんなに小さくできてるのか?


 まあ考えていてもわからないし実際に食べてみるか。


 というわけで俺はおそるおそるパンにかじりついてみた。


 そしてパンを食べると強い酸味がした。


 俺は味覚があるのに安堵したのと同時に酸味が強くて驚いた。

 そんな俺に気づいたのか博士が


「ん?酸っぱかったかな?まあ大昔からある伝統料理だからね。すぐ慣れると思うよ」


 まあレモンとかに比べたら酸っぱくないけどなんだか白米が恋しくなりそうだなぁ。

 まだ今は初めてだから単純に外国の料理を食べてるってかんじの気持ちだけど。


 それで食べ続けてたらさっき気になったことをおもいだした。

 食べてる最中だしとりあえず聞いてみよう。


「あの博士。俺研究所ってどんなところか全然知らないんだけど研究所で飯を作ったりするのか?」


 と聞くと博士は苦笑いしながら


「まあここは研究所って言ってるけど本当は私の家だからね。元は私が適当に興味を持ったことを調べてただけの施設だし。私も本格的な研究所については知らないけど自分の家なんだから食べるのなんて当たり前さ」


 え、ここって博士の家なのかよ。

 ってことは博士はやっぱり博士(笑)じゃねえか。

 って待てよ。

 博士がここで食べるのはなんとなく理解できた。

 でもアリアさんはなんで家に帰って食べないんだ?

 というわけで今度はアリアさんに聞いてみた。


「じゃあなんでアリアさんは家に帰って食べないんだ?」


 そうするとアリアさんが間髪入れずに


「それは私が居候(いそうろう)だから」


 お、おう。

 居候(いそうろう)か。

 てか未来にも居候(いそうろう)っているんだ。

 まあ予想外の答えだったから少しびっくりした。

 そしたらいきなり博士が笑い出して


「ははっ居候(いそうろう)ってそんな堅苦しい方しなくてもいいじゃないか。この時代じゃよくあることだし」


 よくあることなのか。

 まあそれいったら俺も居候(いそうろう)ってことなんだろうな。


 とまあ少々雑談しながら食べた。

 主に俺が昔見たり聞いたりしたのを話した。


 その後片づけをした後もう寝ることになった。

 少し早い気がするけど博士によると「早く寝たほうが体調が良くなる」って言ってた。

 本当かわからないけど博士は結構年寄りだし単純に体力が無いんだろう。


 そして準備をしようとしたら博士がいきなり。


「あっそういえば祐樹(ゆうき)君が寝る場所が無いね」


 まあ今日初めて寝るからな。

 っとちょっと気になったことがあったので聞いてみた。


「所で2人はどこで寝てるんだ?」


「それはまず、私が普通にベッドで寝て、アリア君は最近そこのゾーファで寝るよ」


 ゾーファ?ソファーの事か?

 てかそんな物あったっけ?

 そう思い辺りを見渡してみると丁度俺の後ろにあった。

 見つからなかったのはソファーは俺の丁度真後ろだったからなんだろうな。


 てか保健室みたいな部屋に二つベッドがあったじゃんか。

 片方本とかあって寝れなそうだけどあれを片付けたら使えるだろ。

 なんでそれを使わないんだ?


 と、思い博士に聞いてみた。


「う~ん。あのベッドは一本足が折れてるんだ。だから直すまであれは使えないんだ」


 まあ壊れてるのは仕方ないな。


 とまあ俺が寝る場所が無いって言ってるけど、別にベッドのとか布団とかじゃなくてもいいよね。

 なぜなら最悪何もなくても暗かったら寝れるからだ。


「別に大丈夫だと思うよ」


「え?どこで寝るつもりなのか?」


 そういうと俺は真下を指さしながら


「ここ」


 といった。すると


「ここってこの椅子のことか?別に構わないけど寝にくいと思うよ」


「違うよ。ここの床で寝るんだよ」


 俺は冗談半分っぽく言った。まあ本気だけど。


「床?床ってこのコンクリートの床にか?体痛くなるんじゃない?」


「それなら大丈夫。だって俺フローリングの上で寝たことあるし平気だよ」


 そう俺はかつて引っ越した時に布団を買うのを忘れたことがあって、

 その時もう店が閉まっていてフローリングの上で寝たことがあったのだ。

 まあ今回は木でなく石であるため難易度が高いと思うけど大丈夫だと思う。

 もう二度とこんな事やりたくないと思ってたけどね。


「君がそういうなら、別に私は構わないけど…ここで寝るんだったらアリア君に聞いてみないとね。で、どうなんだアリア君」


 そう博士が聞くとアリアさんが


「まあ別にいいけど」


 と言った。

 俺はアリアさんがどこにいるのかわからなかったから、いきなり真後ろから声が聞こえてきてびっくりした。

 それで後ろを見るとアリアさんがソファーの座面を伸ばして寝る準備をしていた。

 てかこれソファーベッドみたいな構造なのな。


「じゃあ、後は自分たちで寝る準備をしてね。じゃあ私は寝るよ」


 そういった後博士は部屋を出て行った。

 まあそのまま床に寝っ転がるだけだから特に寝る準備なんてないけどね。

 あっせめて毛布くらいは使おうっと、


 と、思い俺はあの保健室みたいな部屋に取りに行った。






==============================================






 というわけでアリアさんも準備終わったし、電気を消すためにドアの横のスイッチの所まできた。


 まあ訳の分からないことだらけだけど、男として女の子には優しくしないといけないからね。

 まあ見た目はか弱い少女って感じだけど。


 電気のスイッチは見た感じ、平成の時代にも新しい家ならありそうなバリアフリー対応って、感じのスイッチだった。

 スイッチを押すと窓が無いから部屋は真っ暗になり光源は廊下の電気だけであった。


 ていうか廊下の電気は消さないんだね。

 まあ完全に消えたら窓無いし真っ暗になるからしかたないんだろうけど。

 それで消してとりあえずアリアさんのとなりでとりあえず横になった。


 横になると当たり前だけどちょっと離れてるけど、となりだからアリアさんが見えた。

 本を読んでる時はあまり見てなかったけど、こうやってジーっと見るとアリアさんは本当に変わった見た目をしてるな。

 髪型は平成とか元年だけど令和とかにもいそうなポニーテール。

 だけど色は染めたのか赤っぽい色をしている。

 まあただの赤というよりかは紅赤とでも言うべきような色だな。

 目はカラコンをつけてるのか髪と同じ色をしている。

 そして服は目とか髪の事なんかささいな事に思えるくらい変わってるな。

 その服って言っていいかわからないけどそれはラバースーツって言う奴みたいだ。

 未来ではこれが流行ってるのか?

 あっでも博士は普通の服と白衣だったしそんなわけではないのかな?

 なんて考えていたらアリアさんが


「何?顔になんか付いてた?」


「いや、別に何も…」


「そう」


 そう言ってアリアさんは反対側を向いた。

 ちょっとジーっと見すぎたか。

 変な格好をしてるから見てしまったけど俺は男だしな。

 逆にこんなに見てたらひっぱたかれても仕方ないんじゃないか?

 まあじゃあとりあえず今後の事を考えるか。

 ん~どうしよう。

 別にここにいてもいいと思うけど…

 ただ居候(いそうろう)って状態はちょっと居心地が悪いな。

 特に理由はないけど。

 じゃあ博士が冒険に行っても構わないって言ってたしどっかに旅にでも行くか。

 とりあえず現状を把握するためにもね。

 それにしてもあまり暮らしにくいって感じはしないな。

 むしろ俺の時代の方が大変な気がする。

 まあまだこの世界の暗い面を見てないだけって感じもするけど。

 じゃあ今日はゆっくり寝るか。






==============================================






「おーい、朝だよ。起きて」


 ん?もう朝か。それで起きると博士が横で俺の体をゆすってた。それで博士の手をどけて起き上がった。


「本当に床に寝たんだね」


 博士は本当に寝ると思わなかったのか苦笑いしてた。


「そりゃ床で寝るって言ったし前にやったことあるから出来るんだよ。あと元々うちの布団、比較的硬いからね」


 まあ前にやったのは俺のミスが原因だったけど。あっそういえば昨日どうするか考えたんだった。じゃあそれを博士に言わないとな。


「あっ博士」


「ん?どうしたんだい?」


「俺昨日寝る前にこれからどうしようかと考えました」


 博士はちょっと驚いたような顔をした。


「どんなこと考えたんだい?」


「これから博士があのSFで何かを培養してそうな巨大な円柱形の容器のある部屋で言ってたように冒険に出ようと思うんだ」


 それを聞くと博士は微笑んで


「そうかそうか。自分で何したいか決めることはいいことだよ。でも今は朝食を食べてからじゃないとね。だってこのまま行ったらどっかで倒れるかもしれないしね」


 確かに朝だから朝ごはん食べないとね。それには俺も同意だな。それから博士は俺の反応を見た後


「じゃあ朝ごはん作るのに、まずはアリア君を起こさないとね」


 俺はそれを聞きアリアさんが寝てたところを見るとまだ寝ていた。


「とりあえず私は作る準備をするからキミはアリア君を起こしてくれ」


 というわけで起こすことになったけど…どうやって起こそうか…

 と、思いながら俺はあたりを見渡してみた。

 すると埃を被った電子ピアノが物の山の中にあるのに気付いた。


 あっそうだ!

 電子ピアノででかい音を出して起こしてみようか!

 じゃあまずは動かすためにコンセントに挿さないとな。

 まあここにあるってことはコンセントの規格があってるはずだから大丈夫なはずだな。

 というわけで俺は博士の所に行って


「あの、博士。コンセントってここにある?」


「コンセント?そんなもので何すんだい?」


「せっかくならピアノでジャーンってやって起こそうと思ったんだけど…」


 そういうと博士はなんか呆れた感じで


「まあいいけど壊さないでね?」


 と言いながらアリアさんが寝てるところの近くの壁を指をさした。

 俺はその後すぐにアリアさんの近くでピアノを鳴らせるようにつなげた。

 てかここのコンセントってタイプCなのな。

 音量Maxして鳴らす準備ができた後、

 適当に鍵盤を押さえていっきに鳴らした。

 そしたらアリアさんが跳び起きて、


「ちょ、やめて」


 と言って首をつかんできた。それからすぐに


「何なのそれ、凄くうるさかったけど」


「見てわかる通りピアノを鳴らしただけど…」


「それくらいわかる。なんでそんなことやった」


「なんとなくやっただけ」


 そういうとアリアさんは強く首を絞め苦しくなってきた。そしたら丁度博士が気づいたらしく


「おいおい喧嘩はよしてくれ。とりあえず朝ごはんの準備を2人とも手伝ってくれ」


 そうしたらアリアさんが首を絞めるのをやめた。

 結構くるしかったな…

 もうこんなことはやめよう…


 というわけで俺は料理の手伝いをするためにアリアさんと一緒にキッチンに行った。


 それでキッチンに行ったらもう器になんかフルーツグラノーラのような何かが入ってた。


「じゃあ後はこの切ったフルーツを載せてヨーグルトをかけたら終わりだね」


 それで俺がフルーツを載せてアリアさんがヨーグルトをかけた。


 というわけでグラノーラにフルーツを載せてヨーグルトをかけたようなものが出来た。


 それで作ったものを持って同じ部屋にある机に持っていった。






==============================================






 それから食べ終わりこれから冒険に行くための準備をしようかな。


「あの、博士。これから冒険に行く準備をしたいんだけどいいか?」


「あぁ。構わないよ。必要な物があったら言ってくれ」


 そう笑顔で博士が言った。

 俺はホッと胸をなでおろした。

 すると近くで本を読んでたアリアさんがいきなり


「冒険に行くんだったらついて行きたい」


 と言ってきた。

 話に参加してなかった人が予想外の事を言ってびっくりした。

 それから博士は


「まあ、私は構わないよ。最悪助手がいなくてもなんとかなる研究だからね。でも一応祐樹(ゆうき)君にも聞かないとね」


 というとアリアさんが今度はこっちを見て


「いい?」


 と聞いてきた。


「ま、まあ別に構わないけど…」


「じゃあ必要な物があったら言ってくれ」






==============================================






 というわけで俺は冒険に必要そうなものを博士からもらった肩掛けの小さなバッグに入れた。

 それでもう他に入れるの物もないし行こうと思ったら。


「あっそういえばまだキミに言ってない機能で冒険に便利な機能があるから教えとくね」


 冒険に便利な機能?

 地図とか?

 まあ正直地図は紙の奴の方が好きだけど。


「じゃあ腕時計を付ける位置を人差し指で押して」


 それでグニッと押してみると、いきなり数字の書かれたザ・SFって感じのホログラムが腕と垂直に出てきた。

 俺はそれにびっくりしてると、


「おっと一気に出てくるからびっくりしたみたいだね。

 それでそこに数字が書いてあるんだけど、それを押すと電話をかけることができるよ」


 ってこれ電話なのか。

 びっくりしてなんだかわからなかったけど確かにこの配列は電話だな。


「あと電話に出る時はこめかみを押すとできるよ。じゃあ今から試しにそっちにかけてみるね」


 そう言って博士は白衣のポケットからトランシーバーのような物を取り出した。

それから博士が何かをいじると、いきなり黒電話のジリリリリリリって音が聞こえ始めた。

 それでさっき説明されたようにこめかみを押すと、


「あっしっかり操作で来たね。ちなみに急いでるときは話したい相手を思い浮かべながらこめかみを押すと電話かけれるよ」


 と、博士の声が頭の中に直接聞こえてきた。


「っておい、最初からそっちで教えてくれよ」


 って俺は思わず言ってしまった。


「はっはっは、最初は自分で入力しないといけないし、こっちは間違うことも多いからね。じゃあこれで説明は終わりだよ」


 と博士は言った。


 それで冒険に行こうと思ってたらそういえば冒険にこんなに髪の毛長かったら邪魔な気がしてきた。

 ハサミで切るわけにもいかないよなぁ…だって俺みたいな見た目を気にしてない男なら適当にバサッて切ればいいけど、

 女の髪型ってわからないし俺が切ると絶対オカッパになってダサくなるよな…

 って考えながらなんとなく解決策が無いかと辺りを見渡してみた。

 そういえばアリアさんってポニーテールだよな…

 あっそうだ。髪の毛が邪魔だったら縛ればいいのか。

 まあ実際邪魔じゃなくなるかはわからんけどとりあえずこのままだと通気性が悪そうだしやってみるか。

 じゃあまずは縛る物が必要だな。


「あの博士。髪を縛れる紐とかゴムとか無いのか?」


「ん?そんなものは持ってないんだよね。まあとりあえず適当に使えそうな物を持ってくるね」


 というわけで少し待ってたら博士が縛れるものを数個ずつ持ってきた。

 ん~。結束バンドと輪ゴムとよくわからない水色の紐か。

 結束バンドは取り外しが難しいしダサいよな。普通に考えてないわな。

 あと輪ゴムは取り外しは一番簡単だと思うけど見た目が悪い。

 というわけで消去法で紐しかないのか。

 まあただのタコ糸とかと違ってしっかりなんかハンドメイドだかアルティメットだか言う奴に使いそうな薄っぺらい紐だから一番まともだな。

 アリアさんの付けてるまともな髪を縛る奴と比べたら変だけど。


 じゃあ縛ってみるか。

 っとこんな感じか?

 あんまり邪魔じゃないって感じはしないが首の周りというかなんというかそこら辺のすっきりしたって感じがするな。

 気のせいかもしれないがね。

 そして近くにあった鏡を覗いてみた。

 ん~まあスッキリした感じだけど、

 なんかこれじゃない感というか、好みの問題というか、ポニーテールはあんまり似合わない気がするな。

 それじゃあもう一本あるしツインテールにしてみるか。

 というわけでツインテールに変えてみた。

 うん。こっちの方が似合ってるな。

 なんとなくだけど。


 というわけで準備が終わったし、冒険に行くために研究所の玄関まで来てドアを開けた。

 するとそこは研究所と似て、少し古めの地下鉄みたいに壁はコンクリートがむき出しで、天井の近くにはいろんな配管があった。


「じゃあ行ってらっしゃい。」


俺は博士に手を振って


「行ってきます!」


 と言いアリアさんは


「しばらくお世話になりました」


 といった。

 それで行こうとしたら、博士が何かを思い出したのか


「あっアリア君の料理には気を付けてね」


 といった。

 アリアさんの料理?まあとりあえず覚えておこうっと。


 というわけで俺はアリアさんと一緒に冒険に出た。

2つ分ける?…

あ…

2021/06/20 起こす時のピアノを一部変更。

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