に の すべて
『に の せりふ』と『に の のり』を合わせた話です。
ついに皆と来ちゃった。
「で、どっから撮る?」
あれ? ヤキューブくん決めてなかったの?
「ヤキューブ、決めてなかったの?」
ケミカルちゃんも突っ込んでる。
「撮りたいところが……多すぎるんだ……」
決めておいてよ……ヤキューブくん……。
「それなら最初は中央にあるドリームキャッスル行って、次はメリーゴーラウンド。それから反時計回りに行けばいい。そうすればアクアツアーが最後に見れる」
ブチョウさんがそう言うとヤキューブくんは。
「よし! 早速ブチョウのゆーとーりにして撮りに行こう」
「そうね! さっさと撮ってアクアツアーのUMAに会いに行かなくちゃ」
ヤキューブくんもケミカルちゃんも二人とも張り切ってる。出来れば皆今すぐ帰ってほしい。
でも私は何も言えないし、皆を止めることも出来ない。
私は逆らえない。
◇◇◇◇◇
「デカいな」
「デカいね」
「大きいな」
うん、大きい。
私たちはドリームキャッスルの前にいた。
この城はいつ見ても威圧感がある。私にとってとても嫌なところだ。
「とりあえず中に入るか」
「そうですね、ブチョウ」
私としては引き返してほしいな。
「ところで、ドリームキャッスルでどんなの撮るの」
「ケミカル、ここの噂ぐらい調べておけよ」
「え、やだ。UMA以外興味ない」
ケミカルちゃんはアクアツアーのアレがいなかったら来なかったのかな。
「だろうな、知ってた。まぁいいや、ドリームキャッスルの地下には拷問部屋があったらしい」
「なんでそんなものが」
ほんと、なんで拷問部屋なんて作ったんだろう。
「あくまで噂。実際そんなものは多分ない」
「いや、絶対無いでしょ。それ」
無かったら良かったのにな。
「絶対無いとは言い切れない。もしあったら拷問部屋の怨念が映るかもしれない。それを撮る」
◇◇◇◇◇
「馬だ」
「馬車だ」
「メリーゴーラウンドだ」
うん、メリーゴーラウンド。
ヤキューブくん、馬って……いるけども。
ケミカルちゃん、馬車って……あるけども。
ブチョウさん、メリーゴーラウンドって……見れば分かるよ。
「ここはメリーゴーラウンドが勝手に動くらしい。なにか映るかもしれない」
ヤキューブくん、期待してるようだけど動かないし何も映らないよ。ごめん。
◇◇◇◇◇
「鏡の家」
「鏡だらけの家」
「ミラーハウス」
特に何もないなら無理して感想言わなければいいのに。
「ミラーハウスは入って出てきたら別人みたいに人が変わるだけだから、ここはスルー」
スルーするんだ。いや、いいんだけど。どうせならこの遊園地をスルーしてほしかった。
◇◇◇◇◇
「ループ最高」
「コークスクリュー最高」
「絶叫マシン滅べ」
ブチョウさん、絶叫マシン苦手なんですか?
「もしかしてブチョウ、絶叫系苦手ですか?」
「苦手じゃない、大っ嫌いだ」
大っ嫌いなんですか。
「それでヤキューブ、ここはなに撮るの」
「このジェットコースターは事故があったらしい。ただ誰に聞いても事故の内容が違うんだ」
私もジェットコースターで起きた事故の記憶が曖昧なのは何でだろう?
「へぇー、それで?」
「事故があったならカメラに怨念が映るかもしれない」
◇◇◇◇◇
「観覧車と言えば丸い」
「観覧車と言えば丸い」
「観覧車と言えば丸い」
観覧車と言えば丸いしかないの? ネタ切れなの?
「で、ここはなに撮るの」
「観覧車の近くを通ると『出して』って声がするらしい」
それ、私の声。
「それでどこを撮るんだ?」
「? 観覧車ですよ。ブチョウ」
「いや、『観覧車から声が』じゃなくて『観覧車の近くから声が』するんだから、観覧車かその周辺かのどっちかを撮るんじゃないのか?」
ブチョウさん、『観覧車から声が』で合ってるんですよ。
「あー、そうですね。それじゃ両方撮ります」
ヤキューブくんなら両方撮るよね。何も映らないハズだけど。
◇◇◇◇◇
「ついに『にわかオカルトふぁんの会』はアクアツアーへやって来た」
「アクアツアーに潜むUMAとは!」
「気になる正体はCMの後」
わー、きになるー。はやくCMあけないかなー。
「それでケミカル。UMAにどーやって会うんだ?」
「とりあえず目撃された場所を回ってく」
「ここって結構広いよな」
「広いと言うことはそれだけUMAがいると言うこと」
そうなのかなぁ。
◇~~~◇
ホントだ。アレがいる。
無理だからやめてほしいな。
◇◇◇◇◇
ヤキューブくんたちが捕まった。




