第3話 一欠片
昨日よりは清々しい朝だと思う。母さんに叩き起されるのを除いて。
「和也、起きなさい!そろそろ遅刻するわよ!」
「ん?まだ大丈夫だろ?」
「一度言ってみたかっただけよ、さぁ、起きなさい!」
なんか、テキトーな起こし方だなとかは思う。でもこれが本来の生活なのだ。
というかここ2日早く起きるのが珍しすぎたのだ。
母さんなんて珍しすぎていつ雨降るか心配してたからな。
だが考えてみればこの2日間いろんな事があったな、というかこの変化した世界にこんなにも早く慣れるもんなのか?
少し怖くなって、身震いした。
…とりあえずご飯食べに行こう
俺の家では変化する前も後も朝の食べる時間はテレビをつけて会話をしてる。それに家族3人が一緒に過ごす大切な時間だ。
今も俺達家族は話している。
母「あら、この話物騒ね」
父「ん?あぁ、魔力暴走が頻発している話か。最近有名になってるからこんな風にテレビでも取り上げられているんだろう。」
俺「こんな風になる前に何とかならねーのか?父さん」
父「とにかく魔法は使わないのが1番だぞ?あと魔力装置と言わてる物も使わない方が良いだろう」
俺「は?なんでだよ。有名だし暴走する奴が少なくなるんだから良いんじゃないのか?」
父「有名だし、暴走する奴らが減るからだよ、そんな簡単に暴走しないなんてどうやったら分かる?その暴走するためのエネルギーはどこに分散されるんだ?ここの表記がない限りは不自然だ、それになぜこんなに人気になった?なにか裏があるかもしれない」
母「流石、洋一さんね」
まぁ、だいたいこんな感じだ。俺の口調は父さんから受け継がれているのがこの会話の中で分かる。
だが考えてみると父さんの言っていたことも一理ある。
佳祐が確か1年とか言ってたからな、そんな短期間でこんなに爆発的な人気になることはそうそう無いし。
それに、人気になる前にその製品がどうなってるのか、日本政府は調べることはしなかったのだろうか
一企業にそんな事しないか。不正は見つかっていないしな
家族全員の食事が終わり俺は学校に出発した。
だいたいこんな感じでいつも?というか毎日過ごしている
「お、和也おはよー」
「ん?あ、佳祐か。おはよう」
「昼のことはどこで話そうと思ってるんだ?」
「人のあんまりいないとこ?」
「それ告白スポット的なとこしかねーじゃん、公立なんだから」
「んじゃ、そこで」
「ヘンなこと言われると思うが大丈夫か?特に精神面」
「今鍛えられてるから大丈夫」
「なんだそれ」
呆れたようにこちらを見る佳祐に今は助けられてるがな、とは言わない、なんか恥ずかしいじゃんか。
他にも言わなきゃいけないやつはいるがやっぱ佳祐に最初に言いたいんだよな、一緒にって感じではなく。
俺の小さい頃のあれもあるのかもだがな。
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「けいすけ、なのは、こっち行こーよ!」
「わたし、向こうでお団子つくるー」
「わかったー、じゃあこんど遊ぼうね!」
「うん!」
「いまは、危ないと思うぞー俺の父ちゃん絶対に川に近づいたらだめっていってたぞ?」
「だいじょうぶ、だいじょうぶー」
ぼくは危ないと言われていた川の近くに座って川の水をパシャパシャしていた。ここの川はキレイで足に水をつけてもおこられないのだ。
だから、だいじょうぶだと思った。今もキレイだから
「水、深くないからだいじょうぶかな」
「ダメだよ、それは」
けいすけはいつもより心配そうな顔で僕を見てきた。
「いつも深くないから大丈夫だもん。水キレイだし、けいすけはしんぱいしょうなんだなー」
ぼくはお母さんやお父さんに川が汚れてる時は入っちゃダメって言われてるから今はだいじょうぶだもん。
そうしてぼくは水の中に入った、でもそこから出れなかった
あせって、もがもがした。でも出れなかった
そこからなんだか眠くなって目をつぶった
ただ、けいすけの声が、お母さん達を呼んでる声が聞こえた
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「…寝てたのか」
「寝てたのか、じゃないでしょう?伊達くん」
「へ?委員長?」
あれ、授業終わってる?
「あなた、いつ寝てたのよ。今日は先生が珍しく良い話してたんだよ?」
「まじか」
確かさっきの授業って、日本史の先生だったよな。あの人って確か自分の過去の経験をはなすんだよな、無駄に歳くってないというかなんというか…
「次は魔法の授業でさらに眠くなるんだから気をつけてよね」
「次魔法なのか、了解」
ようやく昨日思いついたことが聞ける。林先生は基本なんでも答えてくれる。まぁ、先生だからってのもあるが本人の経験も交えて話すので納得のいく話がよくあった。
世界が変化する前の話なんだけどな
しっかし久しぶりにあんな夢見たな、多分昼に話そうとしていることが関係してるんだろうけど
あの後のことは人にしか聞けないが、俺が川の淵に座っていた時、もちろん親も近くにいた。だが佳祐に重なっていてどこに座っていたのかよく見えなかったらしい、母さんいわく
『え?和也は川の淵に座ってたの?佳祐君に隠れてて見えなかったわ、てっきり佳祐君の後ろ?で話してるのかと』
と言っていたらしい。
ちなみに俺は助かっている。今生きてるからな。
あの時の川は増水してて、結構危険だったが俺が近づき溺れ掛けてるところを佳祐がずっと見ていて母さん達を呼ぶのが速かったから助かった、と言っていた。
佳祐にはまだまだ恩はある。
逆にこちらにもそういう感じで助けた事は何度もある。だから今の俺達があるとおもっている。
だけどなんかこの夢、内容が違う気がする。
夢だから仕方の無い話かもしれないが俺はナニか別のものと話していて、それに誘われて落ちた気がする。
そっちの方が現実的ではないか
この変化した世界ではどう受け止められるか分からないがな
俺は1人での考え事を止めると先生が教室に入ってきた。
「はーい、授業始めますよー」
きりーつ、礼ー、着席ー
今日は結構緩い男子が日直のようだ。
俺のクラスは1人1人で日直が回っていて、挨拶と次の授業のために黒板を消すことをしている
こういう挨拶で人の性格が分かるんだよなぁ
そうして授業が始まると先生が
「今週は結構余裕があるので今日は魔法の仮説についてはなしていきたいな、と思います」
「私自身、この仮説を昔聞いて、変なことを今でも考えています、本来は先生として話してはいけないことなのかもですが、私にとって人生の価値観を変えた話なので話していきたいと思います」
そう言って昔を懐かしむような優しい顔で最初は始まった。
えーっと、まず最初にいろんな仮説が飛び交っていると思いますが私は最初の方に出来た仮説であるものなんですがその話全部をすると本当に1日かかってしまいますので簡単にすると『想像力が力をつけた』だと、思います
昔の人々にもご飯がいっぱい食べたい、良い家を作りたいそんな願いが想像力として適用され魔法という概念が出来たのでないかと先生は思うんです、今はこういう教科書でどんな魔法があるか、とか、どんな魔語でその魔法が発動するのかとかありますよね、でも過去の人々はそんな教科書が無い中で生活してきています。
なので私は魔法という概念を作ったのは『想像力』だと思っています
それにこの仮説が正しければ、今魔法が使えない、と言われてる人でも、もう使えるんじゃないかなと思います、そうすれば夢があるでしょう?
ちなみにこの仮説は今1番有力とされていません、だってそんなはずないと世の中の人は思ってますからね
だからこそ私は夢のあるこの話をしたいなと思いました
私のことは軽蔑しても蔑んでも大丈夫です、でも夢だけはしっかり望んでいてくださいね
あ、チャイムなってた。
俺はその話を聞いて少し呆然としてしまった。だってありえないだろ?普通学校の、しかも魔法の先生がこんな仮説の話を一時間するなんて。
俺は先生はなんだ変化したあと雰囲気が少し変わったな、と思っていた。だがそれを種族のせいにしてちゃんと分かり合おうとしなかった。
たぶん他にこんな感じの先生はいないと思う、夢を諦めるな、と真剣に一時間使う先生は。
林先生はなんかやっぱり凄いな
あ、あの事聞くの忘れてた。
俺は急いで先生の後を追い話を聞いてもらった
意外にもその話はすっと出てきていて、元々話しやすい先生だったがさっきの話を聞いてさらに話しやすくなった気がする、俺だけなのかもしれないがな
他の奴らはさっきの話を聞いて先生の事を変なこという先生だなという話をしていて、さらに酷いやつは陰口を言っていたのが聞こえた。
俺もその変なのの仲間入りになるんだろうか…
まぁ、変化する前の世界から来たんだからな、と勝手に愚痴った、誰もいないところで
この世界のこともっと知っておきたいがまずは大事な親友に話すべきことを伝えよう。
そう思い俺はあいつの所へ向かった




