第2話
魔族は13代に渡って人間と争ってきた。現魔王ポーロック・ヴォイド・アーカムは昨年集結した人魔大戦で魔族を導き、そして.......敗北した。戦後から今日まで自身の浅慮を嘆かなかった日はない。無能な魔王のせいで兵は戦場で散り、無垢な市民の街は燃えた。
―――わたしがこの国を滅ぼした―――
だからこそ復興に全力を注いできた。仮設住居や児童養護施設を建設させ、生活困窮者の数を1人でも多く減らした。それに伴い動員した幹部や残存兵には先の戦いで消耗したものが多かったため、魔王自身の魔力を与えることで働いてもらった。魔王族の血を引く自分に出来ることはこれぐらいだと、せめてこれぐらいはさせて欲しいとなけなしの魔力を臣下達に分散させたのだ。魔族にとって魔力は命の源である。そのため他人に魔力を与えることは命を削ることと同意であるがそれで彼らが動けるというのであれば、それで十分だ。
そうしてようやく、今日の魔王国は戦前の繁栄を取り戻しつつある。
今こそ、私の考えについて国民たちに伝える時だ。
―――人間と友好関係を築く―――
もともとは、人間側から持ちかけられた話だった。人魔大戦が集結した日、人を導く王からもたらされた講和条約を記した条文が届いた。内容は驚くべきものだった。破格の財や従属の要求はどこにも書かれておらず、あったのは最低限の賠償金と同盟の締結のみだった。無理難題な賠償額を押し付けて魔族が再び