6話 ボッチじゃない!!
EPの総量が化け物になりそうな予感がして……体が震えました……
あと、称号を考えている存在が、俺の敵であることが……
《天に唾を吐きし愚者の称号を……》
!?
《冗談です》
たまにナビさんの言う冗談が冗談に聞こえなくて怖いです……
《それは……マスターがあの女の顔を見てデレデレするからです!!》
(別にデレてな……)そう言いかけた瞬間……エレインの顔にモザイクが!?
フィルタリングで有害認定に!?
「どうした?」
『その顔でしゃべるな!!怖い!?』
「えっ?私の顔が……怖い?」
エレインの声が……凍り付く……
ヤバい!!!すごくヤバい!!!
(ナビさん!!!お願いします!!!解除をお願いします!!!このままじゃ、とんでもない事態が起きますから!!!)
『ちっ違う!!!怖いんじゃなく……』
ドス黒いオーラが込みだしてくる!!
「なら何が怖いんだ?私がそんなに異世界人から見たら……醜女に見えるのか?」
ドス黒いオーラの中に青い悲しみの色が見えた……
(ナビ!!!本気で止めろ!!これは冗談じゃない!!これは踏み込んじゃいけない領域だ)
俺は真剣にナビにそう言うと……ナビは少し考えて
《……わかりました。ここまで怒らせるのは本意ではありません》
ナビさんの言葉で視覚制限が解除されたが……やっとエレインを認識できて……
『!?』
涙を流すエレインの姿に言葉を失った
「アンデットはそんなに……醜いものなのか?この白い髪と赤い眼は……」
どうやら、トラウマがあるようだ……
「異世界の存在にも……気味悪がられるのか?」
エレインは涙を溜めた赤い目で俺を見る……
すいません、ちょっとドキドキします!!
赤い目の女の子にこんな表情されたら……
《……マスター?何を考えているんですか?》
不機嫌そうな、ナビさんの声が聞こえて、俺は冷静さを取り戻した。
そう言えば……俺の世界でも白い髪と赤い目で迫害を受けた歴史があったのを思い出した
アルビノ種と呼ばれる紫外線に抵抗する機能を持たない存在だった。
きっと……エレインにもいろいろと遭ったんだろう。
『エレイン……俺は君の事を怖がったわけじゃない!
ただ、スキルの……ナビスキルが冗談でエレインの顔を認識させなくしてしまって……』
俺はエレインに素直に謝ると
「ぐすっ……ナビスキル?そのスキルに……そんな機能は……聞いたこともないぞ」
手のひらで涙を拭きとりながら、エレインはそう答えた。
『俺もよくわからんが………』
(ナビさん……エルなんとかってスキルの事話しても大丈夫か?)
こういうチートスキルってたまに奪われる事とかあるから、一応確認すると
《スキル開示を了承します。泣かれるとまでは思っていませんでした。詳しく解析することを拒絶し、スキルの偽装を施します。》
「!?」
エレインが驚いたような表情をする……能力の解析でもしたのだろう
「自律系スキルの進化スキル!?そんなスキル初めて見たぞ!!」
さっきまで泣いていたのが嘘であるかのように、驚愕している。
《ちなみに……念波を使えばこのように会話もできます!このボッチめ!!》
「なっ!?」
さらに驚愕!!
『ナビさん!!毒舌すぎ!!!と言うか、俺にもダメージがデカいからやめて!!!』
エレインのように身体的欠点ではなく、精神的欠点があり、ボッチだったような気がするから!!
《マスターには当スキルが存在します!!》
いや、そんな自信満々に答えられても!!
「ふざけるなよ!!私も宵がいるから、ボッチじゃないぞ!!それに……ゴーレムやエリーゼ(ぬいぐるみ)が居るんだ!!一人のわけがない!!」
なんとも悲しい、俺の召喚主だ……
《人形遊びしかできないのか、このボッチはっ!》
ナビさんが吐き捨てるように言うと、エレインは再び目に涙を溜めていた
《マスターの召喚主であるエレインさんがそんなボッチだと、哀れすぎますからね!!当スキルが話し相手にくらいなってやってもいいんですよ!!》
その瞬間、テンプレで返すナビさんに、悪党には慣れない性格であることを感じ取った。
『まあ、ナビさんも俺しか話し相手がいなかったら、ボッチと変わらないしな!
仲良くやれよ!!』
とりあえず、助け舟に俺がそういうと……
「はっ……流石腹に大穴を開けられた奴の言葉だ、懐が深いな!」
《エレインさん、穴が開いてるから底なんてないんですよ!!》
共闘されました……
「200年くらいまともな会話をしていなかったから……少し寂しかっただけだ!!」
など年齢計算の最低限を言われて、複雑な感じがした。
おそらく、自分の10倍以上は生きているな!
《訂正、死んでいるの間違いです》厳しい突込みだった。
まあ、そんな事があり、エレインと少し仲良くなった
フードも目の色と髪を見られたから、気にしなくても良くなったと、住居エリアでは着なくなった。
召喚して被り続けていたのは、気持ち悪がられるかもしれないと思っていたのだろう。
とりあえず、そんなこんなで、召喚されて一か月が過ぎた
ステータスは……
▼レベル:40
▼スキル
▼称号
種族:ゴースト
▽レベル:45
EP:25593(HP:60 MPはEPと同じ)
力:0(20)
防御力:0(80)
素早さ:1530(60)
賢さ:2050(2050)
対魔力:2010(50)
※()の中はぬいぐるみ時
▽スキル
解析能力A 空中浮遊B 念動力A 無機物操作B 憑依C(意識のないモノに対して可能無機物のみEP消費なし) 実体化E 精力吸収B 痛覚軽減 B 精神異常耐性 A 魔力感知B転移C空間把握C EP上昇(大)対魔 A 罠感知B
実体があるときのみのスキル
観の目(心眼:魔力感知と空間把握のランクと同等)
オーラ(攻防一体の気:魂時の念動力のランクと同等)
格闘術B 武器使用B 自己修復A
★ユニークスキル
ナビEX コギート・エルゴー・スムEX(封印中) 宝物庫EX
▽称号
召喚されし者 初級ポルターガイスト 痛みに苦しむ者
ストレスに押しつぶされた者 ナビさんと仲良くなりたい
ナビさんに変態と呼ばれた者(ナビさんによるフィルタリング発動)
キジも鳴かずば撃たれまい 女心を理解しない者
自爆野郎 腹に穴が!? ユニークを倒した者 ぬいぐるみの体でゴーレムを倒した
賢き者 速き者 アンデットキラー(同族殺しじゃねぇ?)死神に情けをかけられた者
以上!
ダンジョン内のモンスターが思ったより狂暴だった。
いや、普通召喚された場所の敵って弱いのが基本だと思ったが……居住区から一歩出たら……レベル70のスケルトンに遭遇して追いかけまわされるとは夢にも思わなかった。
念動パンチが効かないとか!!いきなりピンチ!!と思ったわけなんですが
まあ、ナビさんの的確な援護(関節外し)で四肢を外して……全力でスケルトンの武器を掴み滅多切りにしたが……スケルトンが活動停止するまでに武器が壊れてしまった
他にもスライム(レベル85)に襲われ、ぬいぐるみがほぼ溶けるし……
魔法を使うスケルトン(レベル68)が出たが……俺の対魔力の前に倒してやろうとしたが……如何せんレベル差がありすぎて黒焦げにされたりと……
挙句の果てに……小部屋の宝箱トラップで左右の壁、天井、床から串刺しにされ……火炎で焼かれたときには……ここは初心者ダンジョンじゃねぇ!!!と自覚せざるおえなかった。
マジ鬼畜!!防犯の意味を超えた偽装ダンジョンだった!!
無残な姿になったぬいぐるみの前で、どうしようか考えていたときに、黒いフードの髑髏顔の仮面……手には大きな鎌……
明らかに、俺の天敵とも言える死神系統のモンスターに出会ったときは流石に死ぬかもと思ったが……流石のナビさんもこの時は《運を天に任せましょう》何か悟りを開いたかのような清々しいまでの諦めっぷりだった!
『おや?新入りか?あまり無茶をするなよ!』
ポーションを渡され、体を修復してくれて、安全な場所に移動してくれた。
お礼を言うと
『これも仕事だから、気にするな』と気さくに俺の背を軽く叩いて去っていった。
エレインに後で聞いたら……ダンジョンの管理人だったとか……死神さんとは会話しないのかと聞いたら……
「あいつは、部下のような存在であって……ここに遊びに来たりしない……
休みの日には、さっさとダンジョンを出ていくような奴だ」と言っていたが……
つまりは、上司の家に遊びに行こうとは思わない。休みの日まで職場に居たくはない……そんな心境なのだろう
そんなこんなで、俺のレベルは一気に上がって……死神さんとの遭遇でナビさんは対魔スキルを新たに取得していた。余程怖かったようだ。
あとの感想は……消滅の危機を何度も受けて、俺のEPは想像道理化け物となった。
ちなみに、普通のゴーストは一か月で300程度らしい。
自分の体の維持だけでそこまで上がるが……スキルを覚えにくいことから、総量を鍛える術が無いとか……
まあ……そんな、一か月を過ぎた俺は、この鬼畜ダンジョンで中ボスクラスの力を得た。
そんなある日だった
今日は気分で、肉体を持たず、魂モードでダンジョンを散策していた。
居住エリアが下層にある事から、ダンジョン入り口の上層に行った事が無かった俺は、途中で巡回をしていた死神さんに話しかけた。
『お疲れ様です!』死神さんは俺に気付くと近づき、
『やあ、宵君、久しぶりだね!元気にしてたかい?』骸骨の手で俺の体を頭を撫でるように撫でてきた。
死神さんは会うといつも俺を撫でてくるが……子ども扱いでもされているんだろうか?
これが、エレインだったら、ぬいぐるみに憑依しているときに撫でられたが……
餓鬼扱いは止めろ!!と怒鳴れるのだが……
死神さんの俺の本体を撫でるこの感覚……肉体とは違うこの感覚に、俺は黙って撫でられる
これは、アレだ!甘やかされていることに快感を感じているわけじゃない!!
小動物のように撫でられているのに、悪い気がしないから、何も言わないんだ!!
と心の中で言い訳をして、俺は死神さんが気が済むまで撫でられた。
『それで、私に話しかけた来て、どうしたんだい?』
俺の体を撫でながら、死神さんが聞いてきた
『いや、ちょっと上層に散歩に行こうと思うけど……何か注意する事とかないかなと』
俺がそういうと、死神さんの手が止まり少し考えるように顎に手を当てた。
『ん……宵君なら……大丈夫か……』
そう言うと……
『今日の上層はなかなか良い捕り物があるが……宵君、今回は君への贈り物という事で、上層へ行ったら音には気を付けてね』
そう言われて、俺は首を傾げた。死神さんの謎のアドバイスだ……
死神さんは、俺に会い、撫でまわした後、こんなアドバイスをくれるが……
前回は『硬い金属音が聞こえたら、それは稼ぎ時だよ』
その後俺は、何か金属が地面を蹴る音が聞こえて、その方向に行くと……全身を血で染めた金属製の鎧で覆った冒険者に遭遇した……
明らかに正常じゃない雰囲気に……これはヤバい奴だと認識した。
ステータスは見えなかったが、強敵だと判断した。
普通だったら、強敵だが……こういった堅い守りの敵を想定した作戦は既に立てていた!
魂になった俺は、EPを霧のように広げ、金属の鎧に纏わりついた
体に纏わりつくと俺に全く気付いていない冒険者の生命力を一気に吸い込んだ!!
「がっ!!!」勝負は一瞬だった
精力吸収で急激にエネルギーを失った冒険者は、何が起こったのかもわからずに、地面に倒れて事切れた。
これでEPが1万くらい上昇した。今回もそれに似た事だろうか?
そう思いながら、俺は上層へと探索を開始した